砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

たぶん祖父がアル中だった話

2023-12-08 17:28:11 | その他
たぶん祖父がアル中だった話

先日親族で集まる機会があった。私が生まれるよりも早くに亡くなった、会ったこともない祖父の法事だ。
そこで親戚のおばさんから、いかに祖父が酒乱だったか、酒にまつわるエピソードをいくつも聞いた。
自分としては、それを聞いて非常に得心する気持ちになった。

なるほど。
だから祖母は性格がひねくれて吝嗇になり、父があんなに短気で寂しがり屋になったのだろうな、と。
クリストファー・ノーランの映画「TENET」で何が起きているのか、すべて理解できた時のような気持ちだった(ちなみにあの映画で途中から何が起きているのか、いまだに理解できていない)。

もちろん、祖父の酒乱ぶりをこの目で確かめたわけではない。
だからこの話は仮説に過ぎない。
でもそう考えると、いろんなことのつじつまが合うのだ。


アル中、いわゆるアルコール中毒。正式名称ではアルコール依存症である。
この依存症の怖いところは、お酒が大麻と違って平気な顔をして店で売られていることだ。
手に入りやすいし、安価である(もちろん手に入りにくくて高価な大麻や覚せい剤も怖いけど)。
しかも大麻や薬物は「ダメ、ゼッタイ!」と言われるくらい、最初に使用するハードルが高い。
でもお酒は、一昔前なら「大学に入ったらみんな飲むっしょ?ウェイwwwww」くらいのノリだった。
そこからアル中にたどり着くには、それなりの道のりがあるとは思うものの、博士論文を書いたり直木賞を取ったりするような険しいものではない。
ただ飲み続ければよいのだ。
坂道を転がるようなものである。ライクアローリングストーン。

思えば有名人のなかでも、アルコール依存になっている人がたくさんいる。
中島らも、元TOKIOの山口メンバー、ジェームズ・ヘッドフィールド(メタリカのGt/Vo)、スラッシュ(ガンズアンドローゼスのGt)、アレキシ・ライホ(チルドレンオブボドムのGt/Vo)。私が知っている範囲に偏りがあるが、きっとまだたくさんいるのだろう。

厚生労働省の情報。
アルコール依存症の生涯罹患率は1%と言われており、日本には100万人程度の患者がいると推定されている(ちなみに近い罹患率の疾患は統合失調症で、0.7%である)。
ただし、アルコール依存症ででちゃんと治療につながっているのは5万人程度、つまり依存症患者の5%に過ぎない。このように、「このままじゃまずい」と思って治療に結びつきにくいことも、この依存症の怖いところだ。
また、依存症とは言えないまでも、健康を損なったり他者を傷つけたりと、お酒にまつわる問題を抱えた人は1000万人程度いると言われている。恐ろしい話である。私も酒をわんわん飲むときがあるので、全然他人事ではないのだが。


祖父の話に戻る。
行きつけの飲み屋で、よく遅くまで飲んだくれていたという。それだけなら昭和のよくある話だが、なんとそこから乗り物的な手段で帰っていた。今だったら即刻免停である。あまつさえ家の近くの溝に車のタイヤをはめ、クラクションを鳴らしまくって寝ている家族を起こしては、車を溝から挙げてもらったようである。いい迷惑だ。

そんなに飲んでいては当然金がかかる。祖母は非常に家計で苦労したらしい。
私の知っている祖母は、よく物をため込み、整理整頓が苦手だった。
また、幼い私にやれ勉強を頑張れだの、成功しろだの的なことを話していた。それが嫌でしかたなかった。
でもそれは、お金の苦労が身に沁みついていたからなんじゃないかと、祖父の話を聞いて思いを馳せた。

父は感情的な人間でよく怒鳴っていた。
職場では評判がよかったらしいが、自分はにわかに信じられなかった。
齢を重ねて丸くなってきた部分もあったが、それでもかっとなって物を投げたりすることもあった。弟が入試の年の正月にそういうことがあったものだから、たまたま帰省していた私は辟易し、弟を連れてひっそり親戚宅に行ったこともある。
ちなみにその年、弟は入試に失敗した。たぶんそれは勉強不足だと思います。

父が怒るパターンはだいたい似ていて。
みんなで一緒に食事を摂ろうとしているのに、母が片づけを済ませたくてばたばたしていたときに多かった。待ちきれず、かっとなって「もういい!」と言ったあと、寝室に籠っていた。少し時間をおいて機嫌が直った頃、私が呼びに行っていた。自発的に行っていたのか、行かされていたのか、今となっては定かではない。
小さい時は父に対して「そんなことでいちいち怒るなよ」と思っていた。でも今思うと、きっと父は家族全員で食事を摂ることに憧れがあったし、小さい頃は祖父が不在で寂しかったんだろうなと思う。そんな短気な父だが、子どもと遊ぶ時間は大事にしてくれていた。祖父のようにはなるまい、という思いがどこかにあったのかもしれない。


お酒は楽である。
飲めば嫌なことを忘れられる、平易な手段である。
ロマネなんとかとか、高いウイスキーを飲まなければある程度安価でもある。
私も頑張った日や疲れた日は、ついつい酒を飲んでしまう。

