ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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世界禁煙デーで問われる全面禁煙の経済効果

2012年06月20日 | Weblog

2012年6月1日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「世界禁煙デーで問われる全面禁煙の経済効果」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 

 

 けさの産経新聞に「世界禁煙デー、厚労省で分煙義務化」という記事がある。これによると、「世界禁煙デー」の5月31日、厚労省は霞が関の庁舎内にある喫煙所2か所のうち、1か所を廃止した。さらに6月6日の禁煙週間中は、庁舎内にある2台のたばこ自販機を販売停止するという。

 健康の観点から禁煙社会を志向する、同省の姿勢を示したものといえそうだ。

 ちなみに、同省は昨年12月2日に「労働安全衛生法改正案」を国会に提出している。この改正案は、受動喫煙防止のため、「職場の全面禁煙、空間分煙」を事業者に義務づけている。

 そこで物議を醸したのは、飲食店である。同法案では、飲食店は「特例」で「当分の間」は、換気扇などをつければよいことになっているが、いずれ特例が解除されれる日がやってきて、客席を全面禁煙にする必要が出てくるのは必至。喫煙客が離れることを懸念する飲食店業界やたばこ産業は反発した。

 5月30日毎日新聞よれば、こうした反対の声に配慮する形で、与野党は現在、同法案の「義務づけ」を、「努力目標」に大幅後退させる方向で、法案の修正協議を続けているという。要するに、法案が骨抜きにされようとしているわけだ。

 なお、飲食店を禁煙にすると減収になるという懸念の声は根強い。実際、神奈川県の受動喫煙防止条例の経済効果を試算した三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートによると、喫煙規制による経済波及効果は、3年間でマイナス237億円で、最も影響を受けるのは居酒屋などの外食店やバーやラウンジ、という。

 だがその一方で、こういう見解もある。WHO(世界保健機関)は「2007年WHO世界禁煙デー小冊子」のなかで、「たばこ煙ゼロ環境は、レストランやパブの経営を窮地に追い込む」というのは“俗説”で、「中立公正で、厳しい査読を受けた研究の中で、全面禁煙が経営、経済に悪影響を与えたことを証明しているものは一つもない」といい、こう指摘している。

 「カナダ、アイルランド、イタリア、ノルウェーなどの国、エルパソ、ニューヨークその他の都市でなされた中立公正な研究では、全面禁煙後に関連業者の経営は平均して以前と同じ、または向上している。世界的に見て、禁煙前後の接客業界の販売と雇用のデータは、たばこ煙ゼロ政策施行の前後で変化なし、または良い結果を示している」

 こうした喫煙規制の経済効果についても、もっと精査する必要があるのではないか。(佐々木奎一)


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1 コメント

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Unknown (ヘビースモーカー)
2012-06-20 08:52:15
愛煙家の私にとってはレストレンなどの飲食店の全面禁煙化は非常に痛い。
しかし、現在勤めている会社では、就業時間内の喫煙は禁止されており、徐々に喫煙を我慢することが慣れ、ついには吸わない事が当たり前ということが定着しつつある。
体調も能率もよくなったような気もする。
といっても、もちろん就業後は好きなタバコの煙で一服するわけだが。
そいう意味でも、完全禁煙化による経済マイナス効果というのは大きくないと考える。
人々は徐々に慣れ、マナーとして定着するのではないかと思うのだ。
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