メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

推理・探偵傑作シリーズ 24 らせん階段のなぞ マリー・ラインハート/著 あかね書房

2023-01-09 15:09:23 | 
1976年初版 1989年第13刷 中尾明/訳
ブックデザイン/有本功
横山まさみちと横山プロダクション/イラスト

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


『マルタの鷹』同様、挿絵がマンガで、いくら少年少女ものといっても
内容が薄くなりすぎるのは難あり

このシリーズの他の作品もとても気になるものばかりだけれども
これで最後にしようかなと思う

最初のマンガがなぜか同じページがダブって2枚ある

そのマンガの状況説明を見て
階段から落ちながら怪我をしなかった女性が怪しいと思った












これまでのミステリーは、女性は脇役だが
女性が書いて、女性の被害者が主人公なのが目新しい

私なら、自分の目が届かないほどデカい屋敷
それも変な噂を聞いた時点で別の屋敷に変えるな

じゃなきゃ犬を数匹飼って番犬に放つか
窓の下に粉でも振って
足跡がつくように細工するとか


【内容抜粋メモ】

登場人物
レーチェル・イネス 女主人
リディ 家政婦
ハルジ 甥
ガートルード 姪
ジャック・ベイリイ

ポール・アームストロング
アーノルド 息子
ルイズ 娘

ウォーカー医師
スチュアート医師
トム

ジャスミン刑事



■窓の人影
レーチェルは独身だが、小さい頃に両親を亡くした
甥ハルジと姪ガートルードを我が子のように育ててきた
郊外のサニーサイド村にある屋敷を借りてひと夏を過ごそうと計画







屋敷はピッツバーグ市の銀行頭取ポールの別荘
ポールが体を壊し、カリフォルニアに家族と転地中貸していた

ポールの息子アーノルドは評判が悪いが
その妹ルイズとハルジは親しい関係

屋敷の家政婦らはみな暇をとって帰ってしまう
トムだけ雇うと、数か月前から幽霊話があるから
門番小屋に眠ると言い張る







夜、家政婦リディと戸締りをしていると
窓に怪しい人影が写る






■カフス・ボタン
新しいお手伝いたちが馬車で着く
洗濯かごの中にカフス・ボタンを見つけて
見たことがないもので不審に思う








ハルジは週末を一緒に過ごすと親友ジャック・ベイリイを連れて来る

ハルジとベイリイが玉突き部屋にいる時
ピストルの音がして行くと2人はいない

胸を撃たれてアーノルドがらせん階段下で死んでいる

グリーンウッド・クラブから3人の男が来て調べる
アーノルドとベイリイは仲が悪いという噂

レーチェルは花壇にハルジのピストルを見つけて
疑いがかかるといけないから引き出しに隠すが消えている







■ガートルードの婚約

ジャスミン刑事:
犯人は階段の途中から撃った
ハルジはガートルードにしつこく言い寄るアーノルドと大げんかしたことがある

ガートルード:殺人は3時 2人が出て行ったのは15分前

ガートルードとベイリイが婚約していたと知り驚く

アームストロング家の弁護士ハートンが来て
何年も前に家出したアーノルドが何かを取りに来たとは思えない

ポールは前妻を亡くし、再婚 アーノルドは前妻の子ども
ハートンは屋敷をあけてくれと頼むが
家が修理中で無理
事件が解決するまではあけないと断るレーチェル

ジャスミン刑事はアーノルドの荷物から
謎の言葉が書かれたメモを見つける
“平面を変更して、、、1つは部屋、、、煙突、、、”

ジャスミン刑事:
レーチェルらがなにか知ってるなら情報を交換しよう
でないと事件解決は困難になる

ハルジらを守りたいレーチェルは隠したまま

カード室の押し入れに誰かを閉じ込めたジャスミン刑事
その人物は洗濯ものを落とすシュートをおりて逃げる



■地下室
ガートルードはびっこをひいている 彼女が隠れていたのか?

