読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

東野圭吾著「プラチナデータ」

2012-06-26 | 東野圭吾
近未来SFミステリー。国家がDNAの管理をする犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、国民のDNAをデータバンクに登録することで、犯罪現場の遺留物から犯人を選定することが出来るようになり検挙率が飛躍的に上がるなか、科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生した。
警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果に適合する人物が浮上しない該当しない「NOT FOUND」。時を同じくして、システムの開発者までが殺害される。
やがて現場に残された毛髪から解析された結果は…「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。
犯人は、神楽自身であることを示してい
たのだ。今迄追う立場だったのに追われる者に、神楽を追うは、捜査一課の浅間警部補・・・。
やがて「プラチナデータ」とは、登録されれば捜査対象外になるように設定されたデータだった。
DNA法案が通った管理社会の怖さ、不気味さを味わさせてくれる作品だ。
ミステリー的には早い段階で犯人と話しの展開が予想できてしまったが最後まで飽きずに読ませるのは流石。
ロボットによる芸術製作の様子と二重人格についてももう一つ納得がいかなかった。
2013年この作品の映画化決定だとか、ちなみに映画版のキャストは、神楽役に二宮和也さん、浅間役に豊川悦司さんらしい。
2010年6月幻冬舎刊
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東野圭吾著「赤い指」 

2012-03-02 | 東野圭吾
加賀恭一郎刑事シリーズ。会社人間の前原昭夫が、妻から会社にかかって来た電話で急いで帰宅してみると、黒いビニール袋を被せられた幼女の絞殺死体が庭にあった。
中学生の息子が幼女を殺害してしまったという。妻から警察に届けないで死体を始末して来るように懇願され昭夫は息子のために事件の隠ぺいに取り掛かる。
近くの公園のトイレに遺棄する。翌朝、死体は見つけられ加賀と松宮という刑事が家にやって来た。二度三度と訪れる刑事に窮地に陥った昭夫は様々な策を練り、最終的にとんでもない行動をとることに。
身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に憤りを感じた。
加賀が犯人の嘘をどのようにして見破り追い詰めていくのかが一つの焦点だが、この物語を通じて、2組の親子関係を描き、『家族』とは何なのかを問う。
「平凡な家庭」に起こった悲劇を通じてみえてくるものとは、一人息子を溺愛躾ができない母親、事なかれ主義、老人認知症、高齢化社会において身内の介護といった問題を扱い社会派小説になっている。
加賀親子に見る離れていても心が通いあった関係にホットさせられた。
2006年7月講談社刊 講談社文庫
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東野圭吾著「パラドックス13」

2010-07-06 | 東野圭吾
パニックサバイバル小説。「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。これはそういうお話です」(著者)
運命の13秒。人々はどこへ消えたのか?3月13日13時13分13秒、ブラックホールの影響でP-13と呼ばれる現象が発生することへの対策が政府の間で極秘に進められていた。
13時13分、突如、想像を絶する過酷な世界が出現した。
陥没する道路。炎を上げる車両。崩れ落ちるビルディング。
学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、どういう影響を受けるのか詳細につかめていなかったため、「その時間だけ危険な作業を中断し、危険な場所から離れるよう」通達だけされていたが、国民に混乱が起きないよう、この情報自体はその時が過ぎるまでの極秘事項として非公開であった。
刑事の久我冬樹は同じく警視庁の管理官である兄・誠哉とともに強盗犯の確保の取り込み中、誠哉が犯行グループに撃たれ、冬樹もまた、犯人の撃った弾を受けてしまうが、衝撃の後、冬樹は意識を取り戻したが東京の街には誰もいなくなっていた。
街を歩き続け見つけたのは同じように現象に出くわした10人でその中には死んだはずの誠哉もいた。
そこから状況がつかめない中彼らは、廃墟と化した東京をさまようことになり、そこへ数々の天変地異、そして疫病が襲う。
彼らを襲った“P-13 現象”とは何かはたして、生き残れるだろうか。
極限状況における人々の心理や行動を中心に展開される。
過去に見た映画「ファイナル・ディスティネーション」や「ドラゴンヘッド」「ポセイドンアドベンチャー」「デイライト」他など一部似た部分や重なる部分が読んでいて頭に浮かんだがそれなりに一気に面白く読めた。
『真の老人福祉とは、手すりをつけたりバリアフリーにすることではない・・・手を貸してくれる人なんだよ。それが家族であれば理想的だ。近所の人でもいい。』(165P)
『この世に生命というものが誕生したのは奇跡だと思っている。本当ならこの宇宙は時間と空間だけに支配されていたはずなんだ。
ところが、生命が誕生したことで、数学的に説明できない知性というものが生じた。』(398P)
2009年4月毎日新聞社刊
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東野圭吾著「カッコウの卵は誰のもの」

