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「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その1

2008年02月13日 | 製薬業界トレンド
国内における医薬企業のM&Aはまだひと段落していないようで…

富山化学、1株880円でTOB・富士フイルムが買収発表(日経ネットより抜粋)
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 富士フイルムホールディングスは13日、東証一部上場の新薬メーカー、富山化学工業を買収すると正式発表した。19日から1株880円でTOB(株式公開買い付け)を開始。期間中に富山化学が富士フイルム、大正製薬を割当先とする第三者割当増資を実施する。富士フイルムは富山化学を子会社化し、医薬事業に本格参入する。

 富山化学もTOBへの賛同を表明した。TOB期間は19日―3月18日。買い付け価格には過去3カ月間の終値平均で26.2%のプレミアム(上乗せ分)を付けた。取得数は上限を設けず、7319万株を下限とする。買い付け額は最低で644億円。
(後略)
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http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20080213AS2D1300E13022008.html

どうでもいいけど「富士フイルム」と「富山化学」って文字を
見てると「富士山」って名前の新社にして欲しくなる。
そんな、アホな話は置いといて…

さらにもちっと詳しい解説(薬事日報より)
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2008年02月13日
 富士フイルムホールディングス、大正製薬、富山化学の三社は13日、都内で会見し、戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意したと発表した。事実上、富士フイルムが富山化学を買収するもので、富山化学が約300億円の第三者割当増資を実施した上で、富士フイルムは株式公開買い付け(TOB)を行い、完全子会社化する。最終的に富士フイルムが66%、大正製薬が34%の株式を保有する予定で、富山化学が上場廃止となる可能性もある。医薬事業への本格進出を狙う富士フィルムが国内中堅の富山化学を手中に収めたことで、製薬業界の再編劇は異業種の参入という新たな局面を迎えた。

 富士フイルムは、「メディカル・ライフサイエンス事業」を成長事業の一つと位置づけ、医療用医薬品事業に本格参入する道を模索してきた。一方、導出戦略を進めてきた富山化学は、昨年度3月期決算の最終利益で87億円の赤字を計上。厳しい環境に置かれた中堅企業として、増大する研究開発費やグローバル化対応が急務となっていた。
(中略)
「富士フイルムが持つ画像診断技術、乳化分散技術、FTD技術を創薬に生かして、異業種による独自でユニークな医薬品事業モデルの創出を目指したい」と意気込みを語った 。

 富士フイルムのメディカル・ライフサイエンス事業は、年間売上高で約3000億円規模だが、2018年を目処に、1兆 円規模の総合ヘルスケアカンパニーへと成長させたい考えだ。
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http://www2.yakuji.co.jp/entry5796.html

と、まあ富士フィルムが手ごろな製薬企業を手中に収め
ライフサイエンス事業を拡大させて収益の柱にしていきたいと
いうことですな。

まあストーリーとしてはわかりやすいんですが(特に株主向けにとか)
富士フィルム社のこれまでのライフサイエンス事業に対する背景の話を考えると
タイミングとかお金の使い道とか、もう少し何とかならんかったかな?
ディシジョンポイント・メイキングにミスは無かったかな?と
勘ぐってしまう部分もあります。
それはなぜかというのを、書きたいのですが
背景データについて記憶に自信がないので、
多少ネットで確認してから明日にでも解説したいと思います。

なのでしばしお待ちを…

キリン、協和発酵を買収を決定

2007年10月22日 | 製薬業界トレンド
読売オンラインより
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キリン、協和発酵を買収(2007年10月22日 読売新聞)

