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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

坂井希久子著「泣いたらアカンで通天閣」

2013-03-30 | さ行
大阪ミナミ通天閣の近くのラーメン屋店主のゲンコ(三好賢悟)と看板娘センコ(千子=チネ)。
どん詰まり下町商店街に息づく、とびっきりの人情と家族の感動物語。
シャッターが目立つちょっと寂しげな北詰通商店街に店を構える「ラーメン味(み)よし」。
「味よし」とは名ばかりで、店主のゲンコが作るラーメンはえらく不味く、赤字続き。ゲンコはしっかり者の一人娘・センコの目を盗んでは、店をほったらかしてふらふら遊びに行ってしまう。センコは帳簿とにらめっこしては頭を抱える日々。
さらに自身の厄介な恋愛問題にもモヤモヤしながら毎日を過ごしていた。
そんなある日、東京で就職した幼馴染のカメヤが突然帰ってきた。だがコソコソしていてどこか様子がおかしい。
さらにどういうわけかゲンコが、街の問題児・スルメを家で預かると言い出し、そんな余裕はないと激怒するセンコだったが・・・。
一瞬吉本の喜劇や「ジャリンコちえ」を想像したが、くせ者揃いの家族とお節介なご近所さんに囲まれた、センコ達が住む「街の息遣い」が聞こえてきそうなテンポのよい大阪の人情味があふれ出す人情話でした。
2012年5月 祥伝社刊
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新庄耕著「狭小邸宅」

2013-03-27 | さ行
2012年第36回すばる文学賞受賞作。
名門大学出身という「プライド」と、不動産営業の「後ろめたさ」との間で揺れ動く入社2年目の松尾「僕」が主人公。一戸建物件を売る不動産会社に勤める営業なのだが扱う「狭小邸宅」は、都心の狭い敷地に建つ細長いペンシルハウスを意味する物件。ノルマと、容赦ない上司の罵声に追いかけられる毎日。そこは売上という結果以外、評価されない過酷な職場だのだ。ある日上司から戦力 外通告を受け
別の営業所への移動命令を受る。しかし売れない営業マンの烙印を押されたままでは、異動先の営業所でも早速辞職を迫られる始末。ある日、幸いにも不良在庫気味の物件が売たことにより、周囲からの目も変り徐々に認められようになり、伝説の課長からマンツーマンともいえるOJTの結果徐々に売れる営業マンに・・・。
不動産会社の社長は言う
「いいか、不動産の営業はな、臨場感が全てだ。一世一代の買い物が素面で買えるか。客の気分を盛り上げてぶっ殺せ。いいな、臨場感だ、テンションだ」(P80)
「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだっ。売れ、売って自己表現しろっ。
こんな分かりやすく自己表現できるなんて幸せじゃねえかよ。他の部署を見てみろ、経理の奴らは自己表現できねぇんだ、可哀想だろ。売るだけだ、売るだけでお前らは認められるんだ。こんなわけのわからねえ世の中でこんなにわかりやすいやり方で認められるなんて幸せじゃねえかよ。最高に幸せじゃねえかよ。」(P81)
やがて金回りもよくなり自分自身も変わっていき仕事ができるようになった「僕」だったが、折角出来た同棲相手にも去られ生活が確実にどこかが狂ってくる。
つまり狂った営業マンだけが「狭小」な家を「邸宅」として売ることができるようになったのだ。

人は何のために働くのかとか、個人と仕事との関係性や家族の存在など考えさせられた小説でした。 

2013年2月集英社刊
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白川 道著「身を捨ててこそ 新・病葉流れて」