でも。
自分が忘れたい嫌なことから目を背け続けると、傷が悪化したり、虚しさが領地を拡大したりする。
お酒をたくさん飲みたくなる背後には、お酒で穴埋めをしたい、もやもやした思いがその人の中にあるのだろう。それが常態化していくと、あと戻りがどんどん難しくなるのだと思う。ライクアローリングストーン。
人はみな孤独に弱い生き物だな、と思う今日この頃である。

あちこちオードリーに想うこと

2021-05-21 18:46:18 | その他

雨が降っているのでブログを書きます。


仕事がたまっています。
とてもたまっています。
そのせいで私のストレスがマッハです。

個人情報のことがあるので詳細は言えないのですが、昨日はとても大事な話し合いの最中に、すごく大事な書類をこっそり作成するという離れ業を成し遂げました。おかげで普段の8倍くらい疲れました。
思考回路がショート寸前です。今すぐ辞めたいよ。



最近あるTV番組をよく見ています。水曜23時からの「あちこちオードリー」です。
残念ながら家にTVが無いので、テレ東のアプリで見ています。

どんな番組かというと。
お笑い芸人オードリーの2人が週替わりでゲストとお喋りする、というバラエティです。内田真礼さんがナレーションをしています。サブタイトルは「裸のトークバラエティ」。
いちおう春日がお店の大将、若林がそこに来ている馴染みの客という設定ですが、台本やロケがあるわけでもなく、ほぼゲストと喋っているだけです。終わりごろにちょっとしたコーナーもあるものの、1時間弱喋っているだけ。
これが面白くて。

この番組のプロデューサーが、ゴッドタンでもおなじみの佐久間宜行さんです。
テレビ東京の人で、この4月に独立して「テレ東の名物プロデューサー 退社」とネットでニュースになっていました。
この人のラジオも好きで毎週聞いています。水曜の深夜3時から、オールナイトニッポン0の枠です。
このラジオも面白くて。


この二つの番組に共通するのは「他人に興味を持つ」「他人を面白がる」ということ。
あちこちオードリーでは、若林があれこれとゲストの遍歴、悩みや今後の展望を聞いていきます。事前のアンケートや打ち合わせがあるわけでもないので、その場のノリで話が展開していきます。回によっては、赤裸々な話が聞けることもあります。
そのため、宮下草薙の宮下が「そろそろ彼女にプロポーズしようと思っていて」という重大な話を勢いでしゃべったり、ロザンのコンビ間の認識の差が浮き彫りになったり、ハライチの2人が結構揉めたり。そういうちょっとしたハプニングも含めて楽しめる番組です。ゲスト同士の絡みも面白い。
それに春日がよく笑います。プロデューサーの佐久間さんも「春日って実はよく笑うんです。だから話しやすいんじゃないかな」とインタビューで話していました。

佐久間さんのラジオについて。
佐久間さんはちょっとしたエンタメのニュースや視聴者からのお便りに、心底面白そうにがはははと笑っています。それが心地いいというか、パーソナリティとして番組を楽しむ力がずば抜けている気がします。だからこそ毎回安定して面白いし、変に人をいじることもないので安心して聞けます。

このように「他人を面白いと思う」「興味を持って知りたいと思う」行為ができるのは、その人の性格もあるでしょう。
でも「どのくらい自分が確立できているか」も大きいように思います。


若林が中京テレビの番組「オドぜひ」で以前、後輩芸人のカミナリに話していました。
「自分がどれだけ面白いかをアピールするだけだと、共演者が窮屈になって離れて行っちゃう。自分が目立たなくても、自分のフリでこの人とこの人が面白くなったと思えることが大事」と。すごくいい話です。

芸人カミナリのマジ相談②(オードリーさん、ぜひ会って欲しい人がいるんです!)

こちらです、興味がある方はご覧ください。


私も20代の頃は、自分がどれだけうまく仕事ができたか、どれだけ役に立てたか、ということばかりに目がいっていた気がします。それはそれで経験になりましたが、失敗もたくさんしました。その甲斐あってか、最近はもう少し視野が広がってきて。
以前よりも人に興味が持てるようになったし、「こうしたらこの人がもっと働きやすくなるかも」「この人、今こういう状態なのだろうな」と考えられるようになりました。

この現象、すなわち「他者がどう思うか」をより意識できるようになる仕組みとはなんぞや?
共感?メンタライゼーション?他者の内在化?想像力の増幅?
そういった言葉で説明すると、どこか違う気もしていて。

そういったことをもう少し深く考えてみたいな、とも思うのですが、自分のなかではまだ形にならなくて。
そんなわけで、ここ最近もやもやした気持ちになっています。
喩えていうなら「クラウド上にあるデータがうまくダウンロードできない感じ」でしょうか。
そこに自分が必要なものはあるのに、うまくアクセスできないもどかしさ。


まあそれはいいか。
頭が疲れているため、話がまとまらなくて申し訳ないです。
最近は忙しいですがまあまあ元気に生きています。
そろそろ音楽をやりたいです。ウワアアアアアア、ウオアアアアアア!!