31日からTOB開始

 キリンホールディングス(HD)は22日午前、医薬品大手の協和発酵工業を買収すると正式発表した。キリンHDは今月31日~12月6日に行う株式公開買い付け(TOB)などで協和発酵を子会社化したうえで、2008年10月1日付で医薬品子会社のキリンファーマと合併させる。協和発酵の買収により、国内で初めて売上高2兆円を超える総合食品メーカーが誕生する。
 買収にあたり、キリンHDはまず、TOBで協和発酵の発行済み株式の27・95%の取得を目指す。さらに、キリンファーマと協和発酵の株式交換によって協和発酵を子会社化したうえ、キリンファーマと合併させる。合併で誕生する新会社へのキリンHDの出資比率は50・10%にする。協和発酵の株式の上場は、新会社が引き継いで維持する方針だ。
 キリンHDは主力のビール事業が頭打ちとなる中、医薬品や食品など事業の多角化を進める姿勢を一段と鮮明にする。新会社の医薬品事業は売上高2000億円規模となる。
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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20071022mh06.htm

↓これは正式にキリンと協和発酵が出した文書
詳しく見たい人はリンク先へどうぞ
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協和発酵グループとキリングループの戦略的提携について
~医薬事業を中心とした提携により両グループの強みをいかし、
シナジーの最大化を目指す~
http://www.kirinholdings.co.jp/news/2007/1022_01.html
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早いですね正式発表。噂というかそういう記事が出てから
正式発表がこんなに早かったのはSIUの記憶には無いです。
日本における、代表的な抗体医薬メーカー合併ということで
注目度が高いですね。抗体とsiRNAが次世代の医療品だという
人がいるくらいですから。

ただわからないのは同じ抗体を得意とするもの同士が結びついて
どのくらいのメリットになるんでしょうか?
低分子コンパウンド(普通のお薬ですね)を得意とするけど
抗体は苦手な会社、例えば武田が買収した方がシナジー効果でやすそうですが
いかがですかね?
SIUが理解していないメリットがあるのかな…

抗体医薬を進めるに当たって、相手方のパテントや技術があると
飛躍的に事業の成功確率が高まるモンがあるのかもしれませんね。
完全に技術屋さんからでしかない目線ですが(笑)
経営的なメリットとかわからんしね(涙)



キリンが協和発酵を買収?

2007年10月20日 | 製薬業界トレンド
久しぶりの(?)合併話題。

時事ドットコム
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2007/10/19-08:36
キリン、協和発酵買収で交渉=グループ連結売上高2兆円超に-医薬品事業を強化
 ビール大手のキリンホールディングス(HD)が、発酵化学大手の協和発酵工業を友好的に買収する方向で交渉を進めていることが19日、明らかになった。少子高齢化に伴う市場縮小で主力の国内酒類事業が伸び悩む中、利益率の高い医薬部門を強化し、グループ全体の収益力向上を目指す。買収額は3000億円を上回るとみられ、実現すればグループ全体の連結売上高が酒類・飲料企業としては初めて2兆円を超える巨大食品・医薬グループが誕生する。(後略)
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http://www.jiji.com/jc/c?g=ind&k=2007101900139

日経の朝刊でこの記事が出たらしいけど、どうなんですかね
シナジー効果でるのかな?
協和に少し知り合いがいるので気になります。
あ、キリンもいるか。何年も連絡とって無いけど(笑)

JANUMET承認

2007年04月05日 | 製薬業界トレンド
DPPIV inhibitor*(糖尿病薬)としてファーストインクラスの
メルクの「JANUVIA(ジャヌビア:製品名です)」ですが
早くも合剤がFDAに承認されたようです。
↓ニュースソース
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=18922

メトフォルミン*(ビグアナイド)との合剤、その名も
「JANUMET(ジャヌメット)」まんまやん(笑)

降圧薬もそうですが、新薬もすぐに合剤でパテントを守りに入りますね…

ちなみに本日ニュースソースとさせていただいたBiotodayさんは
あまりお教えしたくないほどお勧めのサイト…

ここのサイトは数年前から(といっても、古いサイトではないです)
チェックしていて、とても有効活用させていただいております。
秘密にしときたかったんですが、有用サイトは皆さんに知っていただきたいので
記事の中に出してみました。
まあSIUが応援しなくてもとても、いいサイトなので
みなさんすでにご存知かもしれませんが…
こんなに褒めてますが一銭ももらってませんよ(笑)