2013-03-10 | さ行
主人公、梨田雅之が、麻雀と女通して成長していく過程を描いたシリーズ第4作目の青春ギャンブル小説。
前作で極道に襲われて一ヶ月に及ぶ入院生活を終えた梨田雅之の、新たなる流浪の日々を描く。
フラっと立ち寄った雀荘で出会った初老の男・砂押。魑魅魍魎を相手に一歩も引かなかった梨田でさえ、どこか遠慮してしまう独特のオーラ。やがて梨田は砂押の紹介で東京の広告代理店に勤めることになるが、周りには一癖も二癖もある男たちがいて、サラリーマンの理不尽さと窮屈さを味わうことに。
そして、あることで恋仲になった女子大生・水穂との出会いも。会社生活を通じて社会や時代の摂理を学んでいくはずだった主人公だが、生真面目な社会人生活を送れるはずもなく・・・。
1970年前後という激動昭和の時代を背景に、病葉・梨田雅之は、どこまで昇っていくことができるのか?
どう生きるのか?波乱の展開を予想させて一体どんな行動をするのか?
次回作第5弾「浮かぶ瀬もあれ(新・病葉流れて)」に続く。
前3作も読んでいないのに突然読んだのだが、感情移入しやすい破天荒なキャラで麻雀シーンやギャンブルシーンが
何度も出てきて高度成長のよき時代昭和を思い出す面白い小説でした。

2012年5月 幻冬舎刊
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柴田哲孝著「チャイナ・インベイジョン 中国日本侵蝕」

2013-02-12 | さ行
2009年秋、「日本が危ない」と言い続けていた一人の政治家の死から物語は始る。
北海道の予備自衛官厚間、週刊誌の元編集長でフリーライターの太田、警視庁公安部外事二課の阿達司、自衛隊などのそれぞれの立場から調査を始めた男たちは、増強を続ける隣国・中国が、北海道などで日本の国土を次々と買いあさっている事実に突き当たる。それらの多くは日本の国防上重要な地点に隣接していた。
尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件など過去数年間に起こった中国関連の「事実」をもとに、日本国民が中国に対して感じる不気味さの正体、中国が日本に対して密かに静かに実行しつつあるのではという「戦略的な意図」を示唆しようとしている。
現在進行形の話であり、実際に日本の土地を買いまくり(中国資本による自衛隊基地周辺、原発周辺の土地取得)と、治外法権の拡充を強いる中国とそれに嬉々として応じる日本の政治家や役人たちの売国奴ぶりに怒りを感じるとともに日本の行く末と将来を危惧する内容に共感した。
実名は仮名に変えられているが政治家が中川昭一をさすこと、登場する中国の政治家も大体想像がつく中国側の目的が実際のところ何なのかは不明だが、著者の指摘するような意図もありえる。
そして終章はこのまま「日中もし戦えば・・・」の予想が記されて終る。
米軍まかせで平和ボケの日本は例え最新鋭の装備等に優れていても
ひとたまりも無いことは容易に予想できる。
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仙川環著「人工疾患」

2013-01-26 | さ行
ある事情で身体の成長を止められた少年ユウキに秘められた謎とは、医療ミステリー。
ミステリー作家の石井さおりは、書き下ろし原稿執筆のため、伊豆の別荘にやってきた。
彼女は執筆の合間の散歩中、坂の上に建つ洋館で暮らす、柴田祐紀という6歳の少年と出会う。彼は病気療養のため、洋館に滞在していると言うが、病名については口を閉ざす。
ユウキの面影に既視感を覚えたさおりだったが、自分の幼少時代を知るかのような彼の言動に疑念を持つ。やがて、ユウキの生い立ちを探り始めたさおりは、彼と話すうちに、とても6歳とは思えない言動に不審を抱き始め、やがて、彼の脳は成人男性のもので、身体だけはいつまでも6歳児のままなのではないかとの疑問が生じる。
さらに、祐紀の父親が日本を代表する遺伝子研究者であることが分かり・・・。
あどけない笑顔の裏に隠された悲愴な真実を知ることになる。さおり中心の話しの展開とは別にある「手記」が挿入され進行する。後半手記の書き手とさおりの関係が明らかになる仕立てだが「成長に関するホルモンを阻害する蛋白質の遺伝子を片っ端から」注射した結果の悲劇にはリアル感が感じられず消化不良のような読後感が残った。
2012年9月 朝日文庫刊
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柴田哲孝著「秋霧の街」

