1974年初版 2002年 復刻版第3版 内田庶/翻訳 小坂しげる/イラスト
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
先日 アニメで見直した『未来少年コナン』の原作が気になって借りてみた
きっと結末が違っているんだろうと思ったら
物語の最初から異なる部分が多くてびっくりした/驚
逆にこの本をもとに、より分かりやすく設定を変えた宮さんの解釈が素晴らしい
と同時に、なぜコナンが他の人々よりも怪力に見えたのか、その秘密がよくわかった
自然の恵みでなく、科学に頼りすぎたために
プラスチック入りの食べ物を食べ
人間が元から持っている力がそぎ落とされた“新世界”の人々は
現代の先進国に住む私たちに重なるものがあり考えさせられる
同じ著者、「ジュニア・ベスト・ノベルズ」の他の作品もぜひ読みたいが、図書館になさそう・・・
【内容抜粋メモ】
■まえがき
科学者の警告を無視して、2つの大国が磁力兵器を使った戦争を起こしたために
地球の地軸が狂い、地震が起こり、大津波が襲い
文明は崩れ、ほとんどの人間が死んでしまった
12歳の少年が荒れ果てた島で1人で5年も生き抜いたのは奇跡
戦争を引き起こした張本人の一部が生き残り
化学都市の廃墟を中心に世界を支配しようとする
老科学者、その娘と孫娘はテレパシーを使って通信し
テレポーテーションで動物の体に乗り移るが
いわゆる超能力と違い、人間がもとからある力を伸ばしたもので
話の筋に溶け込んでいるため不自然ではない
登場人物
コナン 絶海の孤島に残された少年
<ハイハーバー>
ブライアック・ロー 老科学者 先生
メイザル 先生の娘 コミュニケーター
シャン ラナの叔父 メイザルの夫 村で1人の医師でリーダー
ラナ 先生の孫娘
ジムシイ 町から離れて住む少年
<新社会 インダストリア>
労働長官 赤いひげの大男
レプコ 市民
ドクター・マンスキー 医師
ダイス長官
パッチ 造船小屋にいる癇癪持ちの老人
テリット パッチの部下
●孤島の少年

コナンの友だちは海鳥たちだけ
地球の大部分は水に覆われ、自分はただ一人なのだろうか?
水、服、ナイフもなにもなく、どう生きればいいんだと絶望していた時に
ふしぎな声が聞こえた
「お前に与えられた知恵を使え
お前は生き延びて、いろいろ学ばなければならない」
その後、5年間、自分も島もずいぶん変わった
滅多に手に入らない流木やプラスチックなどをため
なんとか自活できるようになる
ラナのお気に入りのアジサシ、ティキィが来て
足に彼女の金髪が結ばれているのを見て
“先生”と呼ばれるラナのおじいさんが、ずっと前に選んでおいた安全な場所で
みんな一緒に暮らしていることが分かる
手元にある材料でボートを作り、燻製の魚、瓶に入れた水などを積み出航しようとした時
大型のパトロール船が見えた
真っ赤な三角旗は、かつて「平和同盟」と呼ばれていたものだ
地球の半分を征服し、残る半分を手に入れようとして
大陸をひと飲みした大津波などの大災害が起きた
両親、妹、祖父母、ラナの両親、学校の友だちが
みんなファシストの武器で殺された
船からよれよれの服を着た男3人、女医師1人ドクター・マンスキーがおりた
コナンの健康的な体を見て驚き、“新社会”の市民にしてやると言う
かれらの目的は老科学者ブライアック・ローを見つけること
島々を周り、役に立ちそうな人間は船に乗せて奴隷化している
コナンはティキィの足に自分の髪を結び、ラナのもとへ返し、船に乗せられる
●ハイハーバーの少女


大異変前にたくさんの子どもがハイハーバーに空輸された
黒い瞳、とても痩せた少女ラナもその1人
なにもない島でみんなで力を合わせてきたが
中には野蛮人と化した子どもたちもいる
ある日、インダストリアから船が来て、ダイス長官は貿易しろと強制してきて
生活が脅かされている
コミュニケーターのメイザルは、塔で毎日、“先生”と交信している

