メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『フロム・ヘル 下』アラン・ムーア著

2013-04-24 14:31:34 | マンガ&アニメ
『フロム・ヘル 下』(みすず書房)
アラン・ムーア/作 エディ・キャンベル/画 柳下毅一郎/訳

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フレッドは無残な死体に群がる野次馬や、新聞記者らを見て言う。
「見てるがいい、今から百年経ってもやっぱりあいつみたいなクズ野郎が
 この殺しを超自然のたわごとにくるんで、人殺しで生計をたてようとしてるこったろうよ」

ケリーは脅迫計画が失敗し、親友たちが次々と殺されていく中、自分もあと数日の命とアルバート公に言われて、
女友だちのジュリア、マリア・ハーヴェイなどを家に泊めて、恋人ジョーとケンカしてしまう。
ジュリアはケリーの向かいに住む洗濯女だったが、なぜ床を借りなければならないかったのか?
殺されたのは彼女だったのではという説。

ガル「我らは人間精神の究極にして最終的な場所におる。薄暗い識域下の地下世界だ。
   人が自分自身と出会う光り輝く深淵だ。地獄だよ」


「肝臓こそが生命力の中心であり、魂の座であると考えられていた」

ガルは何時間もかけて最後の仕事をしながら様々な幻影を見る。



21世紀のオフィス街を見て

「そなたらの目はなぜ鈍いのか? そなたらの世紀は魂を鈍らせるのか?
 人が真の驚異と出会うときには、すでに驚きの泉は涸れ果てているというのか?」
「そなたらは先行する者すべての総和なのだ。されど自分自身のことすら知ろうとせぬ。
 自身の奥深く眠る傷にさえ無関心に育った文化よ」
「オリュンポスにあって孤独だ。科学においては多くが達成され、そなたらの機械仕掛はわしの理解をはるかに超えておる。
 この孤独。これこそが最終戦争(アルマゲドン)だ。


メイソンは犯人の代わりを探し、平凡な教師であるドルーイットを選び出す。
エドワード・ベドフォードは、悩むドルーイットを薬入りのアルコールで酔わせて遺書もどきを書かせ、警官に預ける。
警官は混濁したドルーイットをテムズに投げ入れた


リーズは発作を起こすフリをして、フレッドを連れて犯人の家まで連れてゆく。
ガルはあっさりと認め、妻も薄々気づいていたという。
しかし、多めの恩給の代わりに真実は葬り去られる。



ガルさえ正気を失い、掟を破った理由でメイソンの裁判にかけられるが、「ここにはわしの同輩はおらぬ」という。
「恐れれるなら、わしが正気であることを恐れるがいい」



精神病院に入れられ、名前をトムと変えられ、そこでまた幻視を見ながら死を向かえる。
魂となってガルは再び時空を超えて浮遊する。

「今、わたしは純粋な概念だ。肉体の束縛をのがれ、わたしは真の自分になる。
 あまたのやり方で認識されるものに。万人にとっての万物。わたしは上昇する」

「浅薄で醜い英国の部屋。醜い英国の未来を語っている。調度も装飾もまちがいなく大量生産の産物だ。
 下品な新世紀にふさわしい下品な造作。物質の世界は鋳掛屋のがらくた箱。汚れて品のない安物ばかりであふれている。
 すべてのものは最後には汚される。永遠なのは精神と概念だけ」


▼1896年
ガル死去。


【内容抜粋メモ】

「法とは蜘蛛の巣のようなものだ。小さく力なきものはとらえ、しっかりとつなぎとめるが、
 少しでも大きなものだと網を破って逃げてしまう」(アナカルシス)

リーズ「とんでもない!労働者階級を餌食にするのは、当然富める者でなければならない!」




もしかして、本物のケリーはフレッドのあげた5ポンドで町を出たのかも?!
驚いたのは、本書によれば、この事件の真相は口コミによって市民のほとんどが知っているってことだ

ムーアの4作品は映画化されていて『Vフォー・ヴェンデッタ』はすでに劇場で観た(原作者を知らずに
映画『フロム・ヘル』も気になるからぜひ観たいって思って予告編をみてみたら、なんとジョニデ主演/驚
うーーーん・・・彼がフレッド役だと原作と全然イメージが変わるかもなあ・・・
でも、もしかしたらこのキャストで話題になってるならすでに観て忘れてるだけかも



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