メランコリア

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『D坂の殺人事件』(1998)

2009-09-13 11:02:26 | 映画
『D坂の殺人事件』(1998)
監督:実相寺昭雄 原作:江戸川乱歩
出演:真田広之, 嶋田久作 , 吉行由実, 大家由祐子 , 岸部一徳 , 六平直政, 齋藤聡介, 小川はるみ , 三輪ひとみ, 寺田農 ほか

「D坂とは文京区千駄木二・三丁目の境、森鴎外の観潮楼跡(現区立鴎外記念本郷図書館)前から不忍通りに下る坂が団子坂です。」とある。→here

以前観た『あさき夢みし』(1974)と同じ実相寺監督。とにかく1カットごとの絵が濃密。
昭和好きにはたまらないセットのディテール、光の使い方、和な音楽、どれも一寸の狂いがない世界。
少年探偵シリーズのほかに大人向けに書かれたものはドロドロすぎて読んだことがないんだけど、
性倒錯、異常性愛etc.、乱歩は大人ものと少年ものを見事に書き分けていたんだな。
今まで観た乱歩映画の中では一番その妖艶で隠微な世界が映像化されてる。

story
古本屋・粋古洞の女将・須永時子は、伝説の責め絵師・大江春泥の「不知火」の雁作づくりを
美術修復家・蕗屋清一郎に大金を積んで依頼する。
蕗屋は、見事に復元してみせ本物は燃やしてしまう。
つづけて時子は大江最後の作品で幻とされる「明烏」の製作を頼むが見本はないという。
「筆にのりうつってる今なら見本がなくても描けるはず。モデルは用意しますから」
なかなか納得ゆくものが描けずに苦悩した蕗屋は、鏡に映る自分をモデルに完成させる。
時子を訪ねた際、彼女が大江の娘であり、原画のモデルであると知る。
その後、蕗屋は時子の首を絞めて殺すが、第一発見者でお金を盗み出した従業員・斉藤が捕われる。
当時取り入れられたばかりの心理試験にかけて、この容疑者二人を捜査するが納得いかない予審判事の笠森は、
探偵事務所を立ち上げたばかりの明智に頼んでみようと思う。。


(心理試験とは一見脈絡のない単語を並べ、その語から連想する言葉を言い、脈拍等の反応をみる方法。)

嶋田久作の明智は見た目的にどうかと思うけどw、本作の妖しい雰囲気にはピッタリ。
ここでの明智は市民探偵として数々の難事件を解決し、名声も得たにも関わらず、
旅館に引きこもり、大量の本に囲まれて、宿代もためて、廃人同様になっている。
なにか事件を引きずって今後のことを悩んでいたのか?
少年探偵シリーズのいつも自信に満ち溢れて快活なイメージとは全然違ってる。

違うと言えば小林少年もしかり。女優が演じてて、どこか謎めいた挙動不審な感じ。
少年探偵シリーズではいつも頬をりんごのように赤らめて、「先生、先生」と懐いている活発な少年のイメージだけど。
孤児で明智が養子として引き取り、助手として「一生養育に捧げるつもりだよ」と言ってるが、
もしかしてなにかの事件で関わった事情で引き取ったのだろうか?


MSN のサイトで乱歩が30年もの間住んでいた邸宅がなんと、ぶくろにあると書いてあった!!!驚×5000
幻影城
月・水・金曜(公開は金曜のみ)(10時30分~12時、13時~16時)
*資料閲覧には事前予約が必要です

▼神奈川近代文学館では「大乱歩展」10/3~11/15

喫茶「乱歩」なんてのもある!

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