<補足>
JANUVIA
製品名:ジャヌビア
一般名はsitagliptin(シタグリプチン)
メルクが作った(メルクは日本だと万有)
ファーストインクラスのDPPIV inhibitor(糖尿病薬)
アメリカでは承認済み(2007.4.5現在)
ヨーロッパは忘れました(笑)

DPPIV inhibitor
いまんところ最新の抗糖尿病薬
日本未承認(2007.4.5現在)。
薬効・薬理を説明しだすと、長くなるので
省略(笑)
さわりだけ解説すると、酵素であるDPPIV(ディーピーピー・フォー)を
阻害して、GLP-1分解を妨げるところが作用点。
DPPIVがアクティブな状態だとGLP-1はあっという間に分解されてしまいます。
余談ですが注射剤のGLP-1 アナログはここが分解しにくくなっているんですね。
詳しくはネットで探せば、たくさん解説している人はいると思います
たぶんブロックバスターになると思うんで。

Metformin
メトフォルミン:一般名
ビグアナイド。
古くから使われている抗糖尿薬、最近見直されぎみ。
SU剤と組み合わせもよし。
日本よりもアメリカのお医者さんの方が
この薬剤が好きだそうですよ。
日本では「乳酸アシドーシス」が必要以上に懸念されている気がする…
インスリン分泌作用が作用機所ではないので
太らないところもお勧めポイント。
(参照)↓ここのサイトはわかりやすくまとまっていると思います。
http://www.diabetes.h.u-tokyo.ac.jp/DIABETES/KEYWORD/e03.html

ブリストルとサノフィ合併中止…?

2007年02月15日 | 製薬業界トレンド
ブリストル(Bristol-Myers Squibb)とサノフィ(Sanofi-Aventis)が
合併という報道を先日話題にしましたが⇒
サノフィとブリストルが合併報道です 2007年02月01日


この話が撤回らしいです
ニュースソースはロイターかなんかだったと思うのですが
簡単に検索したところ見つからないので
(ネットの海にもぐるにはすでに眠い)
とりあえずソースは載せずに速報だけとします。

田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併4

2007年02月05日 | 製薬業界トレンド
こんにちはSIUです。
田辺製薬と三菱ウェルファーマが正式に合併発表しましたね、その名も「田辺三菱製薬」。
名前くっつけただけ、ストレートでよいね(笑)
本日は本合併についてについての思うところを書いてみる第四弾です。

ただこれまでのように「合併割合がどうの」とか「これから行く末がどうの」ということを
真面目に書いていくよりも(それも書きますけど)
「合併の瞬間、実際現場はどうだったのか?」ということに皆さんの興味を惹かれるともいますので
(実際、製薬会社の合併が起こると、このブログのアクセス件数が爆発的に伸びます)
田辺に勤めている先輩にわざわざ電話して聞き出してみました、ブログに書くということは秘密にして(笑)
(三菱も知り合いがいれば両方のことが書けてよかったのですが
残念ながらいないので…)

さてその内容を…↓
SIUの先輩(田辺(埼玉研究所)勤務)いわく…
「その当日の日経の朝刊に『本日合併正式発表』っていう記事が載っていたらしくて
ちなみにオレは知らなかったんだけど。それさらに午後になったらどこからともなく
『午後三時に正式発表があるらしい』って話が伝わってきて、三時に
になって会社のネット(?)にアクセスしてみると合併の発表が載っていて
されに社長の音声メッセージがあったんだよ、パソコンのボリュームをあげて
それを聞いたんだけどボソボソ言っていて何をしゃべっているのか良くわからない。
『結局なに言ってるの?』っていう感じで、とにかく合併が決まったということはわかって
みんな『そうか決まったのかー』って思ったね。
でも、大の大人が何人もパソコンの音声に耳を澄ませている
その状況はそまるで
『ポツダム宣言受諾』の玉音放送を聴いている日本国民のようだったよ
『堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ』って感じ(笑)
まあウチの会社においては状況的にあながち間違っていない

