「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

聖夜を独占!(製薬会社の再編1)

2004年12月25日 | 製薬業界トレンド
本日、大学時代の先輩のうちでクリスマスand忘年会。
でもケーキもお酒もそっちのけでした。
何をやっていたかというと・・・
「モノポリー」です。

モノポリーを知らない人のためにどんなゲームか
解説いたしますと・・・
1.お金に物を言わせて、土地を買い叩く
2.相手の弱みに付け込んで交渉する
3.土地が集まるともっと強くなる
簡単にいうと金持ちがどんどん金持ちに
なっていくという、このご時世に適した、
とっても心温まるゲームです。
聖夜向きですね(笑)

そこでふと思ったのが
「モノポリー=独占」
合併とかM&Aとか
まさに製薬業界でよく聞く響きですね。
(製薬会社の再編2)へ、続く…


聖夜を独占!(製薬会社の再編2)

2004年12月25日 | 製薬業界トレンド
リアル・モノポリー化している製薬業界ですが
つい最近の内資だけでも

・住友製薬+大日本製薬→大日本製薬*(でいいんでしたっけ?)
・グラレン製薬+帝国臓器→?(新会社名知りません)
・山之内製薬+藤沢薬品→アステラス製薬*
・大正製薬+富山化学→大正富山化学(出資会社名)

さかのぼれば
ロシュの中外買収なんかもありますね。
製薬業界は独占とまでは、いかないものの
寡占状態がトレンドです。
世界的に見れば

・サノフィ + アベンティス → ?(新会社名知りません)とか
・ファイザー + ファルマシア → ファイザー*とか
・(グラクソ+ウルカム)+(スミスクライン+ビーチャム)
→ グラクソ・スミスクライン*(もう何がなんだか・・・)など、

他業種に例えればトヨタと日産とホンダが合併したくらいの
インパクトがあることが繰り返されてますね。

お金があればパイプライン*が確保もできるし
研究にお金がかけられるということは事実ですが
かといって、海外のメガファーマ*くらい大きくなってしまうと
常にブロックバスターを狙わねばならず・・・
難しい兼ね合いですよね。
あとはお金があるところが果たしてそのお金を効率的に
使えてるかというと・・・
また難しいところです。

内資系の製薬企業では会社としての勝ち負けがはっきり
してるといわれてますが。勝ち組み企業にいる研究者が
幸せかどうかも別問題であって、
会社ではなく個人における勝ち組み負け組みというような
わけ方のアホらしさを感じます。
研究者個人で(会社員として)できることは
何が自分の大切なことなのかを
きっちりと抑えておくことでしょうね。

会社を合併をさせたり、やっぱり止めたり出来る権限は
ペーペーのワタシにはございません(笑)

ちなみに聖夜のモノポリーは朝の5時まで続きました
朝日が目にしみる・・・
本日はココまで。

本日の補足(製薬会社の再編3)

2004年12月25日 | 製薬業界トレンド
アステラス製薬*
ご存知、国内でグローバルメガになり得る数少ない会社。
「打倒・武田!そして世界へ」が合言葉
(すみませんSIUが今勝手に作りました)
合併会社名の由来は「明日を照らす」ような会社を目指してと
新聞で社長さん(竹中さん)が言っていた気がします。
社内では「天照(アマテラス)みたいでヘンだ」とか
「藤沢+山之内でフジヤマ製薬でいいじゃないか」とか
言われてるとか、いないとか・・・
海外では「アストラ(ゼネカ)とまぎらわしい」と言われたらしい。
個人的には一般薬を販売する会社「ゼファーマ」の響きが
どうしてもヤンキーくさい気がする。
アステラス製薬の合併後、本社は日本橋(東京)
山之内・藤沢はお向かいさんなので仕事はやりやすそう。
道修町(大阪)では関西系製薬企業が少なくなってしまって
寂しげです。
研究所はいくつか統廃合されるようです。
(2004.12.25)

