ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「なくしてしまった魔法の時間」 安房直子コレクション

2023-01-22 | 読書日記

「安房直子コレクション1  なくしてしまった魔法の時間」(安房直子著 2004年3月 偕成社刊)を読みました。

挿絵は北見葉胡さんです。

「きつねの窓」
他11編が収録されています。

教科書にも掲載されている「きつねの窓」
もいいけれど
この中では
「北風のわすれたハンカチ」が特に好きです。

北風の吹く寒い山の中にひとりぼっちで住んでいる熊
熊は
父さんがドーンとやられて
母さんもドーンとやられて
妹も弟もみんなおんなじで
とってもさびしいんだ
胸の中を風が吹いているみたいに
なのです。

ある日
北風がやって来ました。
北風の持っているトランペットを習おうとした熊は
前歯を折ってしまいました。

またある日
今度は北風のおかみさんがやって来ました。
おかみさんの持っているバイオリンを習おうとした熊は
見込みなしと言われてしまいました。

またまたある日
北風の少女がやって来ました
……

「雪は、ほと、ほと、ってうたいながら落ちてくるのよ」

「耳に
青いハンカチを、花のようにかざった熊が一匹
しあわせな冬ごもりにはいったのです」
(しあわせな眠り)

という表現が素敵です。

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