2010-07-03 | 東野圭吾
カッコウは、ほかの鳥の巣百舌とかホオジロとかに卵を産み雛を育ててもらう。
これを託卵というらしい。自然界のこの話しを聞いたときに本当の卵を蹴落とされた鳥を可哀相に思うと共にカッコウをあまりいい風に思えなかった。
しかし、託卵された卵は誰のものかは考えもしなかった。
産みの親は産みの親であり、育ての親は育ての親でいいのではと。自分の娘に血のつながりはないことに気づいた主人公の父親は、なんとしても隠し通そうとするのだが、
ただ、異母兄弟が病気で輸血が必要となり、娘にも真実を知らせなければならなくなるが・・・
父と娘、親子二代続けてのトップスキーヤー。娘の所属チームの研究者は、二人の遺伝子パターンを調べさせてほしいと頼み込んできた。
しかし、了承するわけにはいかない。父親には、どうしても知られたくない秘密があった。娘が生まれた19年前からの忌まわしい秘密があったのだ。
読んでいて謎の結末は予想できるし犯人も推理できそうなのだがそれは著者のあえて仕掛けた伏線仕掛で本当の結末は二転三転予想を裏切って終る。
心地良く著者に騙されて読了した。
そして題名の誰のもの?の答えが示される。
唯一つの疑問は母親の自殺の意味が納得できないのと、スポーツの上で遺伝子のどうのこうのよりは本人のモチベーションが一番大きいのではと思った。
2010年 1月光文社刊
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東野圭吾著『探偵ガリレオ』

2009-12-08 | 東野圭吾
探偵ガリレオシリーズ第1弾。
警視庁捜査一課の草薙俊平の大学時代の友人、帝都大学理工学部物理学科第13研究室の
湯川学(綽名ガリレオ先生)が迷宮入りしそうな難事件を科学的に推理した解決する推理小説。
人通りの少ない通りで、局所的な火災が発生し、たむろしていた若者が焼死した。・・・燃える。
転写る。壊死る。爆ぜる。離脱る。

5つの短編事件が集録されている。
理系出身らしい筋書きのミステリー。
2000年 文藝春秋刊   
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東野圭吾著「ゲームの名は誘拐」

2009-12-02 | 東野圭吾
敏腕広告クリエイター・佐久間は、今までリーダーとして進めてきた日星自動車のイベントのプロジェクトを、クライアントである日星自動車の
副社長・葛城勝俊の一声で潰されてしまう。
失意と屈辱感に苛まれた佐久間は、葛城の住む豪邸で家出しようと葛城邸の塀を乗り越えてきた葛城の娘・樹理と出会う。
広告イベント会社のデザイナー佐久間駿介が日成自動車副社長の娘樹理と企てた偽装誘拐で3億円の身代金を奪い取る計画を立てる。
樹理の父親の葛城勝俊との誘拐ゲームが開始される。
はたして、3億円をいかに無事に獲得して逃きるか、手に汗握る攻防後待っていたのは意外なドンデン返し・・・・ゲームの真の勝者は誰か・・・
一人の男にそれぞれ恨みを抱く男女による狂言誘拐の行方を描いたミステリー。
発表時の題名は「青春のデスマスク」 
2002年光文社刊    
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東野圭吾著「白夜行」

2009-11-24 | 東野圭吾
2000年このミスベスト3位。
2006年山田孝之と綾瀬はるかのコンビによるTVドラマ化もされ2009年韓国でも映画化。
19年前に起き殺人事件、迷宮入りした事件を退職した大阪西布施警察署の
元刑事が追う。
それは、殺された質屋の息子桐原亮司と事故死か自殺した母親を持つ西本雪穂の奇妙な関係。
テッポウエビとハゼのような相利共生&2人の見事なコンビネーション。
巻末で明らかにされる意外な事実と結末。
「私には太陽はなかったの太陽に代わるものその光によって夜を昼と思って生きてくることが出来た。」 

  2000年 集英社刊
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東野圭吾著「 レイクサイト」

2009-11-19 | 東野圭吾
夏休み私立中学受験を控えた4人の子供たちは予備校講師と受験勉強、それぞれの両親は監督兼避暑と都会を離れて信州の姫神湖別荘地ですごす事に
・・・並木俊介は受験に疑問を抱きつつも、別居中の妻・美菜子と娘の舞華のために仲のよい夫婦を演じていた。
その晩、何の前触れもなく俊介の愛人・英里子が別荘を訪れる。
俊介は英里子と外で落ち合う約束をするが、英里子は現れなかった。
そこで起きた殺人事件が意外な展開に。親たちの付き合い方に何やら怪しい秘密が
・・・週刊小説に連載された当時の題名は「もう殺人の森へはいかない」、改題加筆作品。
2004年監督・脚本:青山真治、役所・薬師丸らで「 レイクサイト マーダーケース」として映画化された。
2002年 実業之日本社刊
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東野圭吾 著「秘密 」

2009-11-11 | 東野圭吾
妻と小学生の娘がスキーバスの転落事故に。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていてのは死んだはずの妻だった。
娘の体を借りて生き続ける妻。
そのまま人生をやり直す決心を固める妻と、一つ屋根の下で奇妙な夫婦生活を続けるしかなかった男は・・・・・。
夫婦としてどう接していくか、若い体を手に入れた妻に感じる戸惑いと嫉妬、
主人公平介の葛藤が、自分だったらと。。。
切ない長編ミステリー。

