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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

柴田哲孝著「白い猫」

2009-11-18 | さ行
身近な生き物をモチーフにした動物が絡む7つのミステリー、ホラー、怪談などの短編集。
二重人格?一人は捨て猫ですら拾ってきて可愛がる直樹もう一人の人格はタケルで動物虐待にがエクスタシーを感じる・・・表題作「白い猫」
鴉が言葉を発す「フミエ・・・サン・・・」定年退職した元刑事が活躍する・・・「カラスは何を見たか」
秋ヶ瀬地区で起きた3件の乳児連続疾走事件の意外な犯人の真相は・・・「神隠し」
今では無人島となっている御喜武島に1週間の予定で「サバイバル合宿」にやって来た男4人と女一人の恐怖の体験・・・「人間狩り」
刑務所帰りの”闇金の黒幕”と言われた森田たちが、お礼参りに向った那須の別荘地で待っていたのは・・・「賢者のもてなし」
他、「座敷童」「魔霧」
犬、猫、カラスetc…が、闇の中から人間を見つめる。動物たちと人間の奇妙な世界。
2009年4月 徳間書店刊
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柴田 哲孝 「渇いた夏」

2009-11-09 | さ行
親族の8歳の幼女への性的暴行から始まった。
幼女を犯した少年は村を逃げて行方をくらます。
20年後、その村で叔父が亡くなったという知らせを聞いて男が帰ってくる。
叔父の財産のその家を相続して暮らすためだ。
行方をくらました少年の友達でもあった神山だ。
叔父の死因は自殺だと聞いていたのだが、村の人々は自殺は考えられないといいどうやら事件に巻き込まれたようだ。
もともと探偵事務所で働いていた神山は叔父の事件の真相を調べ始める。
話の途中で犯人のめぼしが付いてしまう展開で最後の真相も
そんなに吃驚する動機や結末でもなく犯人や登場人物人間の心理状態の掘り下げも浅い。
2008年12月 祥伝社刊
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柴田 哲孝 著「銀座ブルース」

2009-11-01 | さ行
舞台は昭和20年代 元特高の警視庁刑事、武田幸史郎が活躍する昭和のGHQ占領下の謀略小説。
形式は6つの連作短編としながらも主人公武田幸四郎の生き様を語っています。
彼の身替わりで死んだ同僚の妻子を引き取って一緒に暮らしながら面倒を見、特高時代に責め殺した松尾一成の娘、美音子という若い女にも入れあげていく。
帝銀事件や下山事件・三鷹事件も、小説の中にリアルに描かれています。
同僚として名刑事平塚八兵衛や作家の太宰治も実名で登場しいい味をだしてます。
GHQの力関係やその権力闘争や、戦後のバラック街での暮らし振りなどが興味深い。
昭和の実録事件の、ノンフィクションでは書ききれない闇の部分に光を当て、あえてフィクションとして描いて真相をあぶりだしています。
2009年7月双葉社刊
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笹生陽子著「今夜も宇宙の片隅で」

2009-10-03 | さ行
「ネットにアクセスしてる時って、無限の宇宙空間にほうりだされた小さな星になっている気がしない?」
インターネットで休載中の人気漫画『惑星5』のファンたちが集まるサイトで知り合った人間関係がリアルの世界でもつながっていく連作短編集。
ぼくたちはつながっている。ちょっぴりの勇気があれば、いつだって誰とだってつながれる。私学に通う中2の岩国シュンを中心にしたその仲間達の物語。
クスリをネットで買ってしまい、シュンは小学校時代は敬遠していた超有名なワル、相沢と付き合うハメになるが・・・。
城田マコトが山口県の小学生と出会う話しや、原田が可愛くもない同学年の妖精が見えるという向井ハルカと思いがけず親しくなったのも、
どうしてこの組み合わせ?と皆が驚くシュン・相沢・御園の3人組もそこにネットがあったから。
学校の裏サイトとか、掲示板にカキコミするとか、普通にモバイルしている子どもたちの現状を考えると、
ちょっと怖い気もするが今の子供達とネットは最早切り離せない世界なのだから、性善説を信じてプラスに考えて、
そう少し考え方を変えるだけでこれだけ広い世の中に繋がっていける有効な手段かもしれないと前向きに捉えた作品です。 
2009年07月講談社刊