大日本製薬*
「マルピー」で知られる、医家向けメーカー
ワタシは「ネンブタール」にお世話になっております。
新聞等には良く中堅製薬メーカーと評されてますが
どこからどこまでが中堅なんでしょうかね?
多くのメーカーが分社化を進める中
動物薬などの部門を残すという独特の戦略をしていたため
注目していたのですが、合併を機に切り離す方向のようです。
(2004.12.25)

ファイザー*
言わずと知れた超巨大メーカー
SSRIやCOX-2 inhibiterでネガティブな話はあっても
やっぱり巨人です。
SIUの個人的感想は「合併大好き、イケイケどんどん」
って会社です。
一般的にはバイアグラ(シルディナフィル)で
知られるが、日本では保険適用できないので
あまり儲かってない様子。
他の製品で儲けているから良いのでしょう。
もうすぐ日本でもエプレレノンがでますしね。
日本本社は新宿駅から徒歩10分弱
文化服装学院(パラキスのヤザ学のモデル)の
となりにある。
日本の研究所は何故だか名古屋。
(2004.12.25)

グラクソ・スミスクライン*
GSKとかグラクソと略されたりする。
一般的な知名度は低いが
実は世界で3本の指に入る巨大メーカー。
医家向け薬しか、取り扱ってないかと思いきや
「コンタック」や「アクアフレッシュ」なんかも
売っているのは意外。
余談だが友人のS氏は就職活動で
「クソクソ・グラクソでおなじみの御社ですが」
と言ってみたい衝動にかられたという。
日本本社の最寄り駅は代々木
代々木ゼミナールと
代々木アニメーション学院と
明治公園の3点を結んだあたりにある
(少しウソです)
山手線で新宿方面から渋谷方面に向かうとき
代々木駅を出た後、進行方向左手に見えます。
(これはホント)
会社に入るとドドーンと広いフロア-があり
なんかさすが外資という感じ。
受付にある身長30cmくらいのコンタック君人形が
ワタシ欲しいです。
日本の研究所は筑波にあり
きれいなカフェテリアとテニスコート完備。
受付にはやっぱり、コンタック人形(笑)
武田筑波研究所のご近所さん。
武田の人がGSKに転職したら
通う場所はほとんど変わらないなあ。
まあ筑波の研究所はどこも同じようなものですが。
(2004.12.25)

パイプライン*(開発品)
臨床試験を進めている薬をさす。
臨床段階には3段階ありPhase1,2,3と呼ばれ
Phase3を終えたものから承認申請を出せるため
たいへん乱暴に言うならば
Phaseにたくさん化合物を乗せている会社ほど
将来性があるといえます。
自社で臨床段階にのせている化合物が少なければ
ライセンス料を払って他社から導入したりする。
このため、キャッシュフローが潤沢な会社は
パイプラインの拡充をはかりやすいが
自社製品で無いと利幅も少ない。
国内の多くの会社はお金も無ければ、パイプラインも無く
ジリ貧です。
(2004.12.25)

メガファーマ*
ようはものすごく大きい製薬会社のこと。
世界で売上10位に入ることを条件にすると
日本の会社は一つも入らない。
大きい動物は摂取カロリーが
多いことからも分かるように
常にパイプラインの拡充が厳しく
大きいのもたいへんだなと思う、今日この頃。
(2004.12.25)

涙の自衛消防団

2004年12月24日 | 製薬会社な日常
SIUの勤めるオクスリ・ツクル製薬には自衛消防隊というのがあります。
わたしは薬理研の中で一番若いXY染色体として
自衛消防団員に任命されているわけです。何をするのかというと
火災発生時に消防団が来る前に初期消火を行うってのが目的なんですが・・・
「2号館が火事だー、自衛消防隊はまだかー!!!」って思われても
わたし素人ですし・・・
「め組みの大吾」*ばりの活躍を期待されてもソレは無理なわけです。
自衛消防団だろうが、そうじゃなかろうが消火活動は行うから
まあ意味の無い集団なんです。

ちなみに今年の消防訓練は12/24でした
カップルに厳しい日程ですね。
というか、カップルの激しい炎を消すための
会社の嫌がらせなのでしょうか?