ダイス長官はシャンにブライアック・ローの居所を教えろと迫る
ダイス長官:
我々はお前たちよりずっと進歩している
完全な工場都市をつくり、何千人の市民が生産に携わっている
ここで使える動力機械は太陽エネルギーだけ
その作り方を知っているのはブライアック・ローだけ
2か月もすれば霧が出る その前にここを発つ
新しい海には海図もなく、コンパスが狂う所もある
ラナはティキィの足に結ばれたコナンの髪を見て
捕虜になった知らせを受ける
●奴隷のしるし


ドクター・マンスキー:
労働委員に会ったら、態度に気をつけないとすぐ失格だ
はじめは見習市民から
労働長官に対して、市民など断るとはむかうと
市民レプコらに額に真っ赤な奴隷のしるしの十字をつけられる
コナンは激怒して、レプコにもしるしを付けて
1つしかない貴重なマーク器を壊したため牢屋に入れられる
ドクター・マンスキー:
権利を持っているのは国だけ
私たちはハイハーバーを手に入れる
あそこの人たちのために
あんたは失格になって砂漠に放り出されるかもしれない
ここには警察もなく、みんなが互いを監視している
いろんな技術者は一級市民として上に立ち、奴隷を働かせている
沈んだ町の端に太陽エネルギーの残骸が波に洗われている
市民は十字をつけられたコナンと話すと報告されるため無視しているが
片目に眼帯をした老人が通る時、ウインクする
パッチ:今夜、また来る ティキィはラナのところにいる
彼こそ、みんなが探している先生だった

●斧
ダイス長官は“航空マシン”が欲しいと取引するがシャンは断わる
森の中に隠してあることはラナとメイザルだけが知っている
布も喉から手が出るほど欲しいが、ラナたちは苦労して手作りしている
ボロボロの服、赤毛のそばかすのジムシイは、週に2日、ラナのクラスに出ている
町に3本しかない貴重な斧をオーロが持っていると教える

キャンプに行くと、ヤギの皮を着たオーロが迫り
熱い灰を顔に投げてひるんだ隙に斧を取り返して逃げる
●パッチの助手

パッチも囚人のしるしがあるが、船の造り方を知る唯一の人間のため力を持っている
崖にある割れ目に船を隠して、2人でハイハーバーへ行く計画をたてる
思惑通り、コナンはパッチの助手となり
ひねくれ老人のフリをしているパッチの助手としてこき使われる

テリット:
ここじゃ点がすべてだ 三級市民になるには千点必要だ
偉い奴らが知りたがっている情報を教えてわたりをつけるんだ
オレたち全部おまわりなんだよ
ここには鉄はない ほんのちょっとアルミニウムがあるだけ
船のモーターができるまでには半年かかる
●ビールス
ハイハーバーでは貿易船が運んできたビールスが蔓延して
弱い子どもたちから倒れていく
ジムシイはオーロにひどく殴られ
オーロが町を支配してリーダーになるために集会が開かれるとラナに教える
ダイス長官はオーロたちに欲しいモノを与えて取り込む策略
夜、コナンとパッチは、長い航海に必要な食糧、布などを盗みに行く
先生は子どもの頃、薬品をイタズラしてほぼ目が見えない
メガネは大異変の時になくしたが、心の目で見ることができる
娘のメイザルの力を引き出す訓練もした
先生:
心に描くことを学べ わしと話す時は、実際にわしの姿を見なきゃいけない
みんな自分の心を使う方法を知らないだけ
いや、使わないようしつけられてきた
使わせないよう教えられてきたんだ
地面のひび割れを見て、しばらく調べる先生
先生:
大異変で地殻がかなり崩れた
まもなく残った半分も海に滑り落ちる
困っている時は互いに助け合うのは人間の義務だ
先生は長官の会議に出るから、コナンは船を岩の影で組み立てて待つよう指示する
海に出るとすぐ羅針盤の針が狂う所もあり、コナンは迷ってしまう
2人が脱出すると聞いたまま、その後の通信がなく
なにかトラブルが起きたと分かるメイザル
シャンはダイス長官に医薬品を渡すよう要求した断られたため
町の少女が1人が亡くなった

これ以上、犠牲者を出さないため、飛行マシン2機と交換する
抜き取られた変換器の場所はメイザルが教える
シャンはダイス長官らがこのためにわざとビールスをばらまいたと疑う
(なんだか今の状況と重なってないか?怖
先生はいつまで待っても来ないため、手紙を読むと
戻らない場合は、1人でハイハーバーへ行けとある
コナンは港に戻り、先生はボロボロに殴られて
牢屋に入れられているのを抱きかかえて岩の洞穴に連れて来る
●インダストリアからの脱出

