砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」

2017-12-01 11:16:46 | 海外の小説


順調にブログの更新頻度が落ちています。

でもねぇこれは何も僕が怠慢だとか堕落しているとかそういうわけじゃないんです。ただ忙しいんです、考えなくちゃいけないことが沢山あるのがよくないんです。え、じゃあなんでブログを書いているかって?まあある種の現実逃避というか、書いてないとやってらんないんすょ…もぅマヂ無理…ブログかこ…。


さーて今日も今日とて元気に現実から目を背けていきましょう!最近寒くなってきたのでロシア文学でも、とドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読んでいるんですが、これがマジで面白い。しかし難解な部分は本当に難しくて、そこぶち当たると途端にページをめくるペースが落ちる。いろんな人が解説しているでしょうし、まだ読み終わってないんですけど備忘録として残しておきたくなったので、現時点(光文社版4巻、第12編)までの感想を綴っていきます。
この本は大学生の時に読もうとして、1巻ですぐ挫折しました。だってロシア人の名前や愛称が複雑なんだもの。「アレクセイ」→「アリョーシャ」はまだわかるけど、「アグラフェーナ」→「グルーシェニカ」って、ちょっと無理がありません?ちなみに『罪と罰』も序盤で挫折しましたが、もう一度チャレンジした時には「こんな面白い本があるのか!」と感動した覚えがあります。いつかサンクトペテルブルグに行きたい、大地に口づけをして「地域密着型!」と叫びたい。嘘です。
とまあ、こんな風に途中で挫折した本が結構あって、漱石の『吾輩は猫である』も寒月君がでてくるあたりでどうしても放り投げちゃうし、トマス・ピンチョンの『V』も気づいたら同じ場面を何度も読んでいて、ちょっとしたゴールド・エクスペリエンス・レクイエム状態でした。オレのそばに近寄るなァーッ!!

少し話が逸れますが、皆さんは読んでいる本がつまらなかったらどうしますか?すぐに「もういいや」と読むのを止めますか?それとも面白くなることを信じて最後まで読み通しますか?かくいう私は、だいたい100ページ読んで面白くなかったら諦めます、飽き性です。そうやって棚に積まれた本の多さよ。全体的に外国文学の方が面白くなるまでに時間がかかりますよね、文化の差もあるし、よその国の時代背景は思い浮かべづらいし。でもあいつらはあとからめちゃくちゃ面白くなったりしますから油断ならんですよね。トーマス・マンの『魔の山』とかその典型かな、面白くなるまで300ページくらいかかりますけど。ちなみに『魔の山』は残り150ページくらいで挫折しました。

そういうわけで、この『カラマーゾフの兄弟』もあとからものすごく面白くなる作品です。1巻で多くの登場人物や、その人物の育ってきた背景、性格描写、複雑な人物の関係性が描かれており、そのあたりはもうついていくので精一杯になります。しかし我慢して2巻まで読むと、一転して怒涛の勢いで物語が進んでいきます。

簡単に物語の説明を。本作はドストエフスキーの最後の作品です。好色で守銭奴である父フョードル・カラマーゾフとその3人の子たちをめぐる、ミステリアスで宗教色の強い長編。長男ドミートリーは激情家であり放埓な性格、次男イワンは明晰な頭脳の持ち主でシニカルな人物、そして末っ子のアレクセイ・カラマーゾフ(アリョーシャ)は20歳の僧侶見習い。彼は無垢というか、悪い言い方をすれば世間知らずと言えるような、まっすぐな性格の持ち主です。物語は父と長男のあいだで繰り広げられる、金と女をめぐる諍いが中心になるのですが、途中でイワンがアリョーシャに打ち明ける苦悩や、アリョーシャの師であるゾシマ長老の若い頃の話は、それだけで本が1冊書けるくらいの濃い内容になっています。ドミートリーがせっかく手に入れた金を使い果たし、どんどん破滅へと向かっていくくだりは疾走感があるし、どきどきするというか心臓に悪いです。途中で苦しくなって何度も本を閉じました。さすがドストエフスキー自身、賭博にはまり借金をたくさんこさえていたこともあり、何かに追われるような焦燥感の描き方が非常に生々しい。それでも先がとにかく気になる、病的なまでの面白さよ。

ただ、一読しただけではさっぱりわからない部分が沢山あります。特に中盤の宗教的な色が強くなっている箇所。善と悪、神が存在するか否か、人生は残酷か喜びに満ち溢れたものか、そういった対比が様々な人物の視点から何度も、重層的に語られていきます。それをナチュラルにやってのける作者のすごさよ。本当にそういう人物がいて、本当にそういうことを悩みながら考えているのだ、と思わせるような説得力、リアリティ。内容自体はわかんないけど、この作品がすごい、ということは分かります(笑)


まだ続きがあるので気になりますけど、早いところ読み終わってすっきりしたい、でも読み終わりたくない、そんな気持ちです。伏線みたいなものがあちこちに散りばめられているし、初めて読むときは物語を追うことで必死だと思いますが、読み返すと理解できなかったことがわかったり、人物の心情をじっくり味わったりできるのではないかな。少なくとも、今年読んだ小説のなかでは一番面白いです、あっまだ読み終わってないけど笑

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