読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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篠田節子著「ブラック・ボックス」

2014-05-15 | 篠田節子
テーマは「食の安全」。
会社の不祥事で故郷に逃げ帰ってきた元広告塔・加藤栄実(サラダ工場のパートタイマー)
どん詰まりの地元農業に反旗を翻した野菜生産者・三浦剛(野菜生産者)
玉の輿結婚にやぶれ離婚してUターンしてきて今は栄養士の仕事に情熱を傾ける市川聖子(学校給食の栄養士)
真夜中のサラダ工場で、最先端のハイテク農場で、閉塞感漂う給食現場で、元高校の同級生の彼らは食に安全のために一緒に戦うことに。
食い詰めて就職した地元のサラダ工場で、栄実は外国人従業員たちが次々に体調不良に見舞われるのを見る。
やがて彼女自身も体調不良の兆しが・・・。その頃、最先端技術を誇るはずの剛のハイテク農場でも、想定外のトラブルが頻発する。
複雑な生態系下で迷走するハイテクノロジー。
過酷な労働環境の所為なのか、それとも・・・栄美は不審を抱き原因を追究しだす・・・。サラダ工場の労働環境と食の安全とは何か。
ハイテク工場で工業製品のように生産される野菜、児童に多発するアレルギー。工場で、農場で、学校で、同時多発的に起きる諸種の問題・・・それが複雑に絡み合ったひとつの問題であることが次第に見えてくる。
栄美がひどいと感じた外国従業員の労働環境は、彼女らにとっては必要なのであり。
農家の剛にとってもハイテク農場で作物を管理することに違和感を覚えているが、通常の農業では食べてはいけない現実がある。
まさにブラックボックスである製造工程には不安であるが経営者でもあるが故に内部告発はできない。
外国人労働者、遺伝子組み換え作物、食物汚染、食品添加物など
問題を次から次に提起しながら、サスペンスのように読む者に問いかける小説です。
因果関係は不明だがアレルギー、発癌物質の原因がと考えると今まで何の気なしに食べていた食品の生産地や原材料・成分に
関心がいかざる得ないと考えさせられた小説でした。


2013年1月朝日新聞出版刊

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