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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

荻原 浩 著 「 明日の記憶  」

2008-01-07 | 荻原浩
「誰だっけ。ほら、あの人」最近こんな台詞が多くなった。
代名詞ばかりで、固有名詞がでてこない。不眠。目眩、全身の倦怠感、
物忘れ。集中力不足。
大学病院の精神科の医師から若年性アルツハイマーの初期症状と
診断された50歳になったばかりの広告会社の製作部部長の佐伯雅行
の記憶を失うことの恐怖との闘いが始った。
備忘録日記を書き始めたが・・・・会社も退職し、
親しい人の顔も思い出せない・・・
渡辺謙主演で映画化された原作小説。
1956年生まれの広告制作会社出身の著者は97年小説すばる新人賞を受賞後、
軽妙酒脱、上質なユーモアに富んだ人生の哀愁が漂う作品を
生み出してきたが今回も新しいテーマに挑んできた。
今回は若年性アルツハイマー。
あまりなじみのない若年性アルツハイマーその病気は記憶を全て
なくしてしまうことによって「けっして人間の脱け殻になってしまうことではない。」
「記憶が消えても、私が過してきた日々が消えるわけでジャない。
私が失った記憶は、私と同じ日々を過してきた人たちの中に残っている。」
(本文よリ)

2004年12月光文社刊  ☆☆ ☆☆☆ ☆ ☆ ☆

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荻原 浩著『あの日にドライブ』

2007-12-15 | 荻原浩
もしかしら・・・あの時・・・
誰でも一度以上こんなことを考えたことがあるのでは・・・・
「別の人生があったのでは・・・」
都市銀 なぎさ銀行の元行員だった牧村伸郎は、上司へのたった
一言で出世をあきらめ、自ら退社した。
いまは タクシー運転手で営業ノルマに追いかけられ、気づけば円径脱毛症
で家族達、娘や息子と会話すら成立しなくなっている。
ある日、たまたま客を降ろしたのが 学生時代に住んでいた
アパートの近くだった。
あの時違う選択をしていたら…。「if」もしかしたら、
こんなことが起きるのではないかと夢想する、四十過ぎの挫折した
サラリーマンの哀愁を巧妙に描いて、普通の人間の煩悩の、
赤裸々な描写が凄い。
同じ中年世代なら自分の人生とオーバーラップして
げんなりさせられることも。
誰もが何度となく味わうこの感覚を突き抜けたところまで我慢
して読み進めれば結末は納得です!
『自分の通ってきた道は間違ってばかりだった。
・・・曲がるべき道を何度も曲がり損ねたし、迷ったし、
遠周りもした。でも、どっちにしたって通り過ぎた道にもう
一度戻るのはちっとも楽しい事じゃない』


2005年10月 光文社刊 1500円
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萩原浩著「サニーサイドエッグ」

2007-12-07 | 荻原浩
『ハードボイルド・エッグ』続編!ユーモア小説
最上俊平、私立探偵業で食っている。ペット専門の
探偵ではないのだが何故か行方不明のペット捜しの依頼が多い。
ある日、若く美しい女美人女将が事務所を訪れてきて、
「うちのロシアンブルーの猫を捜してほしいんです」と
1カ月ぶりの仕事だ。
しかも成り行きで、「ブロンドで青い目の若い」
秘書兼助手まで雇えることに。
しかし、おまけに猫捜しも、ただの猫捜しではなくなっていくのだった・・・。
ヤクザや連続動物虐殺事件も絡みミステリー絡みのドタバタ劇に・・・
ペットを飼っている人や猫好きにはいいかも
前半は猫探しでやたら説明で展開が遅くイライラ
解離性同一性障害の女の説明が突っ込み不足で不満。

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荻原 浩著「ママの狙撃銃 」

2007-12-01 | 荻原浩
「明日の記憶」「僕たちの戦争」の著者の痛快ミステリー。
福田曜子はふたりの子をもつ主婦。夫の孝平は中堅企業のサラリーマン。
ふたりは、ごくふつうの恋をし、ごくふつうの結婚をしました。
ただひとつ違っていたのは、幼い頃 米国に住む祖父の元で暮らした
経験のある陽子は、祖父からあらゆることを教わった。
射撃や格闘技、銃の組み立て・分解。そう、祖父の職業は
「暗殺者」だった。面白い設定で始まるこの小説、
前半は説明部分が多く辛いが中盤あたりから展開も早く痛快に読める。
無理がある突飛でリアル感ない設定なのにリアルに読ませるのは
著者のいつものパターン。
娘が受けているイジメに完全と立ち向かう様子はすっきりする展開。
謎のエージェントK氏が誰かがミステリーになっていて人殺しは
容認できない馬鹿らしい筋書だが私は好きです。

2006年6月 双葉社刊 1600円  
☆☆ ☆ ☆☆☆ ☆ ☆

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荻原 浩「押入れのちよ 」 

2007-11-28 | 荻原浩
「明日の記憶」「僕たちの戦争」の著者の短編ホラー集 ☆☆☆ ☆ ☆
都内で33000円築35年の月ヶ丘マンションに引っ越したその日から、
オカッパ髪の女の子(14歳・明治生まれ)の幽霊が…。
幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、
友人の霊の「コール」
古くから家に住み着いている猫を描いた「老猫」
愛人宅で愛人を殺してしまった男の「予期せぬ訪問者」
池でおぼれて死んだ友人の霊「しんちゃんの自転車」
15年前に行方不明になった妹を探す「木下闇」
関係がこじれてしまった夫婦の殺し合い「殺意のレシピ」
義父を介護する嫁の仕打ちに・・・「介護の鬼」
読み終わって満州第731部隊(通称石井部隊)の
悪行を思い出した「お母さまのロシアのスープ」
など全9話の短編ホラー話しを収録した、ぞくりとそして切ない傑作短編集。
どれが一番怖い話かな?私的には「老猫」が一番怖かったかなぁ~。

2006年5月 新潮社刊   1575円  
コメント (1)
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荻野 浩著「オロロ畑でつかまえて」

2007-11-01 | 荻原浩
第10回小説すばる新人賞受賞作。ユーモア小説。
人口三百人の超過疎地。日本の大秘境・大牛郡牛穴村の青年団が、
村おこしに立ち上がる。
依頼したのは、倒産寸前の東京の広告代理店・ユニバーサル広告社。
倒産を免れるのに必死な面々と田舎もん青年団の最弱タッグ
によるやけっぱちの村おこし大作戦、「牛穴村新発売キャンペーン」
が始まったが・・・・
両者の行動、心理がユーモアたっぷりに表現されており、
ところどころに軽い皮肉や風刺を混ぜた
抱腹絶倒の楽しい物語です。

1998 年集英社 発行 
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