■『フロム・ヘル 上』(みすず書房)
アラン・ムーア/作 エディ・キャンベル/画 柳下毅一郎/訳
※「マンガ感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
▼1827年
ガルの少年期の思い出。
▼1884年(ロンドン)
シッカートに連れられて入ったお菓子屋の店員アニーに一目惚れしたアルバート公は、身分を隠して結婚し、アリスが生まれる。
▼1888年
アニーは夫と引き裂かれ、ガルとその婿に手術を施され、正気を失い、精神病院に入る。
シッカートは即座にアリスをケリーに預けるが、貧しいためケリーはシッカートに押しつけ、
シッカートも貧しいからアニーの父ウィリアムに預ける。
ポリー・ニコルズは、地元のギャングにショバ代が払えず、
「払わなければエマ・スミスと同じ目に遭わせるぞ」と脅され恐怖する。
エマ・スミスは子宮を裂かれるような殺され方をされた。
ポリーを助けるため、娼婦仲間らが相談し、ケリーはアルバートの件でシッカートを脅迫する。
シッカートはアルの母に相談しに行くと「陛下に言わざるを得ない」と言われる。
陛下は脅迫に絡んでいる4人の娼婦を秘密裏に片付けるようガルに命令する。
ガルは御者ネトリーとロンドン中を馬車で巡り、これから行われる殺人と、脈々と続く呪われたイギリスの歴史とを延々語り続ける。
かつては地母神を祀り、母権制社会だったが、女神は地位を落とされ男神に変わり、父系社会に変えられたこと。
イケニ族の女王が娘に王位を譲ろうとしたのをローマ人は許さず、女王と娘を犯したことでロンドン中が焼き払われたこと
「オベリスクは男根的だ。太陽は男性原理、男性優位の象徴なのだ」
「800万年の間支配してきた優越者を押さえ込むほどの力とは。男性支配の6000年など、まばたきほどの時間でしかないのだ」
「キリストはあきらかに太陽神の最新の仮装だ」
理性をつかさどる左脳と、感情をつかさどる右脳をつなぐ「脳梁」は昔はもっと細かった。
そのため意識と無意識の差が今よりハッキリしていなかったのではと説くガル。
「唯一神とは我ら自身のことなのだ。誰もが右脳に神々の神殿を持ち、そこから霊感や本能のすべてがこぼれ出る」
「神話こそ右脳へ通じる鍵だ」
「狂人たちは月の兵士なのだ。詩人、芸術家、魔術師らもみな星と戦っている」
クレタ文明はティラ島火山大噴火後も石工ギルドと建築家らは他国へ逃れ、栄えていった。
ディオニュソス主義者はミュケナイ文明にも影響を与えた?などなど。
「神と会話を交わすのは狂人だけだ。ならば、誰が正気なのだ?」
「星は算術、音楽、天文学、雄弁術、文法学、論理学、地理学を意味する。メイソン思想の七柱だ」
延々と町を引き回されたネトリーは最後に、周った建物すべてのポイントを地図上に示し、結ぶよう言われる。
そこには「五芒星」が現れた。
「ネトリー、我らの物語はすでに書かれておる。はるか昔に、血のインクで石に刻まれているのだ」
この日から、続々と娼婦らの無残に引き裂かれた死体が発見され、街中が騒然となる。
野次馬がたかり、便乗したモノが売れ、新聞屋のベストは、キャッチな名前をつけて部数を上げようと企み
警察を愚弄した予告手紙を送りつける「切り裂きジャック」と名乗って。
それ以降は、「オレが切り裂きジャックだ」という手紙が殺到し、
どこで見た、被害者は親戚だ、とガセネタが山のように出てきて捜査は大混乱に陥る。
ガルが革職人と称して近付いた娼婦エマはケリーか
彼女は当時ジンジャー、麗しのエマなどいくつものニックネームで呼ばれていたという。
【内容抜粋メモ】
フレッド「つまり社会主義者はみな中産階級出身だ」
ガル「石工の神秘を覆い、隠し、決して明かさぬことを厳かに誓う。
破りし時には必ずや喉首を掻き切られ、舌を根こそぎ引き抜かれ、砂の中に岸辺から一くさり離れて埋められん」
ヒントン「息子のハワードが唱えている理論を思い出すな。時間は人間の幻想だというのだ。
すべての時間は途方もなく巨大な永遠の中に同時に存在する」(ハワード・ヒントン著『第四の次元とは何か?』
