索引 名著「千の顔をもつ英雄」ジョーゼフ・キャンベル
映画「スター・ウォーズ」「ディズニー・アニメ」の元ネタして使われ、ジョージ・ルーカスを始め、多くのクリエイター、映画製作者、脚本家たちに圧倒的な影響を与え続けている名著があります。
ジョーゼフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」(1949)。
世界中の神話を調査・研究し、その中に、どの神話にも共通する構造があることを明らかにした神話学の名著です。
著者のジョーゼフ・キャンベル(1904-1987)によれば、私たち現代人にとっても、神話は全く意味を失っていないといいます。
その言葉の真意とは何なのか? そして私たち現代人にとって神話はどんな意味をもちうるのか?
「千の顔をもつ英雄」を手掛かりに、その深いメッセージに迫っていきます。
キャンベルは、世界中の神話には、「出立→イニシエーション→帰還」という共通構造が見出されるといいます。
主人公の英雄は、何者かの召命を受け、異世界への冒険の旅へと旅立ちます。
異世界で、英雄はさまざまな試練に直面しながらも、それらを乗り越え、大いなる秘宝や自分にとってかけがえのないパートナーを得ます。
最後に英雄は、自らが得たものを携え、さまざまな障害を振り払いながら現実世界に帰還。
その世界に豊かな実りや変化をもたらすのです。
こうした「行きて帰りし物語」は、神話に共通している構造というだけではありません。
私たち人間が人生において精神的な成長を遂げるとき、ほぼ同じプロセスを経ます。
いわば、その成長段階を確認したり、活性化したりするために、人類は「神話の知恵」を利用してきたというのです。
われわれ現代人は、そのような「神話」を迷信として排除し続け、その意味を見失ってしまいました。
しかし、キャンベルは、人間の精神の動き、人生においての人格の変容の仕方は、古来から全く変わっていないといます。
むしろ、新しい形で、「神話的思考」を取り戻すことが、個人や社会に大きな豊かさをもたらしていくことにつながるというのです。
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