メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

SFベストセラーズ『消えた町』 光瀬龍 鶴書房

2021-08-15 15:13:15 | 
カバー・挿絵/武部本一郎 昭和53年初版 府中市立図書館

「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します

















府中市立図書館は素晴らしいなあ
ますます行ってみたくなった

貴重な初版 なかなかブキミな表紙画

タイトルは眉村さんっぽいけど
恐竜、多次元、宇宙人、タイプトリップ?、ミステリー、、、
あらゆる要素を詰め込み過ぎてお腹いっぱいになる











【内容抜粋メモ】

●あらしがくる
明日必要な彫刻刀が見つからず、滝要は夜中の8時に買いに行った帰り道
学校で美人で有名な小清水麗子が雨でびしょ濡れになっているのを見て声をかけると
家に幽霊が出て、父母が姿を消して怖いと言う
家に入り、2階を確かめようとして透明な人間を見る








●ふしぎな階段
幽霊が出るという2階に上がると昼間の見知らぬ町に出てしまう
警察を呼んで確かめてもらうと異常なしでいたずら電話だと思われる





同級生の川辺と浜田を呼び、再び2階に行くと今度は草原に恐竜が争い合っている
(『ロストワールド』の影響か? 恐竜が恐龍と書いてある


●恐龍の世界へ
川辺は混乱して草原に走り出して行方不明になる
助けに行くとまた町が現れ、麗子は両親を探しに出て行方不明





浜田:あれは異次元の世界なんだろうか?

要は家からトランシーバー、自転車、懐中電灯、磁石、花火などを持ってきて
浜田に自分の現在位置を記録してくれと頼んで、草原に出る
位置からすると要らが通う白鳥中学の辺りと分かる

数匹の翼竜に追われて森に逃げ込み
トランシーバーをワイヤレスマイクに切り替えて川辺に呼びかける
(こういう時って無線が役に立つなあ






1頭の恐竜が川辺をくわえているのが見え、花火で脅かすと口から落とす
ジグザグに走ったせいで帰り道を見失う

浜田になにか燃やして煙をあげてくれと頼むが
煙は接点を通過できないと分かる

ロープを階段と体に結んだ浜田が現れて、そちらに走ろうとすると
白いスポーツカーに轢かれそうになる


●ふしぎな町
電柱の番地を見ると聞いたこともない南山平市とある
見渡すと最初に見た町だと分かる

接点の家のテラスには人だかりができ
そこから急に少年(浜田)が出て来てきて逃げたという騒ぎ






今度は浜田と麗子を探さねばならない
テラスのある家には髪の長い青年が何か書いている






●失敗また失敗!
気を失った浜田を見つけて運ぼうとすると
黒い人影が「たすけてくれ・・・」と追いかけてくる
(これが最後まで正体分からずじまい

家のガラス戸から侵入し、男を殴っていると浜田がいない
階段に戻るともう夜明け

川辺:うちのお父さんに相談してみるよ

要:頭がおかしくなったと思われて外出できなくなるぞ

(本作に出て来る大人は異常者ばかりな感じ
 親も全然信用ならない感じ

あの町の家と麗子の家は鏡に写したように対称的だと気づく







川辺:何かで読んだことがある 反陽子世界とかいうんだ
でも、この世界の物質が入りこむと大爆発しちまうんだろ?
異次元世界とも考えられるぞ

要は川辺を見張りに残して、いったん家に戻る


●脱走
母親に昨夜はどこに行っていたと迫られ
父は珍しく学校まで車で送ると言われて断れずに登校





授業中あくびばかりしていたせいで廊下に立たされて
そこから脱走しようとして教頭先生に捕まり、職員室の壁際に立たされる
体育の中川先生が獲物を見つけたハイエナのように絡んでくる
(学校は牢獄より酷いな/汗

川辺が学校に来て、2人で逃げると
口やかましくて有名な家庭科の女教師に呼びとめられる


●もう一人の麗子
ようやく麗子の家に着くと、向こうの町の麗子で驚く
2人のことを知らないと言うし
110番ではなく115番にかけて警察を呼ぼうとしてかからず
おかしい世界に来てしまったと分かる

麗子:中尾県にある親戚の家にいたのに迷いこんでしまった

要:
そんな県はないよ
異次元世界にもう1人の小清水さんがいるかもしれない


●まぼろしの宇宙人
要は麗子を説得し、協力を頼み、2階へ行くと
そこらじゅうが真っ赤に燃えていて
エイのような宇宙船から奇妙な形の宇宙人が出てきた






短い筒のような武器を向けられ「ダマッテアルケ」と命令され
彼らを蹴りつけると青い細い光のすじが発射され、当たると燃える

要は川辺を宇宙船内にひきずりこむ
上に向かうエレベーターがあり、麗子と再会
周囲が真っ黒になり、またテラスに戻っている
周りは火事などない

またガラス戸を破り、男が書いていた小説を読むと
これまで要らが体験した事柄が書かれていて余計困惑する


●麗子の両親
2人の警備員らしい青年が入ってきて要らを幽霊だと思う
麗子の両親が「この家は自分たちの家だ」と言い張り、外にいるところに声をかける
母親は要を信用せず、2人を階段に押し込めて、現実世界に戻す






