三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

「朝日」社説から考える「日本を含むG7の不正義」

2024-04-20 14:41:29 | 国際政治
 本日2024.4.20の「朝日新聞」社説「イスラエルとイラン 危険な報復合戦やめよ」は非常に良かった。タイトルは良くないが、もしかして「隠れ蓑」の高等戦術?

 まず、経過説明として、以下。

 今年4月1日、シリアのイラン大使館(領事館)が爆撃され、イラン革命防衛隊の幹部ら7人などが殺害された。イスラエルが爆撃したもの、と見られている。これに対し、イランは同13-14日、イスラエル領内の軍事施設等に抑制的な報復攻撃を行なった。イスラエル側の被害はほとんどなかったという。イスラエルは、これへの報復として同19日、イラン国内の一部軍事施設を限定的に攻撃したと見られている。

 同社説の中で注目すべきは、中頃の「不可解なのは」以降だ。

 主要7カ国のG7〔米・日・英・仏・独・伊・カナダ〕がイスラエルをほとんど批判しない一方で、イランのみを厳しく批判していること、さらに日本政府もこれに同調していることを取り上げ、二重基準として批判している。さらに、同じ構造はイスラエルによるガザ地区への軍事攻撃に関しても見られる、としている。

 まさにそのとおりだ。「朝日新聞」は一般記事でも、特にガザ地区の問題に於いて、同様の指摘を行なっている。高く評価したい。だが、公平な視点で見れば当然の主張であり、こうした主張に与(くみ)しないほうこそが「歪んだ視点」と言えるのではないか。。

 私も当ブログで、昨今の「ガザ問題」に於いて日米欧を中心とする二重基準(ダブルスタンダード)の問題を取り上げ、繰り返し批判してきた。以下を参照されたい。
 
 当ブログ2024.1.30「国際司法裁判所の「対イスラエル」命令に反する日本など」
 同2024.2.22「ジェノサイドUSAとロシア「良い国」化の悪夢」
 同2024.3.31「日本の中東外交 「いやな感じ」と不合理」


 今月(4月)岸田首相は訪米し、日米首脳会談などで日米同盟について「前のめり」の発言を連発した。日米首脳共同声明では、「作戦と能力のシームレスな(継ぎ目のない)統合を可能にし、平時と有事に於ける自衛隊と米軍の間の相互運用性と計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」などと謳った。

 また米連邦議会では、「日本は米国と共にある」として、〈安全保障面で米国のパートナーとして前面に立つ〉かのようなリップサービスまでした。米議員の多くはスタンディングオベーションで岸田首相の演説に応え、褒めたたえた。岸田首相は嬉しそうに頬を緩め、日本国内では見られないような自信に満ちた表情を見せた。

 岸田政権は結局、「何があってもアメリカさんと運命を共にします」「だから、日本に何かあったら助けてくださいね」という方針の下で突き進んでいる、ということではないか。それに伴い、親米諸国とも安全保障面で共同歩調を採る、と。まさに「一本足打法」だ。

 日本は少し前〔*2012年12月に始まる第2次安倍政権より前〕まで、米国とは友好関係を維持しつつも、場合によっては米同調の「一本足打法」ではない是々非々の外交方針〔*特に中東外交〕を採ってきたはずだ。その基本は、「親米」という限界を踏まえながらも、国際社会の中で「社会正義の実現」を追求することで日本の国際的地位を高めていく、ということではなかったか。

 だが、昨今の日本政府の姿勢は、国会での十分な議論も国民の間での議論もないままに、危うい方向に急激に舵を切っているのではないか。もしそうした方向に進みたいというのなら、憲法との整合性を含めて徹底した議論が必要なはずだ。

*一部で若干の修正をした。〔2024.4.30〕
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