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曽根圭介著「沈底魚」

2009-09-18 | さ行
2007年度第53回江戸川乱歩賞受賞作。スパイ小説
沈底魚=スリーパー・・・ 一市民として静かに暮していて指示があると活動をする工作員、素知らぬ顔で暮らし、「覚醒の指令」を待っている?
主人公は不破という警視庁公安部外事二課所属の刑事、独身5年前に妻に逃げられてしまった。
中国と北朝鮮に関する国際諜報活動・情報収集が仕事だ。
相棒は無口な若林刑事であるが動きは一匹狼派の捜査員。
米国へ亡命した中国外交官からの情報で大臣経験者で中国に機密情報をながしている現職国会議員がいるという・・・流出した国家機密。
警察庁からキャリアの女理事官、凸井美咲が派遣されてきて2課の面々が本格的に調べることになります。
「眠れるスパイ」は実在するのか。公安刑事たちの極秘捜査が始まった・・・
捜査員達同士の鞘当や現場捜査員からは嫌われるキャリア組の理事官や上司の課長、更に上位の意向に沿うため現場捜査員は使い捨ての駒として割り切るキャリア達など人間関係の軋轢が生々しく描かれています。
捜査を進める不破の前に、相棒・若林の二重スパイ疑惑や公安刑事同士の反目と内ゲバ、凸井理事官の不審な行動などが次々浮上し、ついに命まで狙われる。
果たして事件の真相は? 沈底魚は誰なのか? 裏切り者は? 
もう少し人間の心理や人物像を描いて欲しかったがスリリングな公安ミステリーでした。
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末浦広海著「訣別の森」

2009-09-01 | さ行
2008年第54回江戸川乱歩賞受賞作
江戸川乱歩賞選考委員・内田康夫、恩田陸、天童荒太、大沢在昌、東野圭吾そうそうたる顔ぶれに選ばれた作品。
荒削りな難点は数あるが選考委員の推薦通りドクターヘリ、自衛隊、知床の自然環境保護問題などを絡めたスケールな大きいダイナミックな作品。
情景描写も登場人物も魅力的だった。
犯罪動機に共感できないところや、自衛隊内の薬物使用蔓延問題などにもっと突っ込んでほしかった。
ドクターヘリの機長・槇村は、墜落した取材ヘリを救出。怪我人は、自衛隊時代にかつて愛した部下・武川一恵だった。
その夜、一恵は入院先から姿を消した・・・。
咆哮するのは日本では絶滅した狼、北海道犬、ドーベルマン犬など
サスペンスにヒューマニズム、陰謀を絡めたミステリー冒険小説。
2008年8月講談社刊
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西條奈加著「恋細工」

2009-08-26 | さ行
時は江戸の天保時代、水野忠邦の贅沢禁止のお触れ出た天保の改革の時代。
四代続いた錺(かざり)細工の椋(むく)屋を舞台に繰り広げられる時代もの。
四代目が、病に伏し早死にしたあと、遺言により義妹のお凛を中心に、5代目の跡目を職人の中から3年後に決めることに。
皆それぞれ良い細工を作るために精進する中、独り細工に打ち込む天才肌の時蔵に、お凜は次第に惹かれていく。
一匹狼の職人時蔵と、女だてらに細工師を志す錺工房の娘お凜。
反発し合っていた二人の心が銀線細工で結び付いたとき、贅沢品が禁止された江戸の町に活気を戻すべき、驚天企画の計画が秘密裏に動き始めた。
当時の江戸の庶民の生活をリアルに再現しつつ、若い男女の細工にかける情熱と哀しく切ない恋模様を描く長編時代劇小説。
登場する飾りの意匠が男の自分には想像できず損した部分があり残念だが読者を引き込む筆使いはさすが。(読後ネット検索で写真で確認)
錺職人たちの心意気や葛藤の心理描写がいい。
南蛮から長崎平戸に渡来した銀線細工の原形が秋田にどのような経路で伝わったかや、江戸彫金と秋田銀線細工の関連なども著者の想像力でこの物語で推理する。
今でも細かな凄い技である職人技を当時男だけの技を女性の立場で会得したお凛の悲恋物語。
2009年4月新潮社刊
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雫井 脩介著「虚 貌 」