それならそれで、意味がありますね(笑)
初めて自衛消防団の存在意義がわかりました。
わたしは職務に忠実なのでカップルの熱い炎を
消して回りたいと思います、自衛消防隊員として。
火事はどこだ!オレの涙で消してやる(涙)

補足*
「め組みの大吾」*
少年サンデーに連載された
熱血消防士マンガ。
「昴」にせよ「カペタ(?)」(タイトル忘れました)
にせよ、この人にぎりぎりの
天才を書かせると一品ですね。

SIUって何者?

2004年12月23日 | About Me (SIUって何者?)
このブログの管理人です
"しう" とお読みください

どんな人?
オクスリ・ツクル製薬に勤務する新米研究員
自部門において若めの個体
専門
いちお薬理、循環・代謝部門。学生時代は分子生物学が専門
年齢
Ratでいうと9-10週齢あたり
好み
創薬ターゲットとしてはGPCRが好き
プロフィールの絵
オクスリ・ツクル製薬のイメージキャラクターの
「オンタ君」
彼は青い身体なので「オンタ・ブルー」
七色の仲間たちがいる・・・予定(笑)
おたより
siu3siu3@mail.goo.ne.jp
応援メッセージ大好き(笑)


このブログを楽しむための推奨年齢、および推奨スペック
大学の学部3年~社会人数年目くらい
(マスター,ドクター,ポスドク含みます)
ライフサイエンスの知識があるとより楽しめます

ブログを始めた理由
製薬・薬品会社の就職活動で苦労している後輩を見て、
自分の時も分からないことだらけで苦労したなと思い出す。
自分の時の時の経験を後輩に伝えながら、せっかくならば
製薬会社に入ろうとしている人のお手伝いがしたいな
と思ったのがブログを始めたきっかけ。
2005年にはそのためのHPを立ち上げる予定。

製薬会社の研究員が日々どんな生活を送り、
何を考えているのかが分って
学生さんはちょっとためになるような
ブログが作れたら良いなと思っております。

と、思っていたが早くも自分の知識のなさに
がっかりしているところ。
みなさん、ご指導よろしくお願いします。

注意事項
当blogの無断転載を禁じます。
当blog上にのっているすべては、SIUの独断と偏見によって記載されています。
事実と相違していることもありえますし、加えてSIUの所属会社
所属団体の意見などとは一切の関係はありません。
というかすべてSIUの妄想です(笑)
そのことを十分に理解してくださる方に、楽しんでいただけたらと思います。

ノー実験デー

2004年12月22日 | 製薬会社な実験生活
いま血中ペプチドの測定をやっているのですが
KITを使うとOver Nihgtで反応させなければならないのです。
したがって、今日夕方仕掛けて明日測定しようと思っていたら・・・
明日休みでした、アホだオレ。
結局仕掛けませんでした、週明けですな。

というわけで、今日はデスクワークばっかり(^^)
いろいろ調べているうちに自分の中で抗肥満が盛り上がって
抗肥満薬のアイディアを考えてみました
自分の担当領域でもないのに(笑)
ものすごい、つぎはぎだらけの仮説を立てて・・・

だって高血圧はARB*、高脂血症はStatin*
糖尿病はPPAR agonist*があるのに
肥満だけはSibutramineとかOrlistatくらいですよね
使いにくいらしいですし(お医者さんではないので
どのくらい使いづらいかはよくわかりませんが・・・)
今出たら、すごいことになるだろうなぁ。
いろいろPheseに乗ってるようですが、どれが生き残るのでしょうか?
全滅ってこともあるな。

まあ肥満は生活習慣病っていうことで
大きくいえば自分の担当領域です。
あ、ちなみにいま測っているのは
いわゆる肥満関連ペプチドではないです。

アイディアが本当だったら
たぶんまだどこも手をつけてないんだけど
あまりに証拠が無さ過ぎるなぁ。
どんな実験で実証すればいいのかもノーアイディア
週明けにPubmedで関係するPaperを調べます。
まあ、たぶんはずれなのでそんなあせらなくともね。
ゆっくりやりますよ。
明日は休みだ!!!

