「朝日新聞」2013.7.23(朝刊)の以下2つの記事は、集団的自衛権と改憲問題の今後について、分かりやすい形でまとめられている。
(1)「集団的自衛権 来月にも議論 首相、関連法整備も意欲」
【重要部分の記事概要】
①安倍首相は昨日(2013.7.22)の記者会見で、集団的自衛権の解釈変更に関して、「安保法制懇」での議論を加速させる考えを示した。
②さらに、憲法解釈の変更だけでなく、「部隊が対応するには法的な裏付けが必要だ」とした。そして、集団的自衛権行使の手続きを定めるために自民党が準備してきた国家安全保障基本法案について、「閣法(政府提出法案)であるべきだ」と述べた。
③政府提出法案は、提出前に憲法との整合性について内閣法制局の厳格な審査を受ける。
【参考】
社会民主党の機関紙「社会新報」(週1回発行/タブロイド版)2013.5.15号に掲載の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授インタビュー記事の一部を、以下に転載する。水島教授は、私(星徹、*社会民主党とは無関係)の質問に対して、次のように語った。
━━集団的自衛権行使の合憲化の狙いは。
水島朝穂教授 米国の海外軍事作戦に自衛隊を参加させる理由づけにしようとしているのです。まず個別のケースで突破口を開き、それを足掛かりに集団的自衛権行使のすべてを合憲化しようとしているのでしょう。
安倍首相は、これを「閣議決定で行なう」としています。しかし、内閣法制局はこれまで解釈の積み重ねで「違憲」判断を出し、歴代内閣もその結論を維持してきました。安倍首相はそれをひっくり返そうとしていますが、説得力ある説明は一切ありません。
━━しかし、安倍政権が突っ走ったら、内閣法制局は従わざるをえないのでは。
水島 そうなのですが、内閣法制局は「やっていられない」ということになる。もし「合憲」解釈に変更すれば、「自衛隊は憲法が禁ずる戦力ではなく、必要最小限度の自衛力だから合憲」との既存の解釈も変更しなければなりません。しかし、これは変えようがない。
[インタビュー記事抜粋終わり]
つまり、もし集団的自衛権の解釈を変更するならば、内閣法制局がこれまで苦しいながらも「自衛隊は合憲だ」としてきた説明とも、矛盾することになる。こんな無理な解釈を重ねていけば、憲法の意味がなくなってしまうのではないか。
それが彼らの狙いなのかもしれない。そういった流れができれば、「もう憲法を変えてスッキリした方がいい」と考える国民が、今以上に増える可能性が高くなるのでは。
(2)「安倍官邸、数が力 政権運営は「6年スパン」」
【重要部分の記事概要】
①安倍首相は、経済再生と改憲を両立させるため、長期政権の青写真を描き始めた。選挙戦の終盤、首相は周囲に「憲法改正は1、2年でできるものではない。6年くらいかけなければ」と漏らした。
②安倍首相のシナリオは、
(a)2015年9月が任期の自民党総裁に再選される、
(b)国政選挙のない3年間を乗り切る、
(c)次の衆参両院選挙に勝つ、とうまくこなして、2期6年の自民党総裁任期を全うしよう、というもの。
③当面は、改憲手続きを定めた国民投票法の改正に取り組み、改憲の環境整備を優先する。
④今後、全国で自民党の憲法改正草案に関する対話集会を積み重ねる考え。
⑤安倍首相の政権構想は、「6年スパン」(首相側近)だ。
(1)「集団的自衛権 来月にも議論 首相、関連法整備も意欲」
【重要部分の記事概要】
①安倍首相は昨日(2013.7.22)の記者会見で、集団的自衛権の解釈変更に関して、「安保法制懇」での議論を加速させる考えを示した。
②さらに、憲法解釈の変更だけでなく、「部隊が対応するには法的な裏付けが必要だ」とした。そして、集団的自衛権行使の手続きを定めるために自民党が準備してきた国家安全保障基本法案について、「閣法(政府提出法案)であるべきだ」と述べた。
③政府提出法案は、提出前に憲法との整合性について内閣法制局の厳格な審査を受ける。
【参考】
社会民主党の機関紙「社会新報」(週1回発行/タブロイド版)2013.5.15号に掲載の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授インタビュー記事の一部を、以下に転載する。水島教授は、私(星徹、*社会民主党とは無関係)の質問に対して、次のように語った。
━━集団的自衛権行使の合憲化の狙いは。
水島朝穂教授 米国の海外軍事作戦に自衛隊を参加させる理由づけにしようとしているのです。まず個別のケースで突破口を開き、それを足掛かりに集団的自衛権行使のすべてを合憲化しようとしているのでしょう。
安倍首相は、これを「閣議決定で行なう」としています。しかし、内閣法制局はこれまで解釈の積み重ねで「違憲」判断を出し、歴代内閣もその結論を維持してきました。安倍首相はそれをひっくり返そうとしていますが、説得力ある説明は一切ありません。
━━しかし、安倍政権が突っ走ったら、内閣法制局は従わざるをえないのでは。
水島 そうなのですが、内閣法制局は「やっていられない」ということになる。もし「合憲」解釈に変更すれば、「自衛隊は憲法が禁ずる戦力ではなく、必要最小限度の自衛力だから合憲」との既存の解釈も変更しなければなりません。しかし、これは変えようがない。
[インタビュー記事抜粋終わり]
つまり、もし集団的自衛権の解釈を変更するならば、内閣法制局がこれまで苦しいながらも「自衛隊は合憲だ」としてきた説明とも、矛盾することになる。こんな無理な解釈を重ねていけば、憲法の意味がなくなってしまうのではないか。
それが彼らの狙いなのかもしれない。そういった流れができれば、「もう憲法を変えてスッキリした方がいい」と考える国民が、今以上に増える可能性が高くなるのでは。
(2)「安倍官邸、数が力 政権運営は「6年スパン」」
【重要部分の記事概要】
①安倍首相は、経済再生と改憲を両立させるため、長期政権の青写真を描き始めた。選挙戦の終盤、首相は周囲に「憲法改正は1、2年でできるものではない。6年くらいかけなければ」と漏らした。
②安倍首相のシナリオは、
(a)2015年9月が任期の自民党総裁に再選される、
(b)国政選挙のない3年間を乗り切る、
(c)次の衆参両院選挙に勝つ、とうまくこなして、2期6年の自民党総裁任期を全うしよう、というもの。
③当面は、改憲手続きを定めた国民投票法の改正に取り組み、改憲の環境整備を優先する。
④今後、全国で自民党の憲法改正草案に関する対話集会を積み重ねる考え。
⑤安倍首相の政権構想は、「6年スパン」(首相側近)だ。