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「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

手が炎上

2006年08月01日 | 製薬会社な実験生活
今日、細胞のMC(培地交換)をする時に
手を炎上させました(苦笑)

クリーンベンチに手を入れるとき70%エタノールで
手を殺菌するんですが、それが乾ききらないうちに
ガスバーナーを扱って、手に燃え移りました
初心者か?ワタシは…(笑)

別に火傷も無く良かったです。
気を抜いて実験しちゃダメってことですな。

実験の術力?

2006年05月25日 | 製薬会社な実験生活
今日は(と言うか毎週同じ曜日ですが)スクリーニングのため

大量な実験でした。

詳しい実験内容はいろいろヒミツなので(笑)
書けないんですけど、ひたすら同じ作業をこなすんです。
(ちなみにin vivoの実験です)
一回当たりどれくらい時間をかけるかで、一回の実験で
こなせる数が決まってくるんですが
秒単位で削っていく作業を行ってくと結構気持ちいいのです(笑)
その結果、具体的には前半の作業を10秒、後半の作業を15秒
合わせて25秒でこなすようになりました。
数ヶ月前には1分以上かかってたのだから、生産量は2倍!

それで思い出したのがこんな話
「金属の平坦具合を認識するのに、機械で調べるより
蒲田あたりの工場のおじさんの指先の方が正確である」こんなこと。
人間てすごいなぁ、と思うと同時にお薬職人になっていきたいなと
今日思いました。

細胞ちゃん

2006年05月19日 | 製薬会社な実験生活
ギリギリ、映画のレイトショーに間に合うように
少し早めに帰えろうと思ってたんですが
細胞のメディウム(培地)変えてる時に、上映時間がすぎていた事に
気づきました…(涙)

なんか昔(大学院の時)、友人に
「休みがなかなか取り難いんだよねー
この分野(分子生物学)は動物飼ってたり、細胞飼ってたり
するから、面倒見なけりゃいけないのさ」
と言ったら
「動物飼ってるのはわかるけど
細胞飼ってるって生まれて初めて聞いた」って笑われました。

そんなこと無いって、Hepとか3T3L1とか飼ってる人はいっぱいいるって
いないか…(笑)
(ちなみにSIUは細胞の人では無いから、細胞については詳しくはありません)

でも、そのことを言った彼女は大学時代諸事情でハト飼ってました*
似たようなもんじゃん。

培地交換中、昔のことを思い出ししみじみしました。
そんな彼女も今年の10月に結婚、お幸せにね。


<補足>
ハト飼ってました
SIUの知っている人で飼いハトに
「サブレ」っていう名前をつけている人がいて
とってもナイスセンスって感じです

月に百万円以上使って実験しているのね

2006年02月03日 | 製薬会社な実験生活
今日、in vivoの実験やってて気づいたこと。

SIUが毎週ルーチンでやってる実験が
一回あたり15万円以上使ってる…


今週・来週はそのアッセイ週二回入れるから3・4週目は
週一回だから計6回とということは、月で90万か…
すごい使ってますね。
ワタシの月収の何倍なんだ…

たしかに会社は研究職にお金を使ってますけど、個人の懐には入ってきませんよー
MRさんのがものすごく給料がいいらしいですよー、新人さんは覚えといてね(笑)

何で実験にはお金を使えるのに、人には使ってくれないんかね。
いやワタシの給料を上げなくてもいいんですよ
(上げてくれたら嬉しいけど…)
今すごく忙しくて、新規化合物評価のため実験をマックスで回しても
回しきれてない、ましてや学会発表の準備なんて後回し(涙)
ホントに発表できるのかSIU(笑)、それはさておき。

ウチの部門は派遣さんとか雇ってくんないんですよね。
ルーチンアッセイなら覚えてもらったらできるのに。

今、3人一組でやるアッセイを全員研究員でやるんですよ。
たしかに指示とかデータ解析とか大事な部分は自分たちで
やらないと、信頼性を保証できないけどルーチンアッセイなら
一人そこにいれば問題無いのになぁ。
大学生とか大学院生とかでもOKじゃないかな、それで優秀だったら
青田買いすると(笑)
あと技術があるんだけど、お子さんができてしまって
泣く泣く退職してしまったお母さんとか
「子供が大きくなったから、少し働きたいんだけど」って
人はたくさんいるはずだ、特に筑波周辺は(笑)


