読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

米澤穂信著「Iの悲劇」

2021-08-03 | や・ら・わ行
連作短編ミステリードラマ。山あいの小さな集落、簑石。ここは6年前に住む人が立ち退いていなくなり一度死んだ村。ここに人を呼び戻す。それが南はかま市Iターン支援プロジェクト「甦り課」の使命だ。人当たりがよく、さばけた新人、観山(かんざん)遊香。出世が望み。公務員らしい公務員、万願寺(まんがんじ)邦和。とにかく定時に退社。やる気の薄い課長、西野秀嗣。この3人が日々舞い込んでくる移住者たちのトラブルをさばく。一癖ある「移住者」たちと、彼らの間で次々と発生する「謎」。最終的に解決するのはいつも・・・。限界集落対策に頭を悩ませる自治体職員の奮闘記。徐々に明らかになる、限界集落の「現実」。何もない過疎地に、なんでこんな事件が起こるのか。そして終章で明かされる「衝撃」。地方行政に携わる公務員の悲しい現実がよく表現されています。日本の地方自治はもはや自治体レベルでどうこうするのは難しいという現実。いつもTVで見ている「ポツンと一軒家」や「何故そこ」を思い出した。万願寺のその後が気になったが一気読みできる面白さだが、読後感はハッピーではない。
2019年9月文藝春秋社刊


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