読書備忘録

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酒見賢一著「後宮小説 」

2010-09-15 | さ行
後宮(こうきゅう)とは、王や皇帝などの后妃が住まう場所。
著者の酒見は1989年 にこの小説で第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞しデビュー。
17世紀、素乾国で皇帝腹宗の崩御に伴い即位する新皇帝の後宮整備が行われることになった。
宮女募集が行われた緒蛇県で、14歳の少女「銀河」がこれに応募し、後宮の教育機関である女大学に学ぶこととなった。
銀河を含む一行は都城である北師への旅が始まる。
その道中で義賊である平勝と厄駘(のちの渾沌・幻影達)に出会う。
北師に到着し、宮女としての教育を受けることになるが、天真爛漫で儒学の考えのない銀河は、仲間や師となる瀬戸角人と出会い、
その中で房中術に基づいた奇抜な後宮哲学を学ぶ。
そのころ、宮廷では新皇帝に即位した双槐樹に対し、異母弟である平菊を即位させようという琴皇太后一派による皇帝暗殺計画が進められていた。
そんな状況の中、銀河は双槐樹と瀬戸角人の遠謀によって正妃として立后される。
宮廷内の陰謀が渦巻く中、銀河が北師に向かう道中で出会った平勝と厄駘が、退屈しのぎという理由で挙兵を行った。
この反乱軍を利用して、平菊擁立を目指す琴皇太后は瀬戸角人の弟子である菊凶と通じ、反乱軍を宮廷に導こうとする。
渾沌(厄駘より改名)はこの琴皇太后の陰謀を退け、幻影達(元の平勝)は北師攻撃を実行。
反乱軍を過大に評価した宮廷内では、もはや武力で反乱軍に対抗する術もなく、数百人の宮女達が住まう後宮もその略奪対象として攻撃を受けることになると大慌て。
後宮を守るべく、銀河は宮女や宦官と協力し、幻影達の軍勢に対抗するが・・・。
著者は中国史から題材をとることが多い作家。
史実を元にしながらも、それに捕らわれず自由な発想で斬新な解釈をしてのちに映画にもなった
『墨攻』孔子を扱った超長編『陋巷に在り』など多数の作品を書くことになった記念すべき作品。
中国風の架空の国である素乾国を舞台とした中国版シンデレラ物語、奇想天外なファンタジー小説。
1989年12月新潮社刊 1993年新潮文庫刊

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