読書備忘録

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堂場瞬一著「帰 還」

2021-10-23 | 堂場瞬一
事故死とされた新聞記者の死の真実を探るサスペンス小説。「なぜ友は死んだのか。」入社して三十年。工場夜景の撮影中に、東日新聞四日市支局の記者、藤岡裕己が水路に転落して溺死。警察は事故死と判断したが、本当なのか。葬儀に出るために同期の3人が四日市に向かったが、彼らは藤岡の死に釈然としないものを感じた。以前、水害の取材で流されそうになって水に恐怖感をもっていた藤岡が、危険な水路の撮影に行くだろうか。事故か、自殺化、他殺か。そもそも、社会部から異動してずっと総務局勤務だったのに、突然、50歳を過ぎてからかつていた四日市支局に異動の希望を出したのも解せない。25年前に四日市支局の園田という記者が自殺したことがあったが、何か関係があるのか。通夜には珍しい男の姿があった。衆院選で当選して、1期で辞めた猪熊一郎だった。同期の死に不信感をもった藤岡とともに新人時代を三重県で過ごした同期三人が、真相究明に乗り出す。気ままな編集委員の松浦恭司、初の女性役員になりそうな高本歩美、何故か出世ルートをはずれ出向中の本郷太郎、それぞれ家族の問題でも悩みを抱えていた。共通の悩みは「新聞離れ」による経営の悪化だ。人は減らされ、経費は使えない。やがて3人はある疑惑にたどり着く。新聞社が置かれた厳しい現状と定年が近いそれぞれの記者人生と、地方特有のムラ社会のつながりを絡ませたミステリー。展開が遅く人間関係の複雑さなど読み難いし、結末の曖昧さも納得のし難い出来。四日市市が舞台だったが唯一の興味だった。2019年4月文藝春秋社刊  


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