トムを訪ねると、女性ものの荷物がある
運転手のワーナーはそれがトムのものだと言うがおかしい

問題のカフス・ボタンはベイリイのもので
ハルジが逃亡を助けていると推測するジャスミン刑事

ハルジ:
僕はルイズを愛している
その兄を殺すはずはない

ハルジとガートルードもレーチェルに秘密を持っていることが分かる


■銀行の休業
ハルジとガートルードが親から継いだ遺産が全部預けてある銀行が休業
約125万ドルの担保がなくなり、出納係のベイリイが疑われて逮捕される



■門番小屋の二階
門番小屋の二階にルイズが熱を出して寝込んでいるのを
隠しきれなくなったトムが明かす

ポールが病死したしらせが来て
銀行の担保の債券などを現金化してどこかに隠したとみられる

ハルジが頼んだ庭師アレックスが来て雇う

ルイズは回復 屋敷が貸家になっていたことを知らなかった
母は父に黙って貸していた

兄と同様にらせん階段の下で倒れているルイズ
そばを誰かが通り、恐くて失神したと話す

アーノルド殺人事件の審問
ベイリイは保釈後、体調を崩してアパートで寝ている


■トムの死
3階の荷物部屋の壁に大きな穴が開けられていて
また幽霊のしわざだと騒ぐリディ

トムは「幽霊を見た」と言って、心臓発作で亡くなっている


■車庫の火事
ルイズとアーノルド夫人が村の小さな家に住んでいると聞いて驚く

西の棟のはずれにある車庫が放火されて
みんなが騒いでいる間に、東の棟のらせん階段やドアに犯人が来るのではと思い
レーチェルは怪しい人影に向かってピストルを撃つ






■びっこの男
ウォーカー医師らに足を撃たれた男が来なかったか聞くが誰も知らない

お手伝いエリザの部屋にもまた大きな穴が開けられた
屋敷のどこかに二重壁の秘密部屋があるのではと疑うレーチェル

ハルジがジャスミン刑事を迎えに行ったはずが戻らない
車が貨物列車に衝突したままハルジは誘拐された?

ベイリイもアパートからいなくなり、また2人の消息が分からない

ジャスミン刑事も屋敷のどこかに大金が隠されていると
ウォーカー医師を怪しむ

最近、医師からクビにされた男:
ウォーカー医師はルイズと結婚して、この屋敷に住みたがっているそう


■深夜の墓地
屋敷からかなり離れた病院でハルジが入院しているとしらせが入る

ジャスミン刑事らは墓地でポールの墓を開けると
見知らぬ死体が入っていた







■太い煙突
3階の荷物部屋にだけ幅2.6mもの煙突があるのはおかしい
レーチェルは飾り棚の鏡をすべらせ、ハンドルを引くと秘密部屋を見つけ
手提げ金庫を見つける


■かつら
秘密部屋に犯人が入ってきて、イスで殴ると反対のドアから逃げる
ハルジが戻り、秘密部屋のレーチェルを助ける

らせん階段を滑り落ちて、首を折って死んでいる男のカツラを取ると
病死したはずのポール






■二組の結婚式
金庫から現金と債券が出てきた

ポールがひそかに持ち出して屋敷に隠したが
夫人はポールに言わずにレーチェルに貸したため
追い出そうといろいろな嫌がらせをしていた

アーノルドも金をかぎつけ、奪おうとしていて
争った末に父が息子を射殺

カフス・ボタンは事件を調査していたベイリイのもの
彼もヒゲを剃り、カツラをつけて
庭師アレックスに変装していた(分からない?!

ウォーカー医師も絡んでいて、疑っていたハルジを縛り、貨車に放り込んだ

事件は解決し、ハルジとルイズ、ベイリイとガートルードは結婚








■作者と作品について 中尾明




ラインハート
1876年 ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ
父は幼い時に拳銃で自殺
母は熱湯を浴びる事故がもとで亡くなる

看護婦の養成所を卒業後、医師と結婚し3人の子どもを産む
アメリカが不景気になり、生活の足しに短編小説を書いたら売れた

初めての長編が今作
アメリカの一流推理作家の一人として賞賛される

ホームズ、ポアロ、バン・ダインのバンス
ルルーのルールタビーユのような探偵は出てこない

「知ってさえいたら」派と呼ばれ
もし知っていたら打つ手があったのにという手法

第一次世界大戦、新聞社の通信員となり
ヨーロッパで旅行記を書く

『らせん階段のなぞ』を少し書きかえて『バット(こうもり)』という舞台劇にし
映画化されて話題となる

1930年頃から体調を崩し、夫を亡くし、作品数が減る

『水泳プール』はベストセラーとなる

ティッシュというおばあさんが登場するユーモア短編小説は人気

長男・三男は母の作品を出版する出版社で働き
次男は雑誌、映画の原稿を書く




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