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ハスの花

2008年06月30日 | 1

 先日所要があり山鹿市へ。時間があったので鹿央町のハス園を散策。世界各地のハスの品種が集められ、もう少しで満開の状態でした。黄緑色の団扇を横にしたような葉がひしめき合う中、手の平を合わせ膨らませたような形をしたピンク色のハスの花が、スッと顔を覗かせております。ハスの花というのはまるで造花のよう。色も形も単純で分かりやすい。昼過ぎだったので少ししおれて元気がなかったけど、早朝にはポンと音を立てるようにして花が開くらしいのです。

 足元を見ると茎の根の茂みをしゃがんで見ると水中をチョコチョコっと逃げ惑うたくさんの虫達がいます。おたまじゃくしかと思いきゃ、確かゲンゴロウ…ヤゴもいる。分けのわからぬ虫達も忙しく走りまわっている…。「ぬかるみ」の中に元気に生息する生き物たち。小さな手のひらの楽園(ビオトープ)。ほっとする空間であります。葉先を見上げると青いトンボが停まっていた。

 ここ最近、頭痛に肩こり、神経痛、妄想、幻想、誤読、誤訳…左手にしびれまであり。同年の知人が脳梗塞で入院したとの話も聞き、ああ俺もそんな年かと思い近所の脳神経外科に行くことにしました。

 すぐに検査になりベットに横たわる。私の頭が特殊な機械で左右にシャイーン、シャイーンと輪切りにされていくような感覚。即、検査終了、現像終了。その輪切り結果をもとに先生がていねいに説明してくれる。先生いわく、「異常ありませんよ。だいたい頭痛は脳の病気とはあまり関係ありません。神経痛かストレスが原因ですな」眼孔から1cm間隔で頭上まで真横にスライスされた、わが脳味噌の断面の写真。料金4,200円なり。ああ、こうなっているのか、わいの脳味噌は。その写真、どうしても欲しくなる。先生、下さいその写真、お金出したのは俺です。苦しいとき辛い時、それを見て心の安定を図りたいのです。俺の脳味噌は正常だ!と安心したいのです!…と言いたいけど言えなかった。残念!

 敬愛する中島らも氏のエッセイか何かの題を思い出す。「頭の中がかゆいんだ!」機械は機械、精密であればあるほど何も発見できない。更に技術が進歩し、更に脳細胞を詳細に見れたとしてもストレスの原因なるものは、ますます発見できない…私の頭蓋骨に囲まれた脳内ビオトープのぬかるみ…先生、機械には写らないそのぬかるみから見たこともない葉が伸び、妖しい花が咲いています!俺には分かる、そして俺にしか分かりません!先生っ!

 ハス園のすぐ横には熊本県立装飾古墳館があります。石棺の周りの壁が派手なデザインで彩られた装飾古墳。そのいくつもの古墳群に古代からの魂が眠る…それをいたわる古代のハスのやさしい花々。周辺の森にはキャンプ場があり、夏休み体験教室・親子参加者募集というチラシあり。森の中で火を起こすところから始まり、肉を焼くにも石を焼いた上で料理したりして、出来るだけ古代人と同じ暮らしを体験するもの。生き物としての自分の暮らしぶりを見直すにはいい機会だろう。便利すぎて、誰も助け合わない世の中。不便すぎると逆に、お互い助け合うことを少しは思い出せるかもしれない。
 古代の夜の闇とはどんなだろう。参加するか、しないか。参加してみれば、そのことで私の頭痛、神経痛も少しは良くなるような気がする…のですが。





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