敗戦が濃厚な時生まれたサイパンを其処に残る父と別れ母と妹弟で引き上げ船さんとす丸で帰国し、やがて商船学校を出ると家への仕送り為当時高給取りだった船乗りになった。
昭和三十七年。三等機関士になった関本源蔵は北洋にサケマス漁の航海に出た。航行のさなか、かつてない大時化に襲われ、船は遭難危機に。その時源蔵が思いを馳せたのは、十八年前にサイパンで別れた、今は亡き父親のことだった。父親は言った。
「お母さんを助けてやれ」と。
「生きればこそ、人間には必ず道が開ける時がくる、だからどんな困難があっても生きなければならぬ・・・、人間が生きる上で最も大切な武器は知だ」(P265)
北洋でサケマスを追い、南氷洋で鯨を狙う。荒ぶる昭和の海に生きた男のロマン。後半南氷洋での捕鯨シーンや船のエンジンが止まり氷河に閉じ込められた船を捨て流氷の上を歩いて脱出するシーンは圧巻。親と子の関係、仕事とは生きるとは仲間とはを熱く語った男の物語でした。
「エンジニアとして、より生き甲斐のある仕事ができるか、それで会社を選ぶべきだ。」
源蔵の紹介で事業員として同じ船に乗ることになった枝川敏雄は当に現代の若者の代表みたいな存在。
仕事・試練・仲間を通じて成長する過程も楽しみだった。
2012年1月文藝春秋刊
昭和三十七年。三等機関士になった関本源蔵は北洋にサケマス漁の航海に出た。航行のさなか、かつてない大時化に襲われ、船は遭難危機に。その時源蔵が思いを馳せたのは、十八年前にサイパンで別れた、今は亡き父親のことだった。父親は言った。
「お母さんを助けてやれ」と。
「生きればこそ、人間には必ず道が開ける時がくる、だからどんな困難があっても生きなければならぬ・・・、人間が生きる上で最も大切な武器は知だ」(P265)
北洋でサケマスを追い、南氷洋で鯨を狙う。荒ぶる昭和の海に生きた男のロマン。後半南氷洋での捕鯨シーンや船のエンジンが止まり氷河に閉じ込められた船を捨て流氷の上を歩いて脱出するシーンは圧巻。親と子の関係、仕事とは生きるとは仲間とはを熱く語った男の物語でした。
「エンジニアとして、より生き甲斐のある仕事ができるか、それで会社を選ぶべきだ。」
源蔵の紹介で事業員として同じ船に乗ることになった枝川敏雄は当に現代の若者の代表みたいな存在。
仕事・試練・仲間を通じて成長する過程も楽しみだった。
2012年1月文藝春秋刊