2隻の船を1つにつなぎ、プラスチックの帆をあげる
脱走に気づいて探しているトロール船
コナンの憎しみに対して、自分は彼らを憎まないと言う先生
先生:
筋の通らない者が、通っている者に立ち向かう時
力ある者が正しい者に立ち向かう時
いつもそこには暴力があるのは当然だ
インダストリアにはヘリコプターも2機残っている
慌てて組み立てた船で出航し、濃い霧の中に隠れるがすぐに見つかる
このままハイハーバーには着けないため、島を探す
偵察船に追われて、嵐の中につっこむと
つなぎ目が外れて海に投げ出される

●元の島
またすべてを失くして絶望しているコナンの耳に
2回目の声が聞こえる
「すべてのものには理由と意味がある」
先生を見つけて、満潮になる前に、島の一番高い岩につなぎ留める
友だちの鳥が来て、自分がもといた島から見えた小島にいると分かる
2~3週間ぶりに帰ってきた
自分のいた島まで泳ぎきり、倉庫を見ると、まだ板や燻製などが残っていた
先生も連れて来て、浜に流れ着いた道具類を集めていると
ドクター・マンスキーが倒れているのを見つける
偵察船も嵐で沈没して1人だけ助かった

パッチがブライアック・ローだと言っても全く信じない
コナンの聞いた声も神も笑い飛ばす
先生:
わしは奴らを憎めない
奴らには機械も少ししか残っていない
わずかな人間から全体を判断してはいけない
インダストリアにも良い人間もいる
この世で一番厄介なのは権力だ
どんどん領土を広げないと権力を失ってしまう
会議でインダストリアの食糧生産機をすぐ移すよう忠告したが信じなかった
津波が来れば、この島などひと飲みだ
ハイハーバーが一番危ない 津波はちょうどあそこに突き当たる
先生にもコナンと同じ声がずっと聞こえている
先生:その気になれば聞き取れる心の耳がみんなにある
コナンが集めていた丸太を削ってカヌーを造り
3人でハイハーバーに出航する
●集会
先生のことを忘れた若者たちは、自分たちからリーダーを決めればいいと意見する
貿易船で起きていることを見るために、ラナはこれまで2回出来た力を使おうとする
1度目は2歳の時、小動物がかわいくて、一体化した
2度目は空飛ぶ鳥と一体化した
その後、力を怖れて使わなかったせいで
もう忘れてしまったことに気づいて泣くラナ

コナンらは濃い霧に包まれて、羅針盤もなく、すっかり迷う
ドクター・マンスキー:
私は生まれたくて生まれてきたんじゃない
頭が使えても、私たちはただ滅びていく肉体
大切なのは“新社会”だけ
先生:
いや、あんたこそ大切なんだ
あんたが生きてることに意味がある
みんなを助け、学ぶためにあんたは生きてるんだ
子どもがいなけりゃ“新社会”も滅びるだけ
どうしても必要なのは新しい動力源だが
“新社会”の長官らは別の目的のために手に入れたがっている
ラナはティキィを飛ばし、コナンを見つけて連れて来てと頼む
ティキィはコナンのもとに来るが、あまりに霧が濃くて道を教えられない
ラナは先生に言われて、なんとかティキィに乗り移り、ハイハーバーへと導く

3度目の声がして「コナン、おまえは、ここのリーダーになるんだ」と言われて
激しく拒むコナン
今度はドクター・マンスキーにも「コナンを助けるように」という声が聞こえる
コナンはラナと再会し、すぐに津波が来るから
みんな高い所に逃げるよう叫ぶが、オーロは信じない
オーロを殴り倒して脇に抱えて走ると、コナンを怖れて、みんなも逃げる
大津波が襲い、港は大洪水になるが、同じスピードで引いていく

