加賀恭一郎シリーズ10作目。今回はこれまで謎だった加賀の母親が蒸発した理由が明らかになります。仙台で小料理屋とスナックを営む宮本康代は、当時36歳だった田島百合子という女性を従業員として雇います。この人がのちに加賀の母親と解る過程が描かれます。
数年後、東京では、女性演出家浅居博美が日本橋の明治座で「異聞・曽根崎心中」という芝居の幕開けを迎えています。しかし彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見されて事件が動き出します。警視庁捜査一課に勤務している、加賀の従弟の松宮修平が捜査を開始します。数々の人生が絡み合い謎が謎を呼び、捜査は混迷を極めるが・・・「悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか」博美の辿った人生にも哀憐がありました。複雑なパズルを解く如く、人の人生に思いを馳せ楽しく読めました。
2013年9月講談社刊
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