メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 46 スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー/著 早川書房

2023-01-03 14:10:54 | 
2004年初版 訳/綾川梓

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください

ミス・マープルの最後の事件
この377ページにあらゆる人間模様が詰まってるってフシギに思える
ハードカバーがよかったけれども、図書館で借りれたのは文庫本





随分昔に書かれたはずなのに
まるでスティーブン・キングを読んでいるような感覚

古風な家を買う前から、まるでそこに住んでいたかのように記憶が蘇る
若い夫婦の幸先に暗い蔭が落ちることを予言するミス・マープル


<半分まで読んだ私の推理>
殺したのは兄のジェイムズ
腹違いの妹ヘレンを愛していた

ケネディに麻薬を盛るようヘレンに指示し
ジェイムズがヘレンを殺してその罪を夫に着せた
ヘレンからのその後来た2通の手紙はウソ


【内容抜粋メモ】

登場人物
ジェーン・マープル:探偵好きの老婦人
レイモンド・ウェスト:マープルの甥 作家
ジョーン:レイモンドの妻

グエンダ・リード:ニュージーランドから来た新妻
ジャイルズ:グエンダの夫
コッカー夫人:家政婦
フォスター:庭師

ケルヴィン・ハリデイ:グエンダの父
ヘレン:ケルヴィンの後妻
ジェイムズ・ケネディ:ヘレンの兄 元医師
ウォルター・フェーン:弁護士
リチャード・アースキン:退役少佐
ジャッキー・アフリック:観光会社経営者

イーディス・パジェット:ハリデイ家の元料理人
リリー・キンブル:小間使い
レオニー:スイス人の子守り

プライマー:警部


■家
新婚のグエンダ・リードは、多忙な夫ジャイルズの代わりに家探しをする
ディルマスの家をひと目見て「これは私の家だ」と確信して決める

■壁紙
ヒルサイド荘に越して、料理はコッカー夫人に頼み
グエンダは内装・外装のリフォームにとりかかると
「ここには階段が必要だ」と思った所から階段が出てきたり
ドアがあると思った所から埋められたドアが出てきたり
フシギな現象が続く 初めて来た場所なのに・・・

かつて子ども部屋だった所から
自分が貼ろうとしていた壁紙が出てきた時は恐怖にかわる

■「女の顔をおおえ・・・」
レイモンド・ウェスト夫妻に劇に誘われて行く
叔母のマープルに紹介される

「女の顔をおおえ、目がくらむ、彼女は若くして死んだ」
というセリフを聞いて、悲鳴をあげて逃げ帰るグエンダ

グエンダは心配するマープルにこれまでのことを話す

グエンダ:
劇場で金髪の絞殺された女が見えた
そばで男があのセリフを言った
猿の前肢を見た
彼女の名前はヘレン だが彼女のことを何も知らない


■ヘレン?

マープル:
いつも最初はいちばん簡単で常識的な解釈にあたるといい
いちばん自然な解釈は、あなたが前に実際見たことがあるということ

グエンダはインド生まれ
母が亡くなり、父は娘をニュージーランドにいる母の親類に預けた
父もその数年後に死んだ

グエンダが一度ディルマスで住み
そうした殺人が起きた可能性を話すマープル

マープル:
表面的には忘れたように見えても
記憶はずっと深いところに残っているのよ


■回想の中の殺人
育ての親アリスン叔母に聞くと
父はインドからの帰りの船でヘレンに会い、再婚
たしかに一家は一時ディルマスに住んでいた

探偵好きなジャイルズはすっかり謎解きにハマるが
マープルは手を出さないほうがいいと忠告する

マープル:私は長い間生きてきて、人間がどんなに傷つきやすいか知っているの

そう言いつつ、2人が心配で、セント・メアリ・ミードに戻ったマープルは
ヘイドック医師からディルマスで療養する許可をもらう

ヘイドック医師:
回想の中の殺人か
殺人者はかならず犯行を繰り返すというのは真実ではない
いろんな形の罰がある
1つの犯行で欲しいものを手に入れて満足した
だがなにかの危険が脅かすとしたらどうだろう?
眠れる殺人事件は寝かしておけ、だ
(ここからタイトルがついてるのかな?

