メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『Wの悲劇』(1984)@神保町シアター(2018.3.13)

2018-03-14 13:37:06 | 映画
赤川次郎と現代ミステリーの世界@神保町シアター



『Wの悲劇』(1984)@神保町シアター(2018.3.13)
原作: 夏樹静子
監督: 澤井信一郎
音楽: 久石譲
主題歌:♪Woman “Wの悲劇”より 薬師丸ひろ子 作詞: 松本隆/ 作曲: 呉田軽穂(松任谷由実) /編曲: 松任谷正隆



出演:
薬師丸ひろ子
世良公則
三田佳子
三田村邦彦
高木美保
蜷川幸雄
志方亜紀子
清水紘治
南美江
草薙幸二郎
西田健
香野百合子
日野道夫
仲谷昇
梨本勝
福岡翼
須藤甚一郎
藤田恵子
ほか

trailer

「心の中のベストフィルムまとめ 角川映画」内【わが青春の角川映画 10作品】に追加しました



最高気温の予想は18℃ 日差しは初夏のようで1日晴れ!

前回の角川映画特集で観逃した1本をようやく観れた

「角川映画40年記念企画 角川映画祭」@角川シネマ新宿(2016)

スケジュールでは、数回あって、どのタイミングで観ようか
だいぶ前から散々迷ったけど、今日で良かった


やっぱり観てよかった

冒頭の三田村邦彦さんとの大人びた会話から(暗い部屋のイメージ映像なのがまた良い
天才子役から、10代、20代へと見事につなげ、
今もトップのまま走り続けている理由が改めて分かる

今作で流れたエリック・サティの「ジムノペディ第1番」
その後もずっと耳に残っていて、『メイン・テーマ』の挿入曲と勘違いしていたことは以前も書いた

ウィキを見たら、この映画は夏樹静子の小説が原作というより、いろいろ複雑な事情があるのね
野外舞台は野音に似てるけど石神井公園なんだ/驚

蜷川幸雄さんがまだ舞台経験のないひろ子ちゃんに「もっと腹の底から声を出して!」と大声で演出したり
ラスト、チェックのワンピースと白いジャケット姿でおじぎするシーンも何度も撮り直した映像もどこかで見た

「顔ぶたないで!私、女優なんだから!」ほかの印象的なセリフも全部、最初に観た頃がよみがえった
この歳になってまた劇場で観られるなんて本当に貴重で嬉しい

1人の女性としての若い劇団員と、劇中劇の少女の熱演、どちらも泣ける
世良さんの奥深い優しさもステキ

レジ横には薬師丸ひろ子ちゃんと原田知世ちゃんのプロマイドもあった!
1枚500~600円くらいだったような

ここのディスプレイは、毎回テーマに沿って工夫を凝らしていて、それを見るのも楽しみの1つ









翔さんもいてビックリ! しかも西島秀俊さんと共演してる/驚










劇場に来ていたのは白髪のおじさんが多く、20人前後か
「良かったです」とスタッフに声をかけていたのもおじさんだし、ひろ子ちゃんファン?

レポーターで出ている梨元勝さんは、ゲスニックマガジンの西条さんぽかったww



あらすじ(ネタバレ注意
(分かりきっているけれども、一応またメモっておく

三田静香は、小さい頃から芝居に魅せられ、いつか自分も女優になりたいと劇団の研究生になり
本で読んだ“日常生活が演技に生きる”を信じて、憧れの俳優・五代淳と寝る 遊びの1人と知りながら

「私、変わった?」「女っぽくなったでしょう?」と朝帰りして
1人暮らしのアパートに戻り「こんなものなのかな・・・」

翌日、五代は劇団の看板女優・羽鳥翔と来るが、静香は素通りされる

次の舞台『Wの悲劇』のヒロイン役のオーディションがあり、
研究生らは店にたむろして、台本を朗読して熱気にあふれている

静香もセリフや演技を覚えるのに必死で、野外舞台で練習していると拍手する森口
矢継ぎ早に自己紹介して、静香のこともやたらに聞いてくる
「オレも芝居が好きなんだ 頑張れよ」

同期の亜紀子は、学生時代の同級生の子どもを身ごもっていると静香に話す
「彼はまだ知らない このオーディションに受かったら堕ろすつもり」

オーディションでは、予想通り、かおりが一番上手く、
次の亜紀子の番になり、急に陣痛がきて病院に運ばれる
「私産む それでこの子の曲がった性格を直さなきゃ」と泣く

それぞれの配役が紹介され、最後にヒロインのオーディションの結果が発表され
かおりが選ばれ、静香は「失礼いたします」というひと言しかない女中役

森口は静香を待ちぶせて、「おめでとう 受かったんだろう?」と花束を渡し
逆上した静香は「落ちたわよ!」と花束で殴り、我に返る 森口「飲もう!」

森口は馴染みの店で、昔の友だちの話をする

有望視されていた劇団員の親友が事故で亡くなり
泣いているのに、「もっと感情をこめたほうが見栄えがいいのでは?」
などと考えている自分に気づいて嫌になって俳優を目指すのを辞めた

静香「分かる気がする」

静香は森口のアパートに行きたいと言い、布団の中で脱ぎ始める
森口「酔ってるだろ? 朝になって、ここはどこ? あなたは誰? なんて嫌だからな」
電気をつけたり、消したりして、森口に抱きつく静香「ばか!」

翌朝、「私、好きな人がいるの」とあっさりと部屋を出る静香
森口は弁当を持っていったり、クルマで送ると誘うが迷惑がられる


舞台が始まり、1回目は大成功
静香は翔の衣装と一緒にかおりの衣装のクリーニングまで頼まれて悔しさを噛み締める

誰もいなくなった舞台でヒロインのセリフを言っていると、翔が来て
「私もそんな時期があったわ これでなにか美味しいものでも食べなさい」と金を渡す


銭湯からあがった後、クリーニング店でバッタリ会った森口と静香
静香:私、女優向いてないのかも

不動産屋をしている森口は、洋館の2階でいっしょに住まないか?とプロポーズする
森口:こんなこと言いたかないけど、一生売れなかったらどうする?


