メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『人はなぜカラスとともだちになれないの?』(農山漁村文化協会)

2015-10-07 11:39:51 | 
『シリーズ鳥獣害を考える1 人はなぜカラスとともだちになれないの?』(農山漁村文化協会)

『シリーズ鳥獣害を考える2 イノシシはなぜ田畑に害をあたえるの?』(農山漁村文化協会)

「ワタリガラス」は星野道夫さんの著書の中に出てくる神聖な鳥のイメージだから、ここに出てきて意外。

たしかにカラスは、害鳥で真っ先に思い浮かべる鳥。それもヒトの生活が大きく影響していると分かる1冊。
カラスって賢いってイメージがあって、読んだらその通りだった。

いくらヒトの暮らしに害になるといっても、年に数万羽も駆除しているって異常だ。


【内容抜粋メモ】

カラスってどんな鳥?
カラスとスズメは遠い親戚みたいなもの(でもスズメのヒナとかを食べちゃうのね
日本にいる5種類の中で、よく見るのは「ハシボソガラス」と「ハシブトガラス」

「ハシボソガラス」もともとは開けた田畑、海岸に住む。雑食性だが、農作物、昆虫などが好き。
「ハシブトガラス」もともとは森林に住む。雑食性だが、樹木の種子、肉類が好き。

カラスの1年は、「巣づくりして子育てする繁殖期」と「それ以外」に分かれる。


カラスの子育て


巣はオスとメスが協力して作る。
卵を産む中心部には、柔らかい枯れ草、動物の毛などを敷いて、3~5個産む。

日中のほとんどは食べ物探し。縄張り内で活動する。
巣と、眠る場所は別。夜、集団でねぐらで過ごす。ねぐらに集まる数は秋~冬が多い。


高い学習能力を持っているカラス

1.記憶力がよい
エサは口に入れると、安全な場所で少しずつ食べる習性がある。
木の穴などに隠して保存もする。「貯食行動」

ヒトの顔を見分けることができる。数、色も分かる。

鳴き声で仲間とコミュニケーションをとっている。41種類の鳴き声が分かっている。
(話しかけられたら、絶対返事しなきゃいけないルールがあるって聞いたことがあるんだけど、ほんとかなw

2.固い木の実を割る知恵
よく知られているのは、高い位置から落として割る「クルミ割り」
それで割れないと、道路に置いてクルマに轢かせる。うまく割れないと、タイヤの通る位置を見て置き直す/驚

エサのとり方、危険を避ける方法は、親から学ぶ。


3.カラスは遊ぶ
電線で大車輪をしたり、2羽で一緒に飛んだり、遊んでいるかのような仕草をするのも知能が高いと言われる理由。

「シンクロナイズド・フライング」

身体能力も優れている
クチバシを器用に使ってヒモをほどいたり、小鳥小屋の戸を開けたりする。


カラスの脳は大きい

体重は400~800gに対して、脳は2.5~1.3%。ニワトリは0.3%。

【脳化指数】(脳の発達の度合いをあらわす指標


知能に関わっているのは大脳。



ヒトとカラスは共存していた
昔から「カラスが鳴くと死人が出る」など、不吉な迷信によく登場した。
一方、『古事記』では、神の使者「ヤタガラス」として登場する神聖な鳥。

5~6月頃、ヒトが耕した土から出るミミズ、カエルをエサにする。
秋は、ヒトが育てるカキ、ナシも食べる。
それが、害鳥と言われるようになったのは、ヒトの近くで増えすぎたから。


カラスは雑食性

カラスは、植物性・動物性も食べる

多くの動物は食べ物が限られていて、それが手に入る場所でしか生きられない。

トキは田のドジョウや小魚が、近代化によって減ったため、絶滅した。
ホタルは、川が汚れて、カワニナ(貝)が減り、ホタルも減った。


農業の機械化がカラスを増やす?
今はトラクターで短時間、広範囲を耕し、昆虫やミミズが大量に出る。
ヒトはトラクターに乗っているから、カラスは安心して食べることができる。

コンバインで作業すると、稲穂や脱穀したモミが田に落ちたままになる。
昔はヒトが落ち穂を拾い集めたが、今はカラスが食べている。




放置した農作物もエサになる
農業協同組合などを通して市場に送る野菜や果物は、ある一定の数、品質、大きさを揃えるため、規格外は放置することが多い。
虫に食われた野菜や果物をとって、その場に捨てると、カラスのエサとなる。
(今日1日食べられずに死んでいる世界中の人たちに送りたいくらいだね↓↓↓

秋の稲刈り後、田に稲の株が残る。
稲刈りの時期が早いと、株からまた芽が出て、穂がつき、ごちそうとなる。「ヒコバエ」


ヒトの出すゴミ


ヒトの出すゴミの中には、野菜くず、傷んだ食材、食べ残しが入っている。
農村では、田畑に生ゴミを捨てることがある。
冬にはエサがなくなり死んでいたカラスは、生ゴミが1年中あるため、増える原因となった。


