小山田真智子は40に手が届く女性ライターだ。女性ベストセラー作家・夏木柚香が急逝した、すべてに恵まれ芸大声楽科を卒業した美貌の人妻で、理解ある夫、素敵な恋人、可愛い子供。だが、「私の作品は、五年しかもたない」という言葉を遺した。彼女の美しい仮面の下に抱いていたのは華やかな姿ばかりが目に付くその裏側には想像を絶する孤独があったのだ。彼女の評伝を書くことになった女性ライターが急逝した美貌の女性流行作家夏木柚香の本当の姿を抉り出す。万智子が取材を重ねるうち、柚香のそれまでの神話が崩れ、新たな神話が出来上がってくる。華やかな女性作家の作り上げられたイメージの底にある本当の姿とはなんだったのかをミステリー風に女の心の闇底に潜む真実に迫る。それは二転三転しやがて四転・・・。出版業界の裏側や能・舞踊などの薀蓄は興味深かった。話の展開に一気に読めました。
1999年12月角川書店刊
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