評価できる化合物数が増えるならやるべきだって。
日給1万くらい出しても、全然会社にとって損は無いはず
研究員がプロジェクトに3人張り付いてるなら、一人に
テクニシャン(技術職の人)を1-2人貼り付ければ
アッセイスピードが倍以上ですよ。

と思ったけど、会社はしてくれないからここに書いてみる。
ああ今日は疲れた、明日も会社だ。


ストックはお早めに

2005年12月28日 | 製薬会社な実験生活
今日は本年、最後の実験だったんですが
血中パラメーター測定用の試薬がほぼゼロに近かったよ(涙)
年明けまで届かないらしい…
皆さん、ストック購入はお早めに。

あ、ちなみにコントロール用のスタンダード*は
ワタシが作り続けてるんですが…
こんなチキンレースはいやだなぁ。

<補足>
スタンダード
実験において、もともと濃度がわかっているものを
物差しにして、未知サンプルの濃度を測ることが多々ある
その時に基準にするものの総称として、ここでは「スタンダード」と
いう風に呼んでいます。電気泳動でいうところの「マーカー」ですね。

*「2005年振り返りバトン」というものを
かずみさんから回していただいたんですが
まだ回答できず…
年末にやります。。。

RIの掃除

2005年12月12日 | 製薬会社な実験生活
本日、年末のRI*掃除でした。
今年の汚れは今年のうちにということでね。
まあ学会明けでボケた頭にはちょうどよしです。

ポリろ紙*の貼りなおし等をしたんですけど
たまに机に貼るろ紙の裏表を間違える人がいるので
気をつけてね、テカテカしてる方が裏ですよ。
そうでないと試薬をこぼした時にトラップせずに
弾いてしましますからね。

<補足>
RI
Radio Isotopeの略
放射性同位体[ほうしゃせい どういたい]の意
そこから転じて、それを扱う施設。

RIとは、まあ平たく言うと放射能を持つ物質のことで
現在の医学・生物学には無くてはならない道具。

SIUは学部生の時、「RIを使う実験」っていうのはDNAにダメージを
与えて突然変異を作り出す実験かと思っていたが、そういうことには
基本的に用いない(その場合にはENUを使ったりする)

どんなことをするか具体的には、RIにて標識したリガンドを用いて
薬の結合阻害能力を見たりする。(すいません噛み砕けてなくて…)
放射性物質は14C(カーボンフォーティーン)とか3H(トリチウム)
32P(なぜかこれだけは「三十二ピー」とSIUは言う)等を用いる。

放射性物質のため被爆の可能性はもちろんあり
結構危険なのだが、何度も実験をやっているうちに
危険性に対する感覚が麻痺する…(涙)
自分の体より、実験の成功が大事な人が結構いるのがこの世界。
non-RIのKITやらプロトコルはたくさんあるが
感度の高さでは未だRIの方がやはり優れている。
まあ、あと何年も立たないうちに
「ワタシが若いときは危険も顧みずRIを普通に使ってたよ」
「えー、信じられない。DNAにニックが入りますよ」
という会話が見られることになると思われ。

ポリろ紙*
ポリエチレンで加工されている
特殊なろ紙。放射性物質を机にこぼしたとしても
このろ紙さえ引いてあれば、まずろ紙の部分が
吸収してくれるし、裏のポリエチレンでストップするから
染み出さない。この場合、ろ紙だけ処分すればいいが、
引いてない場合には机の汚染を除染せねばならない。
除染はホントに大変ですよ(涙)
おとなしくろ紙を引きましょう。

あとRIの入ったtubeを加熱する時は
キャップを止めるアタッチメントをつけないと
フタが開いて中のRIが飛び散ることもあるので
ホント気をつけましょう。
え、何でそんな詳しいかって?
…学生のときにそれで大目玉食らったから
じゃないさ、ほっといてくれよ(涙)

手作り器具

2005年11月15日 | 製薬会社な実験生活
アスピレーション*(吸引)用のバキュームポンプと
サンプルの間にあるビーカーが、全然液体をトラップして
くれなかったので間にトラップ用の試験管をセットする必要がありました。
そうでないとポンプの内部に水が入ってしまいますので。

買うと時間がかかるのと、わざわざお金をかけるほどでもないので
空いてる試薬瓶とゴムのフタで作ろうとしたんですが
ちょうど良い穴が開いてるフタが無かったんで
ゴム栓に自分で穴を開けて作りました。
ちょうど穴あけ用の道具が会社にあったんで…
会社って何でもありますね*(笑)