大阪公演で泊まったホテルの翔の部屋にたこ焼きを差し入れて、
自分の部屋に戻ろうとする静香を部屋に引き込む翔

部屋には長年のパトロン・堂原良造が腹上死していた
翔「心臓が悪いから気をつけてたんだけど 眠ってると思っていたら呼吸してなくて・・・」

「私、誰にも言いませんから!」と逃げようとする静香を引きとめ

翔:
あの人は、まだ無名の頃、チケットや服を買ってくれた
あの頃の自分ならいい でも今、私はスターなの みんなが引きずり下ろそうとしている
あなたの部屋で死んだことにしてくれない? 摩子の役が演りたいんでしょ? 私が約束する


静香:私に出来るかしら・・・

翔:出来るわよ! あなた、役者でしょ?!

静香:役者・・・


緞帳が上がった合図を自分にして、フロントに救急車を呼んでくれと電話する

翌日、静香のスキャンダルに呆れる女優に対して
翔:あなたも役を取るために女を使わなかった? 私は使ってきたわ と擁護する

次の舞台では、かおりにひどいダメ出しをして
翔:とにかくこのコとはもう出来ないわ 代えてちょうだい!

静香のスキャンダルを記者会見で正直に話して、それを逆手にヒロインに抜擢することになる


記者会見で「あの人は、私が困っている時、チケットを買ってくれて・・・」と話して泣き伏せる

五代に事実を話す翔
「私が若かったら、彼女と代わりたかった 嫉妬したわ」


部屋に戻ろうとすると森口が待っている 「どういうことだ!?」と顔をぶつと
静香:顔ぶたないで!私、女優なんだから! 女優になっちゃったんだから
「似合ってねえよ そのサングラス」と去る森口に「舞台観に来てね!」


初舞台 緊張ですくむ静香に
翔:私は初舞台で生理が来たけどやりきった あなたもやれる 女優でしょ!

静香にスイッチが入り、絶叫して「私、おじいさまを刺し殺してしまった!」と叫ぶシーンから入る

人里離れた別荘に人々が集まり、マコが母に呼ばれると、祖父を殺してしまったと言う
娘をかばって自分がやったことにするという母
だが、実は母が祖父を殺し、娘が母をかばっている
(ここがひっかかるよね 普通、親なら子どもの罪をかぶる話ならよくあるけど

舞台裏では数分間で早着替えする静香

ストーリーは二転三転し、真犯人は父で、連れ子の母と結婚し、巨額の遺産をもらう計画を暴かれる
それを知った妻は「最後に私を抱いて頂戴」と夫を刺し、自分も刺す
マコ:お母さま! 死なないで 私が殺したんじゃない お母さまあああああああ!

観客席は長いスタンディングオベーションとなり、幕が下りると、緊張から解き放たれて床に倒れる静香
翔:カーテンコールまでがお芝居のうちよ 今日はあなたに譲ってあげる

観客の鳴り止まない大歓声を全身に浴びて、深々とおじぎをする静香


外に出ると、早速、報道陣と、出待ちの客でごった返し、フラッシュをたかれる
そこに、かおりがナイフを持ってやって来る

かおり:堂原さんと不倫していたのは翔さんよ! と明かして、静香を刺そうとし
かばった森口を刺してしまう 報道陣はかおりのほうにたかっていく


部屋の片付けを済ませて、タクシーに乗り、以前、見せてもらった洋館を見に行くと
森口が別の客を案内している

静香:かばってくれたのに、お見舞いにも行かないでごめんなさいね
森口:待ってたんだけど、それほど入院しなかったんだよ

静香:
オレの所へ来いなんて言わないでね 今の私はボロボロで、
あなたにそんなこと言われたら、胸に飛び込んでしまいそうで

森口:そうしてくれよ

静香は、また一人で一からやり直す決心をした
本で以前読んだことが、今ごろ分かりかけてきた気がするという

去る静香にまた拍手を送る森口
振り返って、カーテンコールのようにスカートを持ち上げてみせるシーンで止まるエンディング




ここで流れるテーマソングがまた沁みる なんといっても
作詞: 松本隆/ 作曲: 呉田軽穂(松任谷由実) /編曲: 松任谷正隆 だもんね 間違いない

ひろ子ちゃんは、その後、セルフカバーしたり、ライヴで歌手活動も続けているけれども
このけだるい歌声が独特で角川映画の名曲の1つ

やっぱり角川黄金時代の作品はどれも逸品だなあ
タイムリーに観た懐かしさも、より一層そう思わせているのかもしれないけど



コメント    この記事についてブログを書く
« 「本と街の案内所」@神保町 | トップ | バンバンラジオ(2018.3.14) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。