力尽きたコナンに対して、周りからたくさんの助けの手が伸びてくる
■あとがき
アレグザンダー・ケイ
アメリカ メリーランド州生まれの児童文学者
海軍情報部に勤め、そこで使われるロボットや機械に興味を持ち
終戦後、挿絵画家に戻り、自分でもSFを書き始める
『小さなロボット・スプロケット』(邦題「わんぱくロボット」
『リベットとスプロケット』
『ロボット犬ボルト』
『わすれられた扉』は大学の英語教科書に載るほどの名作
『金の敵』
本書の原題は『大高潮』
人間の内面に潜むものを深くえぐっている
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
先日 アニメで見直した『未来少年コナン』の原作が気になって借りてみた
きっと結末が違っているんだろうと思ったら
物語の最初から異なる部分が多くてびっくりした/驚
逆にこの本をもとに、より分かりやすく設定を変えた宮さんの解釈が素晴らしい
と同時に、なぜコナンが他の人々よりも怪力に見えたのか、その秘密がよくわかった
自然の恵みでなく、科学に頼りすぎたために
プラスチック入りの食べ物を食べ
人間が元から持っている力がそぎ落とされた“新世界”の人々は
現代の先進国に住む私たちに重なるものがあり考えさせられる
同じ著者、「ジュニア・ベスト・ノベルズ」の他の作品もぜひ読みたいが、図書館になさそう・・・
【内容抜粋メモ】
■まえがき
科学者の警告を無視して、2つの大国が磁力兵器を使った戦争を起こしたために
地球の地軸が狂い、地震が起こり、大津波が襲い
文明は崩れ、ほとんどの人間が死んでしまった
12歳の少年が荒れ果てた島で1人で5年も生き抜いたのは奇跡
戦争を引き起こした張本人の一部が生き残り
化学都市の廃墟を中心に世界を支配しようとする
老科学者、その娘と孫娘はテレパシーを使って通信し
テレポーテーションで動物の体に乗り移るが
いわゆる超能力と違い、人間がもとからある力を伸ばしたもので
話の筋に溶け込んでいるため不自然ではない
登場人物
コナン 絶海の孤島に残された少年
<ハイハーバー>
ブライアック・ロー 老科学者 先生
メイザル 先生の娘 コミュニケーター
シャン ラナの叔父 メイザルの夫 村で1人の医師でリーダー
ラナ 先生の孫娘
ジムシイ 町から離れて住む少年
<新社会 インダストリア>
労働長官 赤いひげの大男
レプコ 市民
ドクター・マンスキー 医師
ダイス長官
パッチ 造船小屋にいる癇癪持ちの老人
テリット パッチの部下
●孤島の少年

コナンの友だちは海鳥たちだけ
地球の大部分は水に覆われ、自分はただ一人なのだろうか?
水、服、ナイフもなにもなく、どう生きればいいんだと絶望していた時に
ふしぎな声が聞こえた
「お前に与えられた知恵を使え
お前は生き延びて、いろいろ学ばなければならない」
その後、5年間、自分も島もずいぶん変わった
滅多に手に入らない流木やプラスチックなどをため
なんとか自活できるようになる
ラナのお気に入りのアジサシ、ティキィが来て
足に彼女の金髪が結ばれているのを見て
“先生”と呼ばれるラナのおじいさんが、ずっと前に選んでおいた安全な場所で
みんな一緒に暮らしていることが分かる
手元にある材料でボートを作り、燻製の魚、瓶に入れた水などを積み出航しようとした時
大型のパトロール船が見えた
真っ赤な三角旗は、かつて「平和同盟」と呼ばれていたものだ
地球の半分を征服し、残る半分を手に入れようとして
大陸をひと飲みした大津波などの大災害が起きた
両親、妹、祖父母、ラナの両親、学校の友だちが
みんなファシストの武器で殺された
船からよれよれの服を着た男3人、女医師1人ドクター・マンスキーがおりた
コナンの健康的な体を見て驚き、“新社会”の市民にしてやると言う
かれらの目的は老科学者ブライアック・ローを見つけること
島々を周り、役に立ちそうな人間は船に乗せて奴隷化している
コナンはティキィの足に自分の髪を結び、ラナのもとへ返し、船に乗せられる
●ハイハーバーの少女


大異変前にたくさんの子どもがハイハーバーに空輸された
黒い瞳、とても痩せた少女ラナもその1人
なにもない島でみんなで力を合わせてきたが
中には野蛮人と化した子どもたちもいる
ある日、インダストリアから船が来て、ダイス長官は貿易しろと強制してきて
生活が脅かされている
コミュニケーターのメイザルは、塔で毎日、“先生”と交信している

ダイス長官はシャンにブライアック・ローの居所を教えろと迫る
ダイス長官:
我々はお前たちよりずっと進歩している
完全な工場都市をつくり、何千人の市民が生産に携わっている
ここで使える動力機械は太陽エネルギーだけ
その作り方を知っているのはブライアック・ローだけ
2か月もすれば霧が出る その前にここを発つ
新しい海には海図もなく、コンパスが狂う所もある
ラナはティキィの足に結ばれたコナンの髪を見て
捕虜になった知らせを受ける
●奴隷のしるし