都会と森林、巣を作る環境は同じ
森と、高層ビル、電柱や電線のある都会は、どちらも生活・巣作りの環境。
巣の材料となる小枝の代わりにハンガーも利用する。
都会には、天敵のオオタカ、ワシもいない。



生態系に影響を与えるカラス
カラスは、動物の死体を食べて片付ける「そうじ屋(スカベンジャー)」の役目もしている。

カラス自体は、生態系から外れた存在



ほかの鳥を脅かす
ほかの野鳥の卵、ヒナを食べてしまう。都市部でスズメ、オナガが見られなくなったのもカラスが増えたため。


野生生物には「保護」と「捕獲」の2つの法律がある(これは、イノシシで既出
巣にヒナがいる時は、巣を撤去することができない。


カラスの被害

1.ゴミを散らかす

(これが嫌われる一番の理由かもしれないね。ゴミを大量に出してるヒトのせいだけど

2.ヒトを襲う
ヒナを育てている巣にヒトが近づくと、追いかけられたり、頭を蹴られたりする(親が子を守る本能は当然

3.鳴き声がうるさい
朝早くから活動するためうるさい(どの鳥も基本、早起きだよね
ねぐらに帰る鳴き声にも悩まされる。

4.フンで汚す
(ツバメのほうが家に巣を作って被害が多いけどな。ヒナは可愛い

5.エアコンの室外機、太陽電池パネルを壊す

室外機の断熱材をボロボロに。遊びのつもりかもしれない(にゃんこ・わんこがティッシュ出すのと似てるね

6.農作物の被害
蒔いたばかりの種をほじくったり、出たばかりの芽を引き抜く。実も狙う(カラスもお腹が空くもんね

7.ビニールハウスを破る

8.家畜の被害
ウシやブタの柔らかい目や肛門を襲って、出血死させることもある(猫の目も狙うよね?
家畜の飼料を横取りする。

9.トキの卵を奪った事件
1981年、野生絶滅してから、人工繁殖されているトキ。
2008年に放鳥したら、2010年、卵をカラスが奪った。
後で分かったことだが、カラスが奪う前にトキは卵を温めなくなっていた。
(まず、トキを絶滅させたのはヒト。一度、消えた種は、簡単には人工繁殖出来ないんだ

10.漁の魚を狙う
カモメとともに漁船の漁のおこぼれを食べる(にゃんこも食べるよね
荷さばき所で、カラスにつつかれた魚は、売り物にならない。

11.天日干しの魚を奪う

12.捕獲され漁港に運ばれたクジラの肉をついばむ。
国際的な取り決めによって、大型クジラの捕獲は禁止されているが、調査を目的とする捕鯨、小型クジラの沿岸捕鯨は行われている。

13.ウミガメの卵を食べる

14.水族館のペンギンのエサを横取りする事件があった。

(要は、カラスもその日を生きるのに必死だってことだ



私たちにできること~ヒトに慣れさせない=ヒトを怖がらなくなったから

1.公園などでエサを与えない

ハトにあげたエサを横取りすることがある。

2.ゴミをきちんと出す
夜中に生ゴミを出すと荒される原因になる。カラスよけネットをかけるなど。

3.食べられるものを捨てない
買っても使わなかった食材、賞味期限が切れただけでまだ食べられるものがゴミ袋にたくさん入っている。
私たちは、食べ物を残したり、余分な食品を買う生活習慣を見直す必要がある(これ大事!



カラスよけ対策

1.目玉風船をぶらさげる

いつも同じ所にあると、怖くないと学習してしまうので、場所を変える工夫が必要

2.かかしを立てる

斬新過ぎる! シモンさんかと思ったww

カラスが一番怖いのはヒト。かかしの目を鏡で細工して光らせる工夫なども必要。

3.テグスを張る

飛行中に羽にひっかかるものを避ける傾向がある。主に釣り糸が使われる。
カラスが嫌う黒や赤い布をたくさん吊るす方法を組み合わせると効果的。

4.防鳥ネットを張る

ネットを持ち上げることもあるため、おさえる必要がある。

キラキラ光るものを嫌う習性がある(え?光ものを集めてるんじゃなかったっけ?!
黄緑色で半透明のテグスネットは、日光で光って、近寄らなくなる。

5.くねくね怪獣を吊るす


ダクトなどに使われる針金入りの塩化ビニルパイプに目をつけたもの。ユラユラ縦方向に揺れてヘビみたいに見える。
目玉風船と組み合わせると効果的(この命名は誰が?w

6.クラッカーで脅す
カラスは瞬間的に鳴る音に敏感(ウチの田舎のほうは、時々バーンて音してるな。鳥類全般に対して。


その他の統計
 


関連図書
『かわりゆく環境 日本生き物レポート』(全4巻)宮崎学・写真・文



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