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絶望と希望

2006-08-14 00:40:51 | Spyなグルメ
妙に哲学的なタイトルだけど、別に新たな境地に開眼したわけではなく。

今日、恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館に行った。目的は「世界報道写真50周年記念展:絶望と希望の半世紀」。

これは、世界報道写真財団(アムステルダム、オランダ)設立50周年記念の展覧会で、2005年10月~11月アムステルダムで開催され、現在、世界各国 を巡回中のもの。センセーショナルな絶望や希望の光を伝えた雑誌『パリ・マッチ』『タイム』『ライフ』等を展示し、さらにヴィンテージ・プリントを加え、 当時のフォトジャーナリズムをありのままの姿で紹介している。

どの写真も一枚一枚が、力強い。写真家たちが現実から切り出した一枚一枚には、物を言わずとも何かを訴える被写体の姿がある。 彼らは、カメラに向かって叫ぶわけでもなく、あるものは悲しみにくれ、あるものは絶望に虚ろとなり、あるものは息絶えている。そこにはある事象の瞬間を鋏で切り抜いたという以上の何かがある。 一枚一枚の写真が自分を捕らえて離さない。目をそらすことを許さない、そんな事実の重みが感じられた。戦争でさえ劇場化してしまった昨今の報道では感じられなかった現実がそこにあるような気がした。

多分2時間くらい見ていたと思う。ようやく見終わって、当展示のあった3階を出て2階へ移動。

2階で展示されていたのは「中村征夫写真展:海中2万7000時間の旅」。


こちらは、ここに来てから展示があることを知ったのだが、上の写真のように、ため息が出るように美しい写真の数々。

世界中の海を舞台に、美しい海中の風景や、海の生き物たちを撮りつづける、わが国を代表する水中写真家 中村征夫氏の写真展。

東京湾などの身近な海から世界中の珊瑚礁まで、そこに生息する多様な生き物たちをとらえた写真が150点並ぶ。

各作品には中村氏のコメントが付け加えられていて、楽しい。 青い海の美しさ、そしてそこに住む者達の輝かしさと生命力。不思議と彼らの生命の躍動感のようなものが(珊瑚礁の写真からも!)感じられる。それはまた、透明度高い美しい海だけでなく東京湾の泥の中に住む者たちの写真の中にも感じられる。

展示の最後には等身大の鯨の写真。壁面一面に張られたその写真の力強さ。ただ圧倒される。

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 今日の二つの写真展。一方ではあまりにも無力な人間の悲しさ残酷さ、もう一方では、生命力に溢れる海の力強さ。

敢えてこの二つを対峙させたのだろうか。

もっとも、観覧客数は、圧倒的に中村氏の写真展が多く、報道写真展はテーマの硬さ故か少なかった。が、もしこれから見に行く人がいたら、時間が許せば是非2つとも見てもらいたいと思う。

感じ方は人それぞれかと思うが、何か新たな視点軸を与えてくれた気がする写真展だった。

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