ゲーム会社を辞め、引き籠っていた秋山史親の部屋からの出火で家と主を失った秋山家。残された妻の景子、中学生の雅彦、小学生の太一の三人は、史親の実家「秋山善吉工務店」に世話になることに。昔かたぎの大工の祖父善吉が大工として、祖母が事務をしている工務店での、慣れない祖父母との新生活は、それぞれの身に降りかかるトラブルで災難続きの日々。一方、警視庁捜査一課の宮藤は、秋山家の火災は放火だったのではないか、と調べ始める。
一家のピンチに大工の善吉爺ちゃんが大活躍。太一の学校のいじめ、雅彦のアルバイトにやくざが絡み、景子のパートの先のクレーマ騒動等、残された家族が抱えるそれぞれの問題について、きちんと筋を通して、本人たちに解決の道筋をつけさせるところが鮮やか。家族物語風ミステリー小説。
2017年3月光文社刊