ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

※ブログ下記移転しました(2015年7月以降)
http://ssk-journal.com/

鉢呂経産相・不適切発言が飛び出たオフレコ懇談会

2011年11月18日 | Weblog

 


 2011年9月12日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事
 
 「鉢呂経産相・不適切発言が飛び出たオフレコ懇談会」

を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
  キーワードは「記者クラブ」…。
 

 9月11日は全紙、鉢呂吉雄・経済産業相が10日夜に辞任したことを大きく取り上げている。これは鉢呂氏が8日に福島第一原発周辺を視察して帰京し、新聞・テレビの記者クラブメディアと “非公式のオフレコ懇談”を行ったことに端を発する。

 そのことを報じた11日付の毎日新聞朝刊によると、鉢呂氏は午後11時過ぎごろ、視察を終えて防災服姿のまま赤坂議員宿舎に帰宅し、記者団の非公式の取材に応じたという。10人程度の記者に取り囲まれた鉢呂氏は、「視察について『ひどいと感じた』などと感想を述べ、放射線量が高い状況を説明。その際、たまたま近くにいた毎日新聞男性記者に近寄って防災服をすりつける仕草をし、『放射能をつけたぞ』という趣旨の発言をした」という。

 そのことが報じられて、鉢呂氏は引責辞任した。辞任会見で鉢呂氏は、「国民の皆さん、福島県民の皆さんに、大きな不信の念を抱かせた」と、謝罪していた。たしかにその通りなのかもしれないが、この会見で鉢呂氏は、不適切な発言をしたワケを、記者たちに「親しみを込めた」ため、と言っていた点が見過ごせない。

 そもそも、「放射能」発言の出た“非公式のオフレコ懇談”自体、なんとも不可解な言葉で、不適切な場と言わざるを得ない。本来、取材する側とされる側は、緊張関係にある。それなのに“オフレコ”、つまり、どんな発言が出ても、書かない、報じない、というルールの元で集まり、大臣や事務次官などの政府中枢と記者クラブの記者たちが、酒を交わしたりしながら頻繁に懇談しているのである。オフレコなので、たとえ国民が知ったら卒倒しかねない事実が飛び出してても、ほとんど表ざたにならない。

 しかも新聞、テレビなどの大手メディアなどは、政府の庁舎内に「記者クラブ室」という部屋を“無償”で提供され、その上、国会の真横には「国会記者会館」という建物まで“タダ”で与えられている。

 こうした“権力と馴れ親しむ関係”をしているから、国民にとって一番大切な、いざという時になればなるほど必ず、権力の犬のような働きをする。

 鉢呂氏辞任の引き金となったオフレコ懇談会は、この馴れ合いの仕組みの一環にある。


 なお、11日付の時事通信の電子版によると、藤村修官房長官はオフレコ懇談での発言が報道されたことにいて、民主党幹部が経緯を検証し、今後のメディア対応も検討する意向を示しているとし、「今後の報道との付き合いにおいても、少し検証しないといけない」と発言したという。

 この際、記者クラブという不適切な癒着関係は断ち切って、情報を国民にオープンした方が、この国にとってよいのではないか? 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。