ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「臆病者の自転車生活」 電動自転車からロードバイクへ

2023-01-14 | 読書日記

「臆病者の自転車生活」(安達茉莉子著 2022年10月 亜紀書房刊)を読みました。

自称「根気がなく、回避傾向があり、気も弱い
いつだって怯えた犬を内側に抱えて生きている」
という著者が
自転車と出会って変わっていくすがたを語ったエッセーです。

文学フリマに出したZINE「私の生活改善運動」が思いがけず売れて
その収益で
電動アシスト自転車を手に入れた著者。
高校時代に
体格のいい同級生が小さな自転車に乗っている姿を
友人グループが大笑いして見ていた記憶が
著者を自転車から遠ざけていた。
(著者は運動の苦手なふっくらタイプ)

電動自転車に乗るようになって
髪を切って
体型をカバーするために着ていたスカートをやめて
パンツを買った。
「弱虫ペダル」(コミック)を読み始めた。

最初の遠出は鎌倉だった。
そして思った
もっともっと遠くまで行ってみたい。
電動自転車では行けないほど遠くまで。

そんな思いを抱いてふと入った自転車店で
「お客さんには、ロードバイクが合っている」
というお墨付きを貰ってしまう。
どうしてもロードバイクが欲しい!
という思いは強まる。
そこから
苦心して中古のロードバイクを手に入れ
真鶴まで行き(75㎞)
(雨だった)
「ぐらぐらと体の奥底、足元から沸き上がってくるものがあった
それは誇らしさだった
私は人生でたぶん初めて
自分を心から誇らしいと感じた
始めて体の底から
祝福の風船が次々と浮かび上がって空に放たれるように
そう思った」
という思いを抱いた。

それからも
自転車を分解してバッグに入れて電車に乗って
フェリーに乗って
北海道まで行って
支笏湖岸を走ったりするなど
著者の輪行は広がっていく。

臆病者というより正直者


 

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