ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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「公園は誰のもの? 」で直面するホームレス問題

2011年11月21日 | Weblog

 

 

 2011年9月15日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事
 
 「『公園は誰のもの? 』で直面するホームレス問題」

を企画、取材、執筆しました。
 
 
  キーワードは「ホームレス」。

 

 

 9月15日の毎日新聞朝刊に「公園は誰のもの? 」という森下功記者の署名コラムがある。これによると、同氏は都立野川公園がジョギングコースで、毎朝走っているという。だが、そんな楽しい気分に水を差される出来事があったという。

 

 それはノーリードの大型犬2匹に走路をふさがれたので注意したところ、飼い主に怒鳴り返されたというもの…。同記者は「だれもが楽しく公園を利用するには、まず他者の存在を尊重するマナーが必要ではないか」と結んでいる。

 

 ちなみに、都内の大小の公園を網羅している「公園情報センター」代表の山崎真氏のサイトによると、都内の公園にはネムノキ、コブシ、ケヤキなど様々な樹木が茂り、モグラやリス、水鳥、山鳥、クワガタ、サンショウオなどの生物もいるという。コンクリートの建物に囲まれた都心で、公園はオアシスのような存在といえよう。

 

 さらに、公園には、野球場やテニスコート、陸上競技場などのスポーツ施設、芝生広場、ドッグランといった設備や、デートスポット、子どもたちの遊び場、防災施設になっているところも多い。

 

 そんな多様な役割を果たす公園だが、前述のマナー違反よりも、もっと深刻な社会問題をはらむ公園もある。野宿をするホームレスのいる公園である。

 

 そもそも公園を所管しているのは主に自治体なので、公園は誰のものかというと、みんなのものということになるはずだ。だから、ホームレスが野宿をしていても、公共のスペースなので、多くの人は黙認する。そして住民は公園には近寄らなくなり、公園はまるでホームレスの敷地のようになるケースも多い。

 

 これでは公園は、もはや住民の憩いの場とはいえない。だからといってホームレスを締め出すことは生存権にかかわる。このジレンマの中で、困窮するホームレスはもちろんのこと、リフレッシュの場を失う住民も生きづらくなっている面がある。そういう意味でも、ホームレス問題は誰にとっても他人事とはいえない。

 

 ではどうすればよいか。

 

 この問題に先駆的に取り組んでいる「北九州におけるホームレス問題の解決のための市民協議会」によると、同会の提案により、2003年に市の予算付きの「自立生活サポートセンター」を設置。そこでの就労支援によりホームレスの約8割は社会復帰を果たしたという。

 

 しかしその後、就労が困難な「軽度の知的障害、精神障害、アルコール中毒、ギャンブル依存症、65歳以上の高齢」のホームレスが増加するという新たな問題に直面。

 

 そこで、同会は、きめ細かくアフターフォローしていくことを提案している。具体的には、ホームレスの金銭管理や依存症脱却の支援、生活保護申請、障害手帳、障害年金の取得などの行政手続き、就職支援、住居支援。そしてホームレスの自立後も、再び野宿に陥らないよう、職員が定期訪問をして、その家族や友人、不動産業者、大家、金融機関、医療機関などと連携し、支援していく体制である。

 

 親よりも面倒を見ていく体制が、ホームレス問題の解決のためには、必要なのかもしれない…。


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