「寡婦の息子を助けるのは誰か?」
アラン・ムーア/作 エディ・キャンベル/画 柳下毅一郎/訳
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▼1827年
ガルの少年期の思い出。
▼1884年(ロンドン)
シッカートに連れられて入ったお菓子屋の店員アニーに一目惚れしたアルバート公は、身分を隠して結婚し、アリスが生まれる。
▼1888年
アニーは夫と引き裂かれ、ガルとその婿に手術を施され、正気を失い、精神病院に入る。
シッカートは即座にアリスをケリーに預けるが、貧しいためケリーはシッカートに押しつけ、
シッカートも貧しいからアニーの父ウィリアムに預ける。
ポリー・ニコルズは、地元のギャングにショバ代が払えず、
「払わなければエマ・スミスと同じ目に遭わせるぞ」と脅され恐怖する。
エマ・スミスは子宮を裂かれるような殺され方をされた。
ポリーを助けるため、娼婦仲間らが相談し、ケリーはアルバートの件でシッカートを脅迫する。
シッカートはアルの母に相談しに行くと「陛下に言わざるを得ない」と言われる。
陛下は脅迫に絡んでいる4人の娼婦を秘密裏に片付けるようガルに命令する。
ガルは御者ネトリーとロンドン中を馬車で巡り、これから行われる殺人と、脈々と続く呪われたイギリスの歴史とを延々語り続ける。
かつては地母神を祀り、母権制社会だったが、女神は地位を落とされ男神に変わり、父系社会に変えられたこと。
イケニ族の女王が娘に王位を譲ろうとしたのをローマ人は許さず、女王と娘を犯したことでロンドン中が焼き払われたこと
「オベリスクは男根的だ。太陽は男性原理、男性優位の象徴なのだ」
「800万年の間支配してきた優越者を押さえ込むほどの力とは。男性支配の6000年など、まばたきほどの時間でしかないのだ」
「キリストはあきらかに太陽神の最新の仮装だ」
理性をつかさどる左脳と、感情をつかさどる右脳をつなぐ「脳梁」は昔はもっと細かった。
そのため意識と無意識の差が今よりハッキリしていなかったのではと説くガル。
「唯一神とは我ら自身のことなのだ。誰もが右脳に神々の神殿を持ち、そこから霊感や本能のすべてがこぼれ出る」
「神話こそ右脳へ通じる鍵だ」
「狂人たちは月の兵士なのだ。詩人、芸術家、魔術師らもみな星と戦っている」
クレタ文明はティラ島火山大噴火後も石工ギルドと建築家らは他国へ逃れ、栄えていった。
ディオニュソス主義者はミュケナイ文明にも影響を与えた?などなど。
「神と会話を交わすのは狂人だけだ。ならば、誰が正気なのだ?」
「星は算術、音楽、天文学、雄弁術、文法学、論理学、地理学を意味する。メイソン思想の七柱だ」
延々と町を引き回されたネトリーは最後に、周った建物すべてのポイントを地図上に示し、結ぶよう言われる。
そこには「五芒星」が現れた。
「ネトリー、我らの物語はすでに書かれておる。はるか昔に、血のインクで石に刻まれているのだ」
この日から、続々と娼婦らの無残に引き裂かれた死体が発見され、街中が騒然となる。
野次馬がたかり、便乗したモノが売れ、新聞屋のベストは、キャッチな名前をつけて部数を上げようと企み
警察を愚弄した予告手紙を送りつける「切り裂きジャック」と名乗って。
それ以降は、「オレが切り裂きジャックだ」という手紙が殺到し、
どこで見た、被害者は親戚だ、とガセネタが山のように出てきて捜査は大混乱に陥る。
ガルが革職人と称して近付いた娼婦エマはケリーか
彼女は当時ジンジャー、麗しのエマなどいくつものニックネームで呼ばれていたという。
【内容抜粋メモ】
フレッド「つまり社会主義者はみな中産階級出身だ」
ガル「石工の神秘を覆い、隠し、決して明かさぬことを厳かに誓う。
破りし時には必ずや喉首を掻き切られ、舌を根こそぎ引き抜かれ、砂の中に岸辺から一くさり離れて埋められん」
ヒントン「息子のハワードが唱えている理論を思い出すな。時間は人間の幻想だというのだ。
すべての時間は途方もなく巨大な永遠の中に同時に存在する」(ハワード・ヒントン著『第四の次元とは何か?』
「寡婦の息子を助けるのは誰か?」