2009-05-29 | さ行
著者デビュー第2作。復讐心理ミステリー小説。
二十一年前、岐阜県美濃加茂地方で、運送会社を経営する一家が襲われた。
社長夫妻は惨殺され、長女は半身不随、長男は大火傷を負った。
事件は間もなく、数日前に解雇されていた従業員三人が逮捕され、事件はそれで終わったかに見えたが・・・。
裁判後服役を終えた一家四人放火殺傷事件の加害者たちが、何者かに次々と惨殺されいく。
勝手若い頃この事件を扱ったが今は癌で余命いくばくもない老刑事が最後の死力をふりしぼって真相に肉薄する迫力が凄い。
筋書きが読める展開だが各登場人物が、実に生き生きと描かれ心理描写も見事で引き込まれていまい一気に読めました。
2001年 幻冬社
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仙川 環著 「逆転ペスカトーレ 」

2009-05-12 | さ行
ネット検索でペスカトーレとは、『魚介類とトマトソースのスパゲッティ。ペスカトーレとは漁師という意味。漁師が売れ残りや雑魚、外道などをまとめてトマトソースで煮込んだものがはじまりと言われスパゲッティのソースとして使うようになった。』とあるが自分は食べたことがないようだ。
街の小さなレストラン「れすとらんミヤマ」での話、シェフの突然の退職で、実家のレストランが大ピンチになり今まで自由に気ままに生きてきたフリーターの深山あきらは姉から乞われていやいや店を手伝う羽目になった。しかし店は、大家からの家賃の値上げ、店の近くに大手チェーンのレストランのオープンなどで、店はますますの苦境に。それを救ったのが、偶然雇うことになった凄腕シェフの花井だった。
今や崖っぷちのこのレストランを救った「謎のレシピ」。
窮地の店に現れた謎の凄腕シェフの「奇蹟の味」の秘密とは?サスペンスがらみで展開される。
裏で何かが起きているらしい・・・と思わせる話を時々挟んできています。2年前輸入した食品に基準値の10倍の農薬が含まれていたことが発覚して窮地に陥った食品会社の研究部門が開発した新製品「UMZ」。
家庭料理と、店で出す料理の違いの薀蓄や「仕事とは生活費を稼ぐ為にやるものだと思っていた。あるいは、自分の夢や野心を実現するためのものかと。・・・見知らぬ誰かを幸せにする為に人は働くのだ。」(150P)仕事観の披露も。
最後の終り方に不満が残るが面白いグルメシェフ・ミステリーでした。

2008年12月 祥伝社 刊
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雫井脩介著「犯罪小説家」

2009-05-02 | さ行
題名の示す著者の意図が解ればなるほどと納得の物語なのですが・・・
新進の作家、待居涼司の『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がり監督に抜擢されたのは人気脚本家の小野川充。彼は『凍て鶴』に並々ならぬ興味を示し、この作品のヒロインには、かつて伝説的な自殺系サイト『落花の会』を運営していたリリーこと木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する。
当時ネット自殺の『落花の会』の主宰者、木ノ瀬蓮美が公園の池に死体となって浮かんだ事件だった。
待居の迷惑気味な態度にはお構いなしに、小野川は映画化のためには蓮美の死の陰に登場する男の謎を解くことが必要だとし『落花の会』を取材したことのある女性ライター野上に追跡調査を頼んでから徐々に過去の事件の内情が明らかになっていく。しかし野上はそこに会にからんだ犯罪の痕跡を感じるようになり・・・。
一見、作家の裏話的なストーリーかと思いきや、ネット心中に絡んだミステリーの様相を含んできて思いもよらぬ展開になるのだが、冒頭のつかみが悪く読みにくい。読み進めると徐々に充ちてくる不穏ないらだちの空気が濃くなりどんどん謎が深くなってきて次を早く知りたくてたまらなくなるように読み続けることに。
まさに読む者を異様な雰囲気に飲み込ながら著者のペースに引き込まれ読み終わってみると著者のしっかりとしたサスペンス仕立ての筋書きに感心することになるのだが・・・詠み人の好奇心をくすぐる心理サスペンス小説です。
2008年10月双葉社刊