●あれはだれだ?
別世界の麗子を娘と思い込んでいるため
麗子はクルマに轢かれて記憶喪失だと誤魔化し
混乱した母を寝かせる

麗子:あれは両親に似ているがどこか違うわ

帰り道を覚えた川辺も戻り、現実世界の麗子と別世界の麗子が顔を見合わせる
2人並ぶと似ていてもわずかに違う
現実世界のほうを小清水、別世界のほうを麗子と呼ぶことにする






2階に上がると普通の部屋に戻っていて
浜田を助け出せなくなってしまう

麗子:私、帰れなくなったわ!


●麗子のおじさん
あの家は麗子の叔父の家で、彼はSF作家
10年ほど前に外国旅行中に死んだとしらせがあったのに
半年後ひょっこり帰って来た

小清水の父:
私には弟の真也がいて、外国旅行すると言って出ていった
7月に友人の所に行く予定が消息が途絶えてしまった
なにかに追われる様子で異常に感じた
悪質な犯罪に巻き込まれたのではないかと調べたが分からない
当時、真也には恋人・水城文子さんがいた

要:
真也さんは僕たちと同じ体験をして
恐怖を打ち明けられずに姿を消したのかもしれない


●その人はどこに
文子の居所を調べるために出版社に片っ端から電話して
ようやく仕事を辞めて、飯能のレストランにいると分かる


●おじさんの恋人
文子にこれまでの経緯を話すと

文子:
何かから逃れるために外国に行き
私に日記帳を預けるという手紙が来た
日記帳は来なかったが粘土の人形が届いた





要は人形を叩きつけて割ると、中から日記帳が出てくる


●おじさんの日記

日記:
もう一度操作してみた 大きな氷河のほとりに立っていた
まるで悪夢のようだ 海へでも捨ててこよう

ひどい大暴風で、庭にズシンと地響きがした
庭に大きな穴が開いていて、フットボールくらいの球があり家に運んだ

黒い奇妙な機械のスイッチの1つを押すと、見たこともない大都会が現れた
人間に自由にいろんな風景を見せることができる魔法の機械だ
ことによったらタイムマシンかもしれない


要:まだあの家のどこかにあって、働いているのでは?


●おじさんをつれもどす
当時の飛行機を調べると叔父は乗っていないと分かる

2階の羽目板の中に奇妙な機械を見つける
2、3個のダイヤルとスイッチ、メーターなどがついている
これを使って浜田を連れ戻し、麗子を元の世界に返すことにした






最初は恐竜のいる草原、次は宇宙船が熱線を浴びせている世界
3番目にあの家に着き、父は弟と再会する

真也:
僕は新しいSF作品を書こうとして、アイデアを思いついた
落雷とともに天から物体が落下してくる

そこには次元を越える奇妙な装置が入っている
それを使ってSF作家がいろいろ旅する

私の考えたストーリーと同じことが実際に起きた
私はあの装置の働きに巻き込まれた結果、この世界に送られた
元の世界に戻るために、麗子の友だちが私を救うストーリーを考えた

浜田くんは寝ているよ

麗子とお別れを言い、自宅まで送ると、両親が心配して迎えに出るのが見えた
もう1人の要と川辺もいて、見つからないように逃げると追いかけてくる

川辺:
お前要じゃないな
いつも俺のことを川辺くんと言うのに呼び捨てにしたな

2人は逃げてテラスに飛び込む


●すべては終わった

要:
この機械は地球で作られたものではない
考えたことをキャッチして働きだすのはないか
みんなで消えてくれって願ってみましょう

みんなで「消えろ!」と念じるとテーブルの上から機械は消える



ゆめの中の街(あとがき)




小学校5年くらいに見た夢
夢の中ではどこか分かっていたが
覚めるとまるで分からない

2年ほど後、横浜市電の青い車体は
まさに夢の中の街を走っていたのとそっくり

これまで横浜に来たことはないし
横浜市電の車体が青いことも知らなかった

その後、市電に乗ってみたが、夢の中の街はなかった

さらに3年後、飛鳥山を通った時
都電はクリーム色だったが、夢の風景は飛鳥山公園だと分かった






それはとてもハッキリしたリアルな夢だった
夢は神経の疲労だとか、大脳が目覚めている状態とか言われる

もしかしたら、夢とは別の世界を見たり、体験した記憶なのではないか
それは幼い日のように、切なく懐かしいものでもあるのです




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