ドクター・マンスキー:
労働委員に会ったら、態度に気をつけないとすぐ失格だ
はじめは見習市民から
労働長官に対して、市民など断るとはむかうと
市民レプコらに額に真っ赤な奴隷のしるしの十字をつけられる
コナンは激怒して、レプコにもしるしを付けて
1つしかない貴重なマーク器を壊したため牢屋に入れられる
ドクター・マンスキー:
権利を持っているのは国だけ
私たちはハイハーバーを手に入れる
あそこの人たちのために
あんたは失格になって砂漠に放り出されるかもしれない
ここには警察もなく、みんなが互いを監視している
いろんな技術者は一級市民として上に立ち、奴隷を働かせている
沈んだ町の端に太陽エネルギーの残骸が波に洗われている
市民は十字をつけられたコナンと話すと報告されるため無視しているが
片目に眼帯をした老人が通る時、ウインクする
パッチ:今夜、また来る ティキィはラナのところにいる
彼こそ、みんなが探している先生だった

●斧
ダイス長官は“航空マシン”が欲しいと取引するがシャンは断わる
森の中に隠してあることはラナとメイザルだけが知っている
布も喉から手が出るほど欲しいが、ラナたちは苦労して手作りしている
ボロボロの服、赤毛のそばかすのジムシイは、週に2日、ラナのクラスに出ている
町に3本しかない貴重な斧をオーロが持っていると教える

キャンプに行くと、ヤギの皮を着たオーロが迫り
熱い灰を顔に投げてひるんだ隙に斧を取り返して逃げる
●パッチの助手

パッチも囚人のしるしがあるが、船の造り方を知る唯一の人間のため力を持っている
崖にある割れ目に船を隠して、2人でハイハーバーへ行く計画をたてる
思惑通り、コナンはパッチの助手となり
ひねくれ老人のフリをしているパッチの助手としてこき使われる

テリット:
ここじゃ点がすべてだ 三級市民になるには千点必要だ
偉い奴らが知りたがっている情報を教えてわたりをつけるんだ
オレたち全部おまわりなんだよ
ここには鉄はない ほんのちょっとアルミニウムがあるだけ
船のモーターができるまでには半年かかる
●ビールス
ハイハーバーでは貿易船が運んできたビールスが蔓延して
弱い子どもたちから倒れていく
ジムシイはオーロにひどく殴られ
オーロが町を支配してリーダーになるために集会が開かれるとラナに教える
ダイス長官はオーロたちに欲しいモノを与えて取り込む策略
夜、コナンとパッチは、長い航海に必要な食糧、布などを盗みに行く
先生は子どもの頃、薬品をイタズラしてほぼ目が見えない
メガネは大異変の時になくしたが、心の目で見ることができる
娘のメイザルの力を引き出す訓練もした
先生:
心に描くことを学べ わしと話す時は、実際にわしの姿を見なきゃいけない
みんな自分の心を使う方法を知らないだけ
いや、使わないようしつけられてきた
使わせないよう教えられてきたんだ
地面のひび割れを見て、しばらく調べる先生
先生:
大異変で地殻がかなり崩れた
まもなく残った半分も海に滑り落ちる
困っている時は互いに助け合うのは人間の義務だ
先生は長官の会議に出るから、コナンは船を岩の影で組み立てて待つよう指示する
海に出るとすぐ羅針盤の針が狂う所もあり、コナンは迷ってしまう
2人が脱出すると聞いたまま、その後の通信がなく
なにかトラブルが起きたと分かるメイザル
シャンはダイス長官に医薬品を渡すよう要求した断られたため
町の少女が1人が亡くなった

これ以上、犠牲者を出さないため、飛行マシン2機と交換する
抜き取られた変換器の場所はメイザルが教える
シャンはダイス長官らがこのためにわざとビールスをばらまいたと疑う
(なんだか今の状況と重なってないか?怖
先生はいつまで待っても来ないため、手紙を読むと
戻らない場合は、1人でハイハーバーへ行けとある
コナンは港に戻り、先生はボロボロに殴られて
牢屋に入れられているのを抱きかかえて岩の洞穴に連れて来る
●インダストリアからの脱出