2000年 文藝春秋刊
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東野圭吾著「新参者」

2009-11-04 | 東野圭吾
「悪意」「 嘘をもうひとつだけ 」「 赤い指」の加賀恭一郎シリーズの第8作。
江戸の情緒の匂いも残る日本橋の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。
「どうして、あんなにいい人が・・・」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。
最近移動して着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、
九つの謎を解き明かすため、自らにとっては未知の土地、人情が色濃く残る町を聞き込みの為歩き回る。
『この町のことを思い浮かべるだけで、忽ち様々な人間が動きだした。
そのうちの一人を描こうとすると、そばにいる人々の姿も描かざるをえなくなった。まるでドミノ倒しのように、次々とドラマが繋がっていった。
同時に謎も。・・・』(著者談)
犯人捜しのミステリーの形式を取りながらそこに暮らす人々の暮らしぶり人間関係、今は廃れつつある人情を描いた人間ドラマ。
事件に直接関係ない周辺人物の小さな謎をそれぞれの9つの短編で解き明かしながら犯人にたどり着く推理小説。
2009年9月 講談社刊
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東野圭吾 著 「 超・殺人事件」

2009-10-24 | 東野圭吾
超・税金対策、理系、犯人当て小説、高齢化社会、予告殺人、長編小説、
魔周館(超最終回)、読書機械の超の付く短編8編いづれも1997年~2000年に小説新潮に発表されたものを集めた短編集。
推理作家の悩みや苦悩、業界裏話をを題材にミステリー小説に仕上げている。
ネタばれ気味の短編もあるが「超・読書機械殺人事件」のように何でも機械化される現代にあって皮肉をこめた作品などは面白い。
2001年 新潮社 刊
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東野 圭吾 著「聖女の救済」 

2009-04-29 | 東野圭吾
大阪府立大学電気工学科卒の著者が書く探偵ガリレオシリーズ第4弾。
「男がその言葉を口にしたとき、女は最後の決意を固めた。あの白い粉の力を借りるときがやって来た」
探偵ガリレオこと湯川が迎えた新たな敵は美貌の女。
IT会社社長真柴義孝が自宅で猛毒である亜ヒ酸で毒殺された。
女性刑事・内海薫は離婚を切り出されていた妻・綾音を直感で疑うが、妻には犯行当日まで北海道の実家に帰省していたアリバイがあり、毒物の混入経路も依然として不明のままだった。
草薙刑事は被害者の愛人だった若山宏美を第一容疑者として疑うが、彼の同僚の内海 薫は真柴の妻・綾音の行動に不審を持ち別行動で調べ始める。
綾音の鉄壁のアリバイを崩すためには湯川 学の力を借りる以外にないと・・・
捜査が難航するなか、湯川が推理した殺害方法は、「虚数解」(理論上はあり得ても、現実にはありえないという実に奇妙な答)。
非論理的ともいえる思考が編み出した驚愕のトリックを、湯川はいかに証明するのか。
犯人が解っていてのアリバイ崩しとその犯行方法を推理する展開なのだが和歌山のカレー毒物殺人事件と同じ亜ヒ酸にまつわる入手経路と犯行の動機が後半明らかになる筋立てに飽きずに読ませてもらった。
2008年10月文藝春秋刊
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東野圭吾 著「 片思い」

2008-11-14 | 東野圭吾
帝都大学のアメフト部の出身メンバーに起った事件をミステリータッチで
展開する長編推理小説。
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。
彼女から、殺人を告白された哲朗は、妻の親友でもある美月をかくまうが…。
男と女、性同一性障害、真性半陰陽の問題の現代社会が未だ答えを
出し得ない難しい問題を軸に、殺人事件に隠された謎を追うミステリー小説です。
2001年文藝春秋刊 文春文庫

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東野圭吾著「嘘をもうひとつだけ 」

2008-11-12 | 東野圭吾
1999年に発表された練馬署刑事加賀恭一郎が主人公の短編5編。
年は30代で背が高く肩幅が広いが、顔は瘠せていて頬が尖っていると
形容されている加賀刑事。
嘘を見抜き嘘に嘘を重ねる犯人を自白させる。
加賀の生活と人物像が希薄の為主人公への思い入れが出来ず全体的に
面白みにかけるミステリー小説で不満が残る。

2000年 講談社 刊
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東野圭吾著「 殺人の門 」

2008-11-01 | 東野圭吾
人は如何にして殺人を犯すのか・・・
殺人者となる門をくぐることが出来るのは
「動機,環境,タイミング,その場の気分、それらが複雑に絡み合って人は人を殺す」
祖母の死をはじめて体験した小学生の頃主人公「田島」が、その後両親の離婚、
家庭崩壊を経験して後、賭け碁、宝石販売のマルチ商法、
純金預かり証券の勧誘、株のコンサルタント業等を経て
幼な友だちに殺意を抱き実行するまでを描くサスペンス心理小説、
2003年 新潮社刊
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