■発見の実習
家を買った不動産屋に聞いて、以前勤めていたガルブレースを訪ねる
彼はハリデイ少佐と美人の妻ヘレン、娘グエンダを思い出す
昔の名前はセント・キャサリン荘
登記所で調べるとヘレン・スペンラヴ・ケネディという旧姓が分かる

■ドクター・ケネディ
新聞広告でヘレンの消息を尋ねると、ヘレンの異母兄ジェイムズから連絡が来る
ヘレンとケルヴィン・ハリデイはロンドンで結婚、ディルマスで暮らしたが
ヘレンは結婚している男と駆け落ちしたと話す

ウォルター・フェーンと結婚するつもりで船に乗ったが
インドに着いて断り、帰りの船で2人は出会った

■ケルヴィン・ハリデイの妄想
ケルヴィンは精神病院で亡くなった
妻を絞め殺す妄想に囚われていた
妻の不貞より死を望む場合によくある
ケネディはその後ヘレンから2通の手紙をもらった

■未知の下手人?
父は寝室で殺したと話したが
グエンダが見た幻はホールという食い違いにひっかかる
第三者Xがいたのか、ヘレンはまだ生きているのか

■ある患者の記録
父が亡くなった療養所を訪ねると、主治医ペンローズは父の犯行を否定する
ケルヴィンは処方した睡眠薬を大量に飲んで自殺したと話す

妻が自分に麻薬を盛っていたという強迫観念があった
父の遺した手帳を読むと、ヘレンは妻のいる男と恋して破れた話をしたと書かれている

■彼女の生涯における男たち
マープルは得意のお喋りで、ハリデイ家の元料理人イーディス・パジェットや
弁護士となったウォルター・フェーンが
まだディルマスにいることを突き止める

グエンダは父が誰かに殺人の罪を着せられたと考える
Xが殺し、父にクスリを盛り、寝室に寝かせて、夫が殺したと思わせる細工をした
Xはヘレンの周りにいた男たちの1人に違いない

■リリー・キンブル
元小間使いのリリーは新聞広告を見て、名乗り出たほうがいいかと
夫ジムに聞くと、放っておけと忠告される

リリーは当時、グエンダの子守りをしていたスイス人レオニーが
なにかを見たと聞き、犯人の名前を思い出せないのを悔しがる

■ウォルター・フェーン
グエンダは遺言書を作成してもらうという体でフェーンに会い
昔話を聞くと、ヘレンにフラれた後もよく家を訪れたと言う
あまりに影が薄いフェーンを見て、殺人者には見えない

■イーディス・パジェット

イーディス:
当時、夫婦でロイヤル・クラレンス・ホテルに逗留していた男も
ヘレンが好きだったとリリーが話していた

失踪時に持っていったと思われる衣服はおかしな組み合わせだった
リリーはヘレンが「私はあなたが怖い」と男性に話しているのを聞いた
ヘレンは失踪事件が起きる3週間前、周りに内緒でノーフォークに引っ越す予定だった

犯人はピカピカの車に乗っていた男?

