ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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浅田真央の初エッセイが発売直前で中止のワケ

2012年02月20日 | Weblog

 

2011年1月13日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「浅田真央の初エッセイが発売直前で中止のワケ」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
 キーワードは「教訓」…。
 
 

 けさの各紙はフィギュアスケートの浅田真央(21)が、2月8日に発売予定だった初のエッセー「大丈夫、きっと明日はできる」(出版元・ポプラ社)の発売を突然中止したことを報じている。

 全国紙、スポーツ紙のなかで、このニュースを最も大きく取り上げたのはスポーツ報知だった。同紙は1面ぶち抜きでこの問題を報じた。見出しは紙面の右上約4分の1を割き、巨大なフォントで「発売直前 真央本 中止」と銘打ち、さらに紙面の左上4分の1を使って浅田真央の不機嫌そうな巨大な顔写真と、発売中止の原因となった販促ポスター、出版社と浅田真央双方のホームページ上での告知などの写真を掲載している。

 そして本文によると、発売予定だったエッセイは、昨年暮れの時点ですでに10万部を超える予約が殺到していた。しかし、発売27日前の昨日、突然、出版元のポプラ社のホームページ上に発売中止を発表。そのワケを「一部宣伝方法に、著書ご本人の意にそぐわない部分がございました」と説明し、「読者の皆様、そして書店様、取次会社様、また関係各社の皆様方に多大な迷惑をかけましたことをお詫び申し上げます」と謝罪した。

 一方、浅田真央もHPで「本の宣伝、告知について、私の思いと異なるもので進められたところがあり、出版を中止させていただくことになりました。大変申し訳ないですが、ご理解のほどよろしくお願いいたします」とコメント。

 なお、同記事によると、初エッセイは次のようなものだった。「同書は、2010年バンクーバー五輪で銀メダル獲得後、この2年間の日常生活で気をつかっていることや、目標設定をどう定めるか、日頃から考えている人生訓などを紹介。また、母・匡子さんへの感謝の気持ちなどさまざまなメッセージがつづられており、209ページ、税込み1365円の値段設定で、1年以上かけて制作が進められてきた」。

 そして肝心の、これほど力を入れた本が “お蔵入り”した理由については、「全国書店などに配る予定だった販促用ポスターに『ママ、ほんとうにありがとう』などの文言が強調して使用され、浅田サイドの意に反した」からだいう。

 これについてポプラ社の担当者は「亡くなられたお母様が、あたかも商売の道具にするかのように見えてしまう宣伝・告知をしたことが問題だった。大変、ご迷惑をおかけした。まずは関係各所におわびをしたい」とコメント。

  一方、浅田真央サイドのマネジメント会社担当者は「ポプラ社に対しては不信感がある。発売中止になった本が今後、改めて同社から出版される予定はない」と怒りをあらわにしている。

 ちなみに、同記事では、流通ジャーナリストの金子哲雄という人物が顔写真入りで、「出版に当たっては、浅田さんのマネジメント会社と出版社側が、詳細を詰めながら、作業を進めていたはずです。宣伝、告知などプロモーション方法についても同様だと思います」と記し、「お互いにとって、ビジネスチャンスがつぶれてしまったのは不幸なこと。心配なのは、浅田さんが今後、出版活動をするに当たり、今回の件が影響する可能性があるかもしれないということです」と、警告めいた発言で締めくくっている。

 たしかに出版ビジネスという面でいえば、億単位の売上の本がドタキャンになるのだから、多方面に金銭的に悪影響が及ぶのは必至だ。なかには死活問題の会社もあるかもしれない。しかし、元来、本というものは、著者と出版社側との信頼関係が崩壊すれば、今回のような最悪の事態になるリスクをはらんでいることは、出版業界にとっては周知の事実。

 出版に携わる者は、今回のことを教訓にして、著者との意思疎通や細やかな配慮を一層大切にした方が、良い方向に向かうのではないか。


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