補足
<アスピレーション>
「吸引」の意味で使っています。
細胞の培地を返る時なんかに使ったり
しますね。その道具を「アスピレーター」と
呼んだりする。
他の使い方、例えば病名を見てみると
「誤燕性肺炎」*なんかは英語でいうと
「Aspiration Pneumonia」ですね。
「燕性」=「飲み込む」ってところが
「Aspiration」なわけです。
ちなみに「Pneumonia」は肺炎。

<会社って何でもある>
変なものが潤沢にある割には
必要なものが全然無かったりもするのが
研究所。とりあえずドライバーは一式用意しませんか?
買っても数千円だから、あなたが使ってる抗体つきの
96穴プレート一枚分だってば(涙)
ちなみに大掃除に制限酵素*の整理をしたら
BamHIが11本出てきたことがある(涙)
欲しいからといって確かめないで買うのも困りものです。

<誤燕性肺炎>
「ごえんせいはいえん」と読む。
ちなみに英語名は「Aspiration Pneumonia」
老人になって諸原因によって(飲み込む力が弱くなるなど)
本来、食道へ行くはずの食べ物が、気管に入ってしまい
そのまま肺まで到達し、その後腐敗。肺炎を引き起こした
状況を指す。…しまった、解説が真面目すぎる。

<制限酵素>
ある特定の配列を切ることのできる、酵素。
簡単に言うとDNAをいじりたい時に切るタメの道具
(物凄く誤解を招く表現だが、まあよかろう)
有名どころでは(いやホントにあるんです、有名・無名が)
EcoRIとかBamHIとかかな?切り方によって
コヒーシブとかブラントエンドとかあるんですが
真面目に解説するための補足ではないので
どういう意味かは教えてあげない(笑)
ちなみに1mlの1/100とかで「ン万円」する。
たぶん重さで値段を比較したら、金なんかより
ずっと高い液体。そのくせ熱に弱くて室温に
置いておくとすぐにダメになってしまう
軟弱者。

ね、寝てませんよ・・・

2005年10月06日 | 製薬会社な実験生活
最近リアルに忙しくて、なかなか更新もままならない日々。
みなさんが下さるコメントに対して、お返事は必死にしているものの
就職活動についての情報は提供間で手が回らず…
皆さん見捨てないで(涙)
そんなわけで、いろいろ忙しくて実験にも支障が…

本日あったお話
サンプルを96穴プレート*に移していたら
だんだん意識が遠くなってきて…
すでにサンプルが入っているところに、再度入れそうになったりしてしまい
「イヤ寝てませんよ、ホントに」心の中で誰かに言い訳(笑)
作業再開してしばらくたつと、今度はピペットマン*を落としかけて…
誰かに見られてないか、周りを見渡し
「ホントにイヤ寝てませんよ、手が滑っただけ」と
またもや心の中で言い訳…

最近疲れ気味…、え、年のせい?
全然聞こえません(笑)


<補足>
96穴プレート
96個の穴があいてるプラスチック製の実験器具。
その中で酵素を反応させたりする。
RIAの実験のタメに底に抗体をつけてあったり
HTSのタメにもっとたくさん穴の開いているものもある。

ピペットマン
理科の実験で使ったピペットの高級版。
もちろん口で吸ったり、ゴムの吸い込み口を使ったり
しなくて良い。物によっては1mlの1/1000位まで
正確に測れる。その分1本、ン万円します。
ちなみに外人さんは「パイペットマン」といってました。
たしかに「Pipetman」だしな。

実験前にお気をつけあれ

2005年08月22日 | 製薬会社な実験生活
今日思いついた格言

「実験を始める前に終わってる」

vehicleの投与群の測定値が投与前から、実薬の投与群に比べて
もともとの値が低すぎて評価が出来ませんでした(涙)

実験を始まる前にできる限り、バックグラウンドをそろえることが
大事ですね、当たり前ですが…
特に個体を扱う実験をするときはばらつきが大きく
信頼性に?マークが付く可能性があるので
気を付けないといけません。

出来る事は、例えば…
ジェネティックバックグラウンドをそろえる
週齢をそろえる。体重をそろえる。
求めるパラメーターのプレ値を測って
群分けする。

事前準備で手を抜かないようにしましょう。
hr単位で手を抜くと、day単位のロスになります(苦笑)