読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

天童荒太著「静人日記 」

2010-02-07 | た行
直木賞受賞作『悼む人』の主人公で見知らぬ死者を悼み、全国を放浪しながら“悼みの旅”をしている坂築静人がつづった日記。
新聞の死亡記事を見て、亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」。
日記という形式をとり、過酷な旅の全容と静人の脳裏に去来する様々な思いを克明に描いている。
人の死を知り、その死んだ人の善き事を覚えて悼むという、常人にはちょっと理解しがたい行為で、ただ、ただ、自分のために旅を続ける静人。
小説的な面白さを期待するとガッカリしますが日々、どのように旅をし、死者を追い、悼んでいるかが解ります。
死者の周辺の人々から疎んじられ、罵声を浴びせられることもあるが、時にはあなたの行為で救われたと、感謝されることもある。
だから悼むという行為に対して彼自身が抱く疑問や矛盾、彼がどのように向き合っていたかも日記には現れています。
亡くなった人は善人ばかりではなく、人から憎まれていた人もいて、乳児や幼児もいれば老人もいる。
そんな中で、どうやって1人1人を同じように悼むことができるだろうかが書かれています。
これは、彼の“悼み”の記録であり200余篇の生と死と愛の物語です。
著者が7年もの歳月をかけて取り組んだ「悼む人」の続編です。
「悼むとは覚えておくこと」(56P)「かけがえのない人がこんなにも大勢亡くなっている事実に、胸がふさがれたこと、同時に、自分がいま生きていられることにあらためて感謝したくなった」(251P)
「いま、世界で最も必要とされる人物の物語」(著者)

2009年11月 文藝春秋刊

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