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朱川湊人著「本日サービスデー」

2009-04-27 | さ行
主人公サラリーマン鶴ヶ崎雄一郎のもとにサターナという悪魔があらわれ、今日は「サービスデー」つまり「何でも思い通り」になる日だというのだ。「一日だけあなたは世界の王」なのだという世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが神様が与えてくれたサービスデー。特別な一日,
本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら・・・自分の求めていたポジティブな生き方を手に入れる表題作の「本日サービスデー」。
ある悪趣味なコレクターたちの妖しげな会合を描くブラックミステリー・・・「東京しあわせクラブ」
幽霊との明るい同居をコミカルに描いた・・・「あおぞら怪談」。
三つ年上の兄貴はいつでも小一の自分をオマメ扱いだ。兄貴を見返してやりたい。そのチャンスが、不意にやって来た・・・「気合入門」
自殺しを刊行した早織は蒼い世界の三途の川の渡し役とのやり取りで・・・「蒼い岸辺」5つの中・短編集。
2009年1月 光文社刊
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朱川湊人 著「都市伝説セピア 」

2009-04-20 | さ行
著者は、1963年大阪府生まれ、ホラ-小説家。新感覚ホラー短篇集
「アイスマン」「昨日公園」「フクロウ男」(第41回オ-ル読物推理小説新人賞受賞作)「死者恋」「月の石」の5編が収められている。
「フクロウ男」は、都市伝説に憑かれ、自らその主人公になろうとする男の狂気を描く、インタ-ネットの掲示板が産んだ現代のホラ-話。
「月の石」は正直に生きてる人にはちっとも怖くない話ほのぼの系。
「見世物小屋」「口裂け女」「夕闇の公園」などノスタルジックな題材を上手く生かしたホラー話
2003年 文藝春秋 刊
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笹本稜平著「還るべき場所」

2009-03-03 | さ行
舞台は世界中のクライマー憧れの山岳・K2です。
主人公の矢代翔平は4年前恋人の聖美と2人で世界第2位の高峰―K2の未踏の東壁に挑んでいたが、恋人の聖美だけがこの「魔の山」に飲み込まれて帰らぬ人になります。
それから4年間、山に登ることができなかった翔平だが、旧友の誘いで運命の山・K2に再び挑みます。
友人は登山ツアーを主催し、そのガイドとして翔平を誘います。
このツアーには心臓に自社のペースメーカーを埋めた企業の会長や、かつてK2で友人を失った登山家らそれぞれに悩みを抱え課題を持ったクライマーたちが魂再生のための登山に挑みます。
「人生とはやり直しのできない一筆書きのようなもので、一度描いてしまった線は修正がきかない。できるのはその先をさらに描き続けることだけで、たとえ予期せぬ手先のぶれで意図と違う方向に筆が走ったとしても、そこから思いもよらない未来が開けることもある。職務というくびきを離れてヒマラヤの希薄な待機のなかに身をおくと、自ら選びとったと信じて生きてきた可もなく不可もないサラリーマン人生が、空疎な絵空事でしかなかったように思えてくる」
「人はなぜ山に登るのか」。「他のスポーツと登山の違うところは・・・」
「人生そのものの意味さえ、生きるという行為のなかでしか見出せない。」
カラコルムの 8,000m級の登山に関する臨場感や描写が詳細でリアル感があるし、死を常に意識しなければならない状況に絡めて登場人物それぞれの人生観、死生観を色濃く詳細に描写している。とくに起業を成功させ、大企業のワンマン会長になっている神津が語る人生観が深い。
「夢を見る力を失った人生は地獄だ。夢はこの世界の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる。そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だとわたしは思っている。」(本文より)
山屋を魅了してやまない秀峰「K2」。
著者はその世界一難しく、世界一綺麗だといわれる山の魅力を存分に描き出して、
聖美の死の真相が明らかになる劇的なラストを用意した感動アドベンチャーミステリー山岳小説に仕上がっています。
2008年6月 文藝春秋刊
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笹本 稜平著「素行調査官」.