しばらくその話で盛り上がったけど30分もたつともうすぐに通常業務だったな。
研究所の統廃合とか具体的な話はまだ聞いて無いから、今後も日々淡々と
過ごすだけかな。」
だそうです、

なんかパソコンから音声メッセージって言うのがIT化を進めている会社っぽいですよね。
SIUの会社なら全社に放送で流すと思う。ちなみに武田の研究所統合は
体育館に集合で発表だったらしいです(笑)⇒武田研究所閉鎖についての裏話

「田辺三菱製薬」の細かいことはやはり決まってないのですね。
研究所の統廃合によっての人が減らされる可能性もありますが
内勤の人(人事とか総務とか)やMRさんが削減されることはほぼ確実でしょうね。
いろいろ思うところはあるのですが眠くなってきたので
本日はおしまい。

いままでの田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併についての記事は下からお読みくださいませ。
田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併へ
(2007年01月18日)
田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併2
(2007年01月19日)
田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併3
(2007年01月25日)
田辺三菱製薬誕生決定
(2007年02月03日)


製薬会社合併に関してのお話は下よりどーぞ。
製薬会社合併に関してのetc
(2007年01月24日)

田辺三菱製薬誕生決定

2007年02月03日 | 製薬業界トレンド
田辺製薬と三菱ウェルファーマが正式に合併の発表をしましたね。

NIKKEI Netより
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三菱ウェルと田辺製薬、10月合併・田辺三菱製薬に
 三菱ケミカルホールディングスの全額出資子会社で国内製薬9位の三菱ウェルファーマと同11位の田辺製薬は2日、今年10月1日に合併すると発表した。新会社名は「田辺三菱製薬」で国内製薬6位となる。国内医薬品市場の成長鈍化をにらみ、合併で研究開発力を強化して欧米への本格参入を目指す。製薬再編の動きが中堅メーカーに波及してきた。

 東証1部上場の田辺が存続会社となり、非上場の三菱ウェルを吸収合併して上場を維持する。三菱ウェルの普通株1株に対し、田辺の普通株0.69株を割り当てる。三菱ケミカルは新会社に56.36%出資して連結子会社とし、出資比率を10年間維持する。新会社の社長には田辺の葉山夏樹社長(67)、副社長には三菱ウェルの小峰健嗣社長(59)が就任する。本社は大阪市の現田辺本社に置く。

 東京で同日記者会見した葉山社長は「創薬力の強化、海外展開の加速など将来の成長領域に挑戦する切符を手に入れた」と合併の意義を強調。小峰社長も「新薬候補が倍増し、経営の選択肢が増えた」と語った。 (20:39)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070202AT1D0208J02022007.html
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合併後の名前は「田辺三菱製薬」、予想に反して田辺が先に来ましたね
名前をあげて実権を取る気かな?、題して大日本住友方式(笑)

このネタでもう少し記事を書くと思います。
たぶんこの話を検索してこのサイトに来る方もいらっしゃると思いますし…

サノフィとブリストルが合併報道です

2007年02月01日 | 製薬業界トレンド
ブリストル(Bristol-Myers Squibb)とサノフィ(Sanofi-Aventis)が
合併という話題です。

ロイターより
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製薬の仏サノフィと米ブリストル、合併の可能性=仏誌
2007年 01月 29日 月曜日 18:03 JST

[パリ 29日 ロイター] 29日付のフランスの経済誌レクスパンシオンは、仏製薬大手サノフィ・アベンティス(SASY.PA: 株価, 企業情報 , レポート)と米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N: 株価, 企業情報 , レポート)が、向こう数週間以内に友好的な合併を発表する可能性がある、と伝えた。情報源などは示さず、両社が先週、合併に向けた合意書を交わしたとみられる、としている。

 サノフィのスポークスマンは、憶測報道にはコメントしないと述べた。
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http://today.reuters.co.jp/investing/FinanceArticle.aspx?type=marketsNews&storyID=2007-01-29T085847Z_01_nTK3059029_RTRJONT_0_CnTK3059029-1.xml