2012-10-11 | さ行
「渇いた夏」「早春の化石」「冬蛾」から続く私立探偵 神山健介シリーズ第4弾。
新潟在住の弁護士の紹介で2年前に報道された女性殺人事件の再調査を依頼される。
調査を開始すると不自然な事や矛盾点が多い事が解りはじめる。
殺された女性乙川麻利子を最後に呼び出して行方不明になっている元同級生の五十嵐というの容疑者、
不可解な警察の動き、散らつくロシア人の影...。
やがて殺されたはずの乙川麻利子を名乗る謎の女・マリアが接触してくるのだが・・・。
今回はかなりハードで過激なエロシーンが多い男臭い展開。
神山って何処で銃の扱い方覚えたんだったけ。。。
動機やミステリー的には不満な展開だがでもそれなりにリアル感があって面白いまだまだ続きそうなシーリーズです。
 2012年5月 祥伝社
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杉浦昭嘉著「29 ニジュウク」 

2012-09-20 | さ行
なにかと人間のランク付け特に女性を五段階評価するくせがある岡田景吾29才。
カノジョなし、職業・フリーの助監督、住まいは風呂無し四畳半アパート。
いまだに大学のシャワーをモグリで利用している。30歳まであと一年。
自らもDランク以下と卑下してきた今までを振り返り俺の人生、何かが変わるのか、いや、変えられるのか?誰もが味わう不安と苦悩と希望の一年の体験と心のうごきを描いた青春小説。
「これから30歳を迎える人へ! かつて30歳を迎えた人たちへ!!」
自分の20代最後の一年ってなにやってたかなぁ~
『もういい加減に、ランク付けなどと称して他者や自らを差別・選別するような、愚かしい行為から卒業しよう。(P258)

 2012年8月 講談社刊
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末浦広海著「刻 命」

2012-09-18 | さ行
二十歳になったばかりの上條正高は、自分が弟のようにかわいがっている武藤信司の命を守るためとはいえ、
兄と思っていた宗篤と、彼の仲間二人を殺した罪を負い、約四十年もの間服役することになります。 
実際は“正当防衛”にも値した出来事でしたが正高は剣で犯した殺人だと自らを律し、弁護士の節得にも応じず控訴せず
1審での「無期懲役」の判決に従った。
殺人の罪で無期懲役囚となった居合いの達人・上條正高は、檻の中でも身体を鍛え続け模範囚で39年の収容生活を経て
仮釈放の身となった。
妻と孫との新しい生活が始まろうとしていたが、一度も会うことのなかった娘は
出所直前に轢き逃げ事故にあい他界していた。
娘の死に疑問を感じ真相を調べるうち、正高は驚愕の真実を知ることになる。
自らの罪と向き合い、娘への贖罪を果たすために・・・・。
剣技を磨くことしか知らない男の、不器用だが気高い生き様を描いた現代の剣豪小説。
信司との再会がどうなるのかと期待したが「う~ン」・・・連合赤軍事件などを絡めたり、40年後の娑婆の世界を
正高にはタイムスリップしたごとく不思議世界に描いてそれなりに面白かったのだが
著者の主張が読み取れなかったのが残念。

2012年5月中央公論新社刊
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笹本稜平著「恋する組長」 

2012-09-12 | さ行
表題作共6編の連作短編集。西と東の指定広域暴力団と地場の独立系ヤクザが三つ巴の陣取り合戦を呈する市に事務所を構える探偵が主人公の物語。
そんな探偵事務所を開いている「俺」のもとを訪れるのは、やくざと、やくざよりタチの悪い悪徳刑事ばかり。
「極道は飯の種」と割り切って、今日も探偵稼業に精を出すのだが、あまりにも奇妙で無茶な依頼が持ち込まれてくる始末。
風変わりな事件を、軽快な語り口と生き生きした登場人物の描写で読みやすく描かれたハードボイルド探偵小説なのだが、5年前に単行本が出され文庫化もなされているのに私が読む気がしなかったのはひとえに本の題名がよくないから。
ヤクザの組長が恋するなんての話と躊躇していたのだが読んでみると人情味のある話でした。
しくじったら命がないというプレッシャーにもめげず、電話番の由子と大活躍の探偵の「俺」のキャラが面白かった。
2007年5月光文社刊
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笹本稜平著「漏洩 素行調査官」 