2009-02-10 | さ行
警察小説。主人公本郷岳志は、私立探偵の過去を持ちながら、特別捜査官として
警視庁に入庁した変り種。
警務部人事一課監察係は、いわば、「素行調査官」。
警察官の不品行や不正を取り締まるのが仕事だ。
しかし実態は、組織の中の汚れ役。横行する公私混同、出世と保身の輩、
日常茶飯事の証拠隠滅にでっち上げ。
過去と決別した男の意地が、警察機構の暗部を抉る。
中国人女性が殺された。発見された女性の死体の現場には警視監の名刺入れが
落ちていた。
本郷は別事件の背後を探るために、同僚の刑事たちの素行調査を始めたが、
やがて中国人女性殺害事件と繋がりが感じられるように・・・。
描かれているのは警察官社会の伸るか反るか。生き残りを賭けた、
警察官同士のサバイバル物語。警察社会の身内ビイキと隠蔽体質はそのままで
最後まで晴れなかったが・・・・。本郷の
『希望は与えられるものでなく自ら生み出すものなのだ。気に入らない場所ならつくりかえればいい。』
という言葉が救いかも。

2008年10月 光文社.刊
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桜庭一樹著「ファミリーポートレイト」

2009-01-30 | さ行
題名のFamily Portraitとは家族写真 。 たいせつな家族 かげがえのない家族,
夫婦ふたりから始まって、一人また一人と増えていって,いつのまにか子供は親より大きくなって、巣立っていく。
そんな家族の節目ごとの写真をモチーフに語られる。
『ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。すなわち、それがあたし。あなたの人生の脇役にふさわしい命名法。』
精神的に未熟な母親から“わたしのちいさな神”として間違った育てられ方を
したひとりの少女とその母の彷徨を描く暗黒の家族小説。
第一章「原初の記憶」は面白く読めた。
『この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの』など迫力ある
言葉が続き2人の逃避行が描かれるさすらい続けた子供時代、5歳だったコマコは6歳、7歳と歳を取る。
母の元で暮らし続け、学校へも行かず外の社会を知らずにいるコマコは、それでも歳を経る。コマコはマコに絶対服従だった。
コマコは母を愛して、絶対、守ろうと決意した。しかし、ある時、突然母の自殺でそんなさすらいは終焉を迎える。
このあとの展開がごちゃごちゃとした非現実と妄想が入り混じり読み難い。
物語は「生きるぞ」とコマコが思い5歳のときから始まった物語から、地獄巡りの
30年間が瞬く間に過ぎ去って、突然の幕閉じの34歳のある日までの物語で、
話しの展開にスピード感は感じられるが、母親を
失くしたあとの物語は原稿用紙をただ埋める駄文の印象で話についていけなかった。
特に主人公が直木賞らしき賞をとったあたりの記述は自分の事も重ね合わせて
いるかもしれないが、何処までがフィクションで何処までがノンフィクションなのだろうかという疑問符が邪魔して読み辛かった。
コマコが結婚する相手が言う『母親と暮らした日々の幸福から立ち直らなければならない』
『人生においていっちばん大事なのは、生活だと思う・・・日常があっての非日常だ。きちんと生活すること。』
2008年11月講談社刊¥ 1,785
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