2隻の船を1つにつなぎ、プラスチックの帆をあげる
脱走に気づいて探しているトロール船
コナンの憎しみに対して、自分は彼らを憎まないと言う先生
先生:
筋の通らない者が、通っている者に立ち向かう時
力ある者が正しい者に立ち向かう時
いつもそこには暴力があるのは当然だ
インダストリアにはヘリコプターも2機残っている
慌てて組み立てた船で出航し、濃い霧の中に隠れるがすぐに見つかる
このままハイハーバーには着けないため、島を探す
偵察船に追われて、嵐の中につっこむと
つなぎ目が外れて海に投げ出される

●元の島
またすべてを失くして絶望しているコナンの耳に
2回目の声が聞こえる
「すべてのものには理由と意味がある」
先生を見つけて、満潮になる前に、島の一番高い岩につなぎ留める
友だちの鳥が来て、自分がもといた島から見えた小島にいると分かる
2~3週間ぶりに帰ってきた
自分のいた島まで泳ぎきり、倉庫を見ると、まだ板や燻製などが残っていた
先生も連れて来て、浜に流れ着いた道具類を集めていると
ドクター・マンスキーが倒れているのを見つける
偵察船も嵐で沈没して1人だけ助かった

パッチがブライアック・ローだと言っても全く信じない
コナンの聞いた声も神も笑い飛ばす
先生:
わしは奴らを憎めない
奴らには機械も少ししか残っていない
わずかな人間から全体を判断してはいけない
インダストリアにも良い人間もいる
この世で一番厄介なのは権力だ
どんどん領土を広げないと権力を失ってしまう
会議でインダストリアの食糧生産機をすぐ移すよう忠告したが信じなかった
津波が来れば、この島などひと飲みだ
ハイハーバーが一番危ない 津波はちょうどあそこに突き当たる
先生にもコナンと同じ声がずっと聞こえている
先生:その気になれば聞き取れる心の耳がみんなにある
コナンが集めていた丸太を削ってカヌーを造り
3人でハイハーバーに出航する
●集会
先生のことを忘れた若者たちは、自分たちからリーダーを決めればいいと意見する
貿易船で起きていることを見るために、ラナはこれまで2回出来た力を使おうとする
1度目は2歳の時、小動物がかわいくて、一体化した
2度目は空飛ぶ鳥と一体化した
その後、力を怖れて使わなかったせいで
もう忘れてしまったことに気づいて泣くラナ

コナンらは濃い霧に包まれて、羅針盤もなく、すっかり迷う
ドクター・マンスキー:
私は生まれたくて生まれてきたんじゃない
頭が使えても、私たちはただ滅びていく肉体
大切なのは“新社会”だけ
先生:
いや、あんたこそ大切なんだ
あんたが生きてることに意味がある
みんなを助け、学ぶためにあんたは生きてるんだ
子どもがいなけりゃ“新社会”も滅びるだけ
どうしても必要なのは新しい動力源だが
“新社会”の長官らは別の目的のために手に入れたがっている
ラナはティキィを飛ばし、コナンを見つけて連れて来てと頼む
ティキィはコナンのもとに来るが、あまりに霧が濃くて道を教えられない
ラナは先生に言われて、なんとかティキィに乗り移り、ハイハーバーへと導く

3度目の声がして「コナン、おまえは、ここのリーダーになるんだ」と言われて
激しく拒むコナン
今度はドクター・マンスキーにも「コナンを助けるように」という声が聞こえる
コナンはラナと再会し、すぐに津波が来るから
みんな高い所に逃げるよう叫ぶが、オーロは信じない
オーロを殴り倒して脇に抱えて走ると、コナンを怖れて、みんなも逃げる
大津波が襲い、港は大洪水になるが、同じスピードで引いていく

力尽きたコナンに対して、周りからたくさんの助けの手が伸びてくる
■あとがき
アレグザンダー・ケイ
アメリカ メリーランド州生まれの児童文学者
海軍情報部に勤め、そこで使われるロボットや機械に興味を持ち
終戦後、挿絵画家に戻り、自分でもSFを書き始める
『小さなロボット・スプロケット』(邦題「わんぱくロボット」
『リベットとスプロケット』
『ロボット犬ボルト』
『わすれられた扉』は大学の英語教科書に載るほどの名作
『金の敵』
本書の原題は『大高潮』
人間の内面に潜むものを深くえぐっている