またもや世界的大型合併の話題ですね。
規模がでかいなぁ…
他のソースで「この合併はかなりうまく話が進んでいる」という
記事を読みました。どうなることやら。

また続報がありましたら、フォロー…するかも(笑)

田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併3

2007年01月25日 | 製薬業界トレンド
田辺製薬と三菱ウェルファーマ合併問題に関して
三菱ウェルファーマ側のパイプラインはすでに検証してみたので
田辺側のパイプライン検証および余力があれば
合併全体についての意見などを書きたいと思います。

って、実はいまおこなっている実験がどつぼにハマっていて
うまくいっていません。
他社さんのことをどうこう言っている場合じゃないんですけどね(涙)
でもテスト前に部屋の掃除がしたくなったり、昔のアルバムを
見始めたりする心理と同じように、他のことに逃げたくなるわけです(笑)
というわけで、閑話休題。


田辺製薬の新薬開発状況は以下を参考にしました。
↓↓↓(平成18年11月6日現在の新薬開発状況だそうです )
http://www.tanabe.co.jp/kenkyu/shinyaku.shtml

田辺といえばレミケード(TA-650:インフリキシマブ)です。
適応拡大を精力的に実施中(乾癬、潰瘍性大腸炎)。

次の一押しが導入品のロフルミラスト(APTA-2217:PDEⅣ阻害剤)
喘息,COPD(フェーズII/III),独:アルタナファーマ社との共同開発です。
喘息やCOPDはなかなか臨床試験が大変そうですが成功すれば
有効な治療薬が少ないために期待できる…かも。

ただしレミケード・ロフルミラストは導入品(ここが大事)。
自社品ではないのでロイヤリティーを払う必要があるので儲けは限られます。
労多くして…、というわけですね。

田辺製薬のパイプラインの弱点としては「開発品の後期段階に入っているものが
導入品である」というところがあげられるとおもいます。

自社品としては
TA-5538:NK-1拮抗薬(過活動膀胱)フェーズII/欧
TA-1702:BKチャンネル開口薬(過活動膀胱)
フェーズI/米(グラクソ・スミスクライン社に導出)
があり、抗過活動膀胱薬に対する品揃えはいいのではないでしょうか。
メカニズムが違うバックアップというのも好感が持てますし
過活動膀胱などは治療満足度が低く、新規薬物の上市が望まれている領域です。
アステラス(旧・山之内の方)はこの辺のところを攻めていた気がします。
海外大手に導出しているというのも自販網を持たない会社としては
うまい戦略ではないでしょうか。

勃起不全薬もあります
TA-1790:アバナフィル(PDEV阻害剤)
フェーズII/米(ヴィーヴァス社に導出)
ただ勃起不全薬に関しては市場が大きくない上に、すでに国内は2品(レビトラ、バイアグラ)
海外では3品(シアリスでしたっけ?)出ているのでよっぽど
特徴がないと売るのは難しいかと…
何より日本では保険外だから高いんですよねお薬。

TA-5493:p38阻害剤(関節リウマチ、乾癬)フェーズI/欧
リウマチはレミケードによってお医者さんをMRさんが開拓しているので
もし薬が出れば売りやすいのではないでしょうか。
レミケードがTNFαを抑えますが、p38はその下流(だったと思う)なので
ある意味メカニズムとしてはPOC(コンセプトの証明)がなされているとも
いえるかもしれません。ただしPhaseIなので化合物がどう転ぶかは予想できません。

TA-6666:DPPIV阻害剤(糖尿病)
フェーズI/日本、フェーズII/米
三菱の時にも書きましたが、DPPIV阻害薬はこのさき数年のトレンドで
早めの番手で出せば必ず売れます(副作用が出てこない限り)。
糖尿病は患者数が多い上に治療満足度が低いですから。

DPPIV阻害薬は学会などで聞くと本当にどこの会社も手を出しています。
たぶんARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)と同じようなブロックバスターに
成長するであろう物がDPPIV阻害薬です。
では田辺のDPPIV阻害薬はどうかというと、国内で現在PhaseIというのは
そんなに早くないかもしれませんが、海外でPhaseIIに入っているというのは
早い方だと思います。ホームページ情報からはPhaseIIaなのかPhaseIIbなのかは
わかりませんが、PhaseIIbで終了が近いならこの化合物はかなり化けるかもしれませんね。

しかしながらSGLT阻害薬(糖尿病)が以前、Phaseに乗っていたと思うのです
がストップしてしまったのでしょうか?
(ジョンソンアンドジョンソンに導出?だったような)
メカニズムが非常に面白く、個人的にSIUはけっこう注目していたのですが…
止めちゃったのかな?