2012-09-08 | さ行
入江、北本、本郷の警視庁人事一課監察係が活躍するシリーズ3作目。
戸田や沢井たちの警視庁刑事部捜査二課企業犯捜査第二係は、株のインサイダー取引の情報漏洩疑惑を捜査していた。
彼らが掴んだ情報をめぐって、どうやら警察内部に巣喰う悪党たちが暗躍している様子。
同時に本郷たち警視庁人事一課監察係の3人は、同じく仕手集団が絡んだ株のインサイダー取引疑惑を調べていた。
対象人物のひとりだった捜査二課の戸田光利は、課内で一身に疑惑を背負う形になり、追われるように退職。
直後にくも膜下出血で倒れてしまう。戸田の無実を信じる部下の若手警察官沢井昭敏は、事件の真相を探ろうとするが、逆に追いつめられて・・・沢井を本郷たちは救うことができるのかがサスペンス調になっていい。
本郷と私立探偵沙緒里の仲も気になるところだが今回も父親とも大活躍。
インサイダー情報を利用して私腹を肥やしている警察上層部やそこに直結して影響力を駆使する政界の黒幕たちの裏金作りもリアルなありそうな話
。監視の厳しい証券会社ではなく、警察官僚とグレイゾーンな投資ファンドを絡めているのもリアル。
警察官僚の腐敗はここまで進んでいるとしたら日本の将来は暗い。
結末のあっさり感は否めないが話の展開もスピーディーで面白かった。
2012年5月光文社刊
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園山創介著「サザエ計画」

2012-05-04 | さ行
2011年第13回ボイルドエッグス賞受賞作。(映画にもなった、万城目学著『鴨川ホルモー』は第4回受賞作)
主人公、高校1年の由有菜の前に、総務省の長谷川家康という男が突然現れて、古き良き時代の家庭環境を研究する対象として、日本全国からランダムに選定した人たちと架空の家族になって半年間生活する、名付けて「サザエ計画」貴女が選ばれたという。
家族にも了承得ているといい由有菜はその日のうちに、「長谷川家」へ連れて行かれる。
そこには、気弱な父親、セクシーな母親、文学少女の姉と主張の強い義兄、金髪で荒っぽい兄、そして物静かな甥っ子と白い猫もいた。
漫画・サザエさんの家族構成と同じだけど、奇妙な人選なのだ。彼らと擬似家族を演じているうちに、徐々にこの計画にはなにか裏の目的があるのではないかと感じはじめる。
「サザエ計画」の本当の目的と人選の謎が後半明らかになる展開はミステリーを読む感じ、レンタル家族のような話かと前半のゆるい展開を我慢してそれぞれの素性が明らかになっていく話しを読み進めると読後感は意外と好った。
長谷川家の一つの約束事が、朝夕の食事は家族全員が原則。
「食事の5W1H」で何が大切だと思うかを言い合う場面があるがその答えはきっとそうなんでしょう。

2012年3月産業編集センター刊
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曽根圭介著「藁にもすがる獣たち」

2012-04-25 | さ行
認知症の母親を抱えながらサウナの受付で働く初老の男が大金の入った忘れ物のバッグを、ネコババする。
女に入れあげ暴力団から2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事が困った末にイチカバチカの仕掛け。
FXで失敗した借金を返すために、デリヘルで働く旦那と不仲の主婦が・・・。
金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく、藁にもすがりたい気持が伝わってくる獣道に落ちた輩の運命は小さな町で複雑に絡みやがて一つに繋がっていく。
別々の個々の事件出来事が予想したようには繋がらず見事に裏切られた。
思わせぶりの伏線に乗せられ時系列的の組み立て方に騙された感じ、心地良い予想ハズレで終り方が突然で不満が残るが面白かった。
2011年8月講談社刊

