ツルボが咲いています。
「蝶として死す」の羽生飛鳥の2作目
「揺籃の都」(羽生飛鳥著 2022年6月 東京創元社刊)を読みました。
時代ものミステリとしてはめずらしい平家の時代が舞台です。
前作と同じく探偵役は平頼盛
(平清盛の父忠盛と正室・池禅尼の子
清盛とは15才離れている)
清盛が旅から帰った日
福原(遷都後)の清盛の館に
偶然
頼盛、清盛の子息・宗盛、知盛、重衡が集まった。
その夜は雪。
いくつもの事件が起こる。
頼盛の追っていた青侍の遺体が
切り刻まれた状態で塀の外に散らばっていた。
厩では清盛のペットの猿が殴り殺されていた。
清盛の枕元にあった刀が紛失した。
厳島神社の巫女の小内侍という少女が「神」を見たと言う。
その小内侍は
清盛の書で封印された祈祷所の中から消え
逆さ釣りにされた姿で発見される。
屋敷内の多くの人が巨大な鳥が飛ぶのを見たという
……
この全ての事件を仕掛けたのは
同じ人物なのか
それとも複数の人物なのか?
頼朝の助命を嘆願した池禅尼の子ということで
一族から疎外されている頼盛に
協力的でない宗盛たち三兄弟
何かを企んでいるらしい清盛
不案内な館
暗がり
雪
なぜ遷都した福原が揺籃(ゆりかご)の都なのか
……
二重底のような解決が
お見事です!