100分de名著 スピノザ「エチカ」
② 本質
古来ものごとの本質は「形」とされてきた。たとえば、馬と牛はその外形や解剖学的な差異で分類される。
私たちの知は、本質を固定した「形」とすることで成り立っているのだ。
しかし、スピノザは、本質を「力」とみることでこれまでとは違った見方を提示する。
たとえば、同種の馬でも、環境や関係や歴史が違えば、野生馬、競走馬、家畜といった風に、自らの力を増大させるために異なった生態を生きることになる。
人間もそうした視点でとらえてみると、決められた本質を目指すのではなく、それぞれの特性にあった「力」ののばし方を考えるべきだという発想に変わっていく。
第二回は、あらかじめ固定された「形」ではなく、それぞれの環境で独自にのばしうる「力」として本質をとらえることで見えてくる、スピノザ独自の人間観に迫っていく。
Once upon a time in America