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柴田哲孝著「サイコパス」

2012-04-04 | さ行
新宿歌舞伎町の公園で白人女性のバラバラ死体が発見された。顔を削がれた頭部と肘から下の両足。
続いて歌舞伎町の空き店舗から、オブジェのように飾られた体と同様に顔を削がれた女性の惨殺死体が発見され、その体には「私は自分のためにのみ生きている」と書かれていた。
捜査担当の西新宿署の城島刑事は、かつて難事件の捜査を共にしたFBIの元捜査官・エミコ・クルーニルに協力を仰ぐ。
遺体を見てエミコは付着していたシリコンゴムから犯人を芸術家肌の人間と分析し犯人を追うが・・・。
現代の日本に甦った有名な「切り裂きジャック」の亡霊。
事件は意外な展開になるのだが犯行の動機や被害者とのドラマは割愛されサイコパスの定義や主人公エミコ・Cの作家沖田との恋愛事が中心に展開される。
犯人の予測も途中で解ってしまいラストのどんでん返しも予想の範囲だったのは残念。終り方も中途半端。
2011年2月徳間書店刊
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柴田哲孝著「中国毒」

2012-03-05 | さ行
「食の安全」をテーマにした社会派ミステリー。毒入りギョーザ事件の別バージョンか。
国民の命の方一番大事で外交的配慮よりが優先するはずが、すべては徹底的に隠蔽され、真実が国民に知らされない。
気づいたときには、もう手後れ。厚労省健康局疾病対策課の尾崎裕司が轢き逃げにあい死亡した。
その三日後、東京医学大学教授・小野寺康夫の他殺体が自宅で発見される。
二人はともに、近頃激増しているクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の特別調査研究班のメンバーだった。
CJD問題を追う週刊誌記者・奈村由美子は、二つの事件に強い関心を抱く。
一方、警察庁の外事情報部国際テロリズム対策課刑事・間宮貴司は、入国が伝えられる暗殺者・毒龍を追っていた。
同じ手口での殺しが続くなか一連の事件は、毒龍の仕業とみた間宮は毒龍を追うが・・・毒龍には背後に依頼者がいるはず。
目的は?国民に知らされないなかで何かが進行している。CJD大流行の原因は?
ノンフィクションでありながら政治経済国際の時事問題が時折挿入されあたかもフィクションなのかと錯覚させられるリアル感があり絶対に起こらないと言い切れない怖さがあった。
暗殺依頼者が明らかにされない点と高官暗殺の目的に納得いかない点が難点。
中国からの安価な輸入食品によりクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、もしくは、これに類似したクールーと呼ばれる異常プリオンに起因する病気が我が国で激増するというストーリー、ヒトの場合、異常プリオンの摂取でなくても、ヒト遺伝子を持った食肉の摂取、「共食い」によりクールーが発病する可能性は考えると怖い。
とても食の安全が保証されていない中国への旅行や中国産の食料は食いたくなくなった。


2011年11月光文社刊
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佐藤友哉著「333のテッペン」

2012-01-26 | さ行
東京タワーのそのテッペンで死体が発見された。もちろん東京タワーは立入禁止。そこに居あわせた数に呪われた男。謎に愛される少女。東京タワー、東京ビッグサイト、東京駅、東京スカイツリーを舞台に起こるミステリーを前科訳あり26歳のフリーター青年と外見中学生的な女子高校生探偵が解決する。
333mの塔頂部で死体が発見される「333のテッペン」。
ペット博の展示会場で444匹の犬が消える「444のイッペン」。
555に砕けた骨を見せつけられる「555のコッペン」。
666メートルには永遠に届かない東京スカイツリー近くでおこった、「666のワッペン」を探す。4つの連作短編集。
ミステリーぽいが世間に対する皮肉ぽいセリフがメインか?評価は分かれるだろうがこの著者の作品は初めて読んだが好みではない。

2010年11月 新潮社刊

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