補足*
ARB*
バンドの名前でもなければ
荒川ラップブラザーズでもない
(↑伊集院光と久保コージが昔、組んでいたユニット)
AngiotensinII Receptor Blockerの略
降圧剤
血圧の調節に重要な働きを示す、
Renin-Angiotensin系の受容体である
AT1受容体をブロックすることにより
降圧作用を示す。
パーシャルアゴニストだのインバースアゴニストだの
ただのアゴニストじゃないぜ、ってのが最近の流行のようで・・・
具体的な化合物名はカンデサルタンやらロサルタン
バルサルタンにイルベサルタン、オルメサルタンなどなど・・・
みんな「サルタン」が付くのに
HMG-CoA還元酵素阻害剤の「スタチン」
ように、薬の総称として「サルタン」とは言わない。
マヌケだからか?

Statin*
抗高脂血症
HMG-CoA還元酵素阻害剤の総称
コレステロール生成の律速酵素である
HMG-CoA還元酵素阻害剤を阻害することにより
薬効を示す(そのまんまだな・・・)
具体的には
Simvastatin (リポバス)
Pravastatin (メバロチン)
Fluvastatin (ローコール)
などがあり、みんな化合物名の語尾に
「Statin(スタチン)」が付く

PPAR agonist*
糖尿病治療薬
Nuclear receptorである
PPARの作動薬
(PPAR=peroxisome proliferator
-activated receptor)
薬効とうはあとで書きます


会議荒らし

2004年12月22日 | 製薬会社な日常
今日は時間があったんで他部門の会議に出てみました。
興味がある分子がテーマだったし。
そうしたら発表者が答えられ無いこととか、しゃしゃり出て
答えてしまいました、私。
他部門のくせに・・・、まだ新米のくせに・・・
会議に出てくれって言われたわけでもないのに・・・
あー、こんな新人が自分の下にいたら嫌だろうなぁ、ちょっと鬱。

ちょっとまじめに
昨日はNSAIDについて書きましたが
今日はCOX-2 inhibiterについて・・・
MerckのVioxxだけじゃなく、PfizerのCelebrexも
心血管系リスクが増えるみたいですね。
大型新薬が潰れるとメガファーマの株価がガクッと下がりますね。
金額的には、うちの会社が買える位は1日で暴落するそうです(笑)

祝Blog開設!!!

2004年12月21日 | 製薬会社な日常
SIUさん念願のBlogおめでとうございます。
SIUさんだったら面白い記事ばかりですぐにランキング上位になりますね!



って誰も書いてくれないから自分で書いてみました。
痛い・・・
この痛みはNSAID*では止められません。
もっときつい物を(涙)

*補足
NSAIDとは・・・
【略】=nonsteroidal antiinflammatory drug
非ステロイド系抗炎・鎮痛薬
ようは痛み止めです。
作用メカニズムはCOXという酵素の阻害です。
すきっ腹で飲むと胃が痛くなります、まあならないって
いうのもありますが(タイレノールとか)

お医者さんは鎮痛剤と一緒に胃薬出すのはやめていただきたい
いつも出されても飲まずにあまるから。
ひと言「空腹時には」飲まないようにと言えば良いのに。
それとも必要以上に薬を飲まない、わたしが悪いのか?
愛社精神が合ったら「オクスリ製薬製の薬を嫌になるほど出してくれっ」
と叫ぶほうが良いのか?どちらにせよ弊社には胃薬はないし
もらう気も無いですが。画期的な新薬を出して
患者さんの笑顔を見れる会社が理想ですね。
まー、いらない薬はもらわないことですね。

気をつけてくださいね

2004年12月20日 | 諸注意(このブログをたのしむために)
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という大人の事情を理解できる方用のblogです


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