読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

東野圭吾著『ラプラスの魔女』

2018-01-18 | 東野圭吾

超能力を扱った空想科学小説。羽原円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な能力が備わっているのではと、疑いはじめる。同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する。・・・仏国のピエール・シモン・ラプラスという数学者の仮設=ラプラスの悪魔「自然界を貫く法則を熟知し,自然の全構成要素について初期条件と束縛条件を認識すれば,自然界のあらゆる現象を計算・予測できる。未来の状態を完全に予知できる」連続して起きた2つの不審死。それぞれの事件現場が遠く離れているにもかかわらず、死因はどちらも同じ自然現象下での「硫化水素中毒死」そして、死亡した二人は知人同士であった。もし一連の事件が事故ではなく、他殺と仮定するならば、犯人は「完全無風状態になる一瞬」をあらかじめ知っていて、「その瞬間、致死量の硫化水素が発生する場所」へと「ピンポイントで被害者を誘導した」ことになる。“ラプラスの悪魔”でもない限りそんなことは絶対に不可能だ。青江は、自然科学的見地から事件性を否定。封鎖された事件現場の地形や地質、気象などを念入りに検証していくのだが。・・・展開は面白くてある程度予想がつきやすく引き込まれて読み進めたが空想科学小説はどうもご都合主義に見えてきて苦手だ。今年、三池監督・櫻井翔・広瀬すず等で映画化がされているとか出来が楽しみです。

「世界は一部の天才や狂った人間たちだけで動かされているわけじゃない。一見何の変哲もなく、価値もなさそうな人々こそが重要な構成要素だ。人間は原子だ。一つ一つは凡庸で、無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。この世に存在意義のない個体などない。ただ一つとして」(P436)2015年5月角川書店刊


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