■住所
ロイヤル・クラレンス・ホテルに18年前逗留していた夫婦は
顧客名簿からリチャード・アースキンだと分かる

■お母さん子
マープルはウォルター・フェーンの母と知り合いになり
噂話の延長で昔話を聞く

ウォルターはとても大人しい子どもだが
一度、兄とケンカして殺し合い寸前までいったことがあると分かる

ヘレンは事務所にいた若い男とも関係があった
今は遊覧バス会社を経営しているジャッキー・アフリック

■リチャード・アースキン
グエンダは庭に指輪をわざと落として
夫人がいない時に訪ねて、ヘレンについて聞く
ヘレンが男と駆け落ちしたことを知らないアースキン

リチャード:
彼女は自分の家庭から逃げ出したいと思っていた
私たちは船上で真剣な恋をしたが子どものために別れた

妻がディルマスに行きたいと言い、会いに行った
彼女は結婚して十分幸せそうだった

事件の前の晩、2人は会っていた
もしヘレンが行方不明なら、自分から逃げたかったに違いない

リチャードの妻ジャネットは嫉妬深く
ヘレンとの仲、グエンダとの仲も疑う

■蔓草
2人の留守中にケネディが来て、ヘレンからの手紙を持って来たのをマープルが預かる
ケネディ:私は妹が好きでしたが、彼女のそばにはいつも男がいました

後に筆跡鑑定すると、ヘレンの筆跡だと分かる
(このトリックも分かった

■ミスター・キンブル語る
リリーは新聞広告は遺産の話かもしれないと譲らず
ケネディに手紙を出す

■少女ヘレン
庭師フォスターはほとんど仕事をしないため
昔ここで働いていたマニングを臨時で雇い、昔話を聞き出す

ヘレンが少女の頃、テニスをしようとネットを張ったら
誰かがずたずたに切り裂いた事件があった(コワイ・・・
転んで足に怪我をしてダンスに行けなくなる事件もあった

ジャイルズ:
“私は百もの恋の仕方を知っている
 そしてその一つ一つが恋人を悲しませる”


マープル:
嫉妬は、もっと深い所に根差している
自分の愛が報いられないという認識にもとづき
だから人は待ち、期待しつづける
恋人がほかの人に心を向けることを
それは繰りかえされる
一番やりそうもない人がやっている

(心理学にも詳しいんだな


■J・J・アフリック

アフリック:
私はあの子を可哀想に思っていた
堅苦しい中年のお兄さんのせいで何の楽しみも持てなかった

2人はただの友だちだったが、事務所をクビになった
誰のたくらみかは分かっている その理由も

アフリックがピカピカのクルマに乗っていることが分かる

■リリー、約束を守る
約束した日にリリーは来なかった
手紙で知らせた時間より早めに着いて、絞殺された死体で発見される

ラースト警部:彼女は口ふさぎに殺されたかもしれない

ジム:ああ、あいつはちっとばかし才走りすぎたんだ

■彼らのうちの誰か?

マープル:
私は年をとっているから死というものに大きいショックを受けない
私を悩ませるのはガンのようにだらだら長引いて苦しいものだけ
(至極、同感/汗×5000

レオニーは子ども部屋から犯人が死体を埋めるのを見た

ウォルターとアフリックが男の声で別々に呼び出されて
しばらく家で待っていたことが分かる

■猿の前肢
プライマー警部にこれまでのことを全部話すグエンダ
マープルがこれまでたくさんの事件の謎を解いてきたのを知っている

階段からヘレンの死体が見つかる
まともに見たコッカー夫人はブランデーを飲み瀕死となる
毒が入っていたため
入れたのはウォルターかアフリックか?

グエンダ:自信のない人間は自慢し、威張るものだ

コッカー夫人のはめていた外科用手袋を見て猿の前肢を思い出す

ケネディがヘレン、リリー殺しを自白し、グエンダも絞殺しようとして
庭で見張っていたマープルがアブラムシ用の石鹸水を浴びせて助ける(!

■トーキイでのあとがき
ケネディの勤めていた療養所は隣りにあった
彼は異母妹を熱愛していたゆえに、男友だちに異常に嫉妬した

ヘレンは色情魔ではなく、単に楽しく過ごしたかっただけ
テニスネットも足の怪我にバイキンを入れたのも兄

兄から逃げるようにフェーンと結婚しようとしてアースキンに会い
帰りの船でケルヴィンに出会い、そのまま結婚

ケルヴィンはケネディと親しく、次第に神経症を示唆して操った

演劇「マルフィ公爵夫人」のセリフは
妹が愛する男と結婚したことへの復讐に謀殺した兄のセリフ
当時3歳だったグエンダは殺人を目撃していた

ヘレンの手紙もケネディが書いたもの
ブランデーに毒を入れて、2人の男のせいにしようとした
ケネディはすべて自白して逮捕される

グエンダ:
彼女はもうあそこにいないのね
帰りたければ、帰ることができるのね

(階段下から死体が出た家にまた住むなんて信じられない!
 そこに植えられた野菜とか食べるのもイヤすぎる・・・


回想と予感 小説家 恩田陸
歳月を過ぎた犯罪は生々しさがないので、どこか優雅で余裕がある

クリスティーのミステリは幸福な読書の象徴
クリスティーを楽しむには、平和な日常が必要なのだ
(なるほど!

謎解きの楽しさも約束され、文章はシンプルでするする読める
クリスティーを読む理由は、小説を読む理由

ただ読みたいから読まれる小説とは
なんと素晴らしいのだろうとしみじみ思う

コメント    この記事についてブログを書く
« topics~スタバのジャパニー... | トップ | 声を認識するハードボイルド... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。