T-0047:細胞接着阻害剤[α4β7/α4β1阻害剤](多発性硬化症、炎症性腸疾患等)
フェーズII/欧米(グラクソ・スミスクライン社に導出)
多発性硬化症(MS)が適応です。現在開発がとまっているそうなのでなんともいえません。
ただ三菱ウェルファーマのS1P受容体作動薬(スフィンゴシン-1-リン酸受容体アゴニスト)
FTY720(塩酸フィンゴリモド)もMSが適応で、かつすでにPhaseIIIなので
どちらもうまく開発成功すれば「MSに関しては三菱田辺だ!」というようになり
スペシャリティファーマとなれるので、MRさんにとっては
売りやすくていいのではないかな?
(関係ないですがMSってどこの診療科なのでしょうか?)

現在の田辺が売っている商品ラインナップを見ると
「循環の田辺」ですが、開発品のラインナップを見ると
「泌尿器・糖尿・免疫の田辺」になろうとしているように
見えますが、いかに。

全般的な印象で言うと開発前期のもの(PhaseI,IIa)は豊富にあって戦略的に見えますが
やっぱり後期(PhaseIIb,III)の製品がないと厳しいですよね…
というところでしょうか?

開発前期のものが多くお金がかかるから合併か…
理屈としてはわかりやすいですね。早い時点で化合物がストップしなければ
絵に描いたもちにはならないでしょうがさていかに。

2社のラインナップを見比べるとますますFTY720で
移植の適応をノバルティスがやめてしまったのが
痛手になりそうですね。

製薬会社合併に関してのetc

2007年01月24日 | 製薬業界トレンド
田辺製薬と三菱ウェルファーマの合併が話題となってから
「今後の製薬業界再編を予想してください」という
趣旨のメールとやコメントを頂いています。
期待していただいているのは、非常に嬉しいのですが実は
2004年12月31日に書いた記事と考えはそんなに変わってないんですよ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
製薬業界の再編[国内]

この中の内容に
「合併しそうな会社群は…
科研製薬、田辺製薬、第一製薬、三菱ウェルファーマ、持田製薬です」と書きました

2005年予想と区切ったのは将来という意味で書いてます
(というならその時点で書いとかないとね、エンドポイントを変えちゃいけない臨床試験と同じですね_涙)
名前を挙げた5社中3社が現時点までで、合併しているというのは(予定も含む)
けっこう高確率ではないでしょうか?と自分で褒めてみる(笑)

あと田辺製薬と三菱ウェルファーマの件に関しては
ここのコメント欄で
「田辺の合併相手は内資だとしたら、塩野義か三菱。外資ならJ&J」
と予想しています↓

合併無しよ(その後の話)
(予想できているのは適切なshinmaiさんのコメントあってのことですが…)
これは2006年01月24日ですからちょうど一年前くらいですね。

…でも実は「製薬業界の再編[国内]」(2004年12月31日)で外資に買われそうな会社としてあげた
「小野薬品、キリン、キッセイ薬品、日本新薬」
の一社も買収されていないことはヒミツです(笑)
SIUは魔術師ではなくて、予想もあくまで前提情報とセンスに(笑)によって
行ってますので、当たらないことも当然あります。
といいますか、むしろそれが健全ですよね。当たりっぱなしってなんか怖い…

余力があるときに現状での予想を書くかもしれませんが
もし良ければこのあたりを再読してみてください。
たぶんいろんなところにちょこちょこ書いていると思いますし…