平成二十六年十一月二十四日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「今日のニュースに一言」で
ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
「二木啓孝氏が語る、安倍首相の講演を海外はこう見ている」
を聞き書きしました。
海外に行くと気が大きくなるのか、安倍首相は22日、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で基調講演を行った。
講演の中身は、経済、景気がメインで、アベノミクスを自賛した。首相は「企業がためたキャッシュを設備投資、研究開発、賃金引き上げへ振り向かせるため、異次元の税制措置を断行する。本年、さらなる法人税改革に着手する」「今年は春に賃上げがあるだろう。長らく実現していなかった賃金の上昇は消費の拡大につながる」「日本に来たのはたそがれではなく、新しい夜明けだ」と宣言した。
アベノミクスが効果を上げていることを世界にアピールしたのだが、このさらなる法人税改革については、財務省を中心にして、税収が減るとの懸念があり、財政健全化が遠のくと難色を示している。
さらに賃金を引き上げさせるというが、このところ好決算の企業も、利益を賃上げに向けることは渋っていて、むしろ内部留保を膨らませる方向に進んでいる。
安倍首相のこうした経済、景気中心の発言について、各国はどう捉えたのか。
首相が海外メディアとの懇談で聞かれたことは、日中関係が中心で、日本と中国が第一次世界大戦直前のイギリスとドイツの関係に似ている、と質問が飛んだ。
安倍氏は、そういうことにはならないようにしなくてはならない、と答えたものの、海外メディアは、「安倍首相が『第一次世界大戦直前のイギリスとドイツと似た状況だ』と発言した」「興味深いことに、安倍首相は『日中戦争など問題外だ』とは言わなかった」と論評している。
海外の日本への関心は、経済よりも日中緊張関係。昨年末の安倍首相の靖国参拝に、アメリカが「失望した」と言ったことの方が、むしろ、重要なニュースとして伝わっている。経済一辺倒よりも国際緊張を緩和することに、欧米の関心は集まっているということだ。