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猫が増えていた。

2016年12月27日 | Weblog

ある日、家に帰ると、猫が増えていた。
それもいきなり4匹。

妹が連れてきたのだ。
妹は隣の町に一人住んでいて、
密かに野良猫に餌をやって育てていた。
それが大家さんにバレたのだ。
大家さんから、このままだと部屋を
出ていってもらうと脅され、
やむなくうちに連れて来たのだ。

妹は無理やり車に押し込んで、
玄関をあけるやいなや家の中に、
彼女ら(4匹ともメス!)を解放した。

みんな半分野良猫なので、
部屋の中を暴れまわったあげく、
全員家を出て行った。

結局のところ、
妹と一緒に出て行った猫どもを
捜索するはめになったのだが、

数日経つと、
みんな自分で戻ってきた。
(要するに腹が空いたのだ)

最後の一匹だけ、
白黒の猫(僕はそいつを「ひょろり」と名付けた)は
中々みつからなかったが、

一週間後、
近くの空き地の草むらから、
口にバッタを加えて飛び出してきたのを目撃し、
(僕は飛び出すところを携帯でビデオに記録した)
「ひょろり!」と僕が叫ぶと、
そう、彼女はいつのまにか
我が家に「ひょろり」と戻ってきた。



で、結局…裏の玄関で飼うことになり、
みんなすくすく、丸々と太り、
餌をやろうと、朝六時に玄関を開けるといなや、
家の中に入り込もうとするのを外に追い出し、
僕は各人の皿に餌を盛るのだ。

都会ではこんな近所迷惑な飼い方はできないのだが、
うちはそもそも猫を迷惑がるご近所さんも
ほとんどいない過疎地で、

残る生き物は裏山で(生まれた子猫を狙う)
カラス一味くらいしか居ない。

早朝、一人の男が何かに向かって
「ひよろり!ひょろり!」と叫んでも、
不気味がる人などいやしないのである。

ところで、他の3匹の猫の名前だけど、
黒白の猫がチョビにして、
あと灰色の2匹の名前が思いつかぬ。

毎回僕の顔を目を丸くして驚いたように見るので
「丸目1号、2号」としたが、
どうも言いにくい。

そもそもこの4匹の関係はというと、
妹曰く、親子と姉妹で、どうの…

まぁいい、年末の仕事の忙しさで、
頭の中がオーバーフローして、
雑務が一つ終わると、
またいつのまにか用事が二つ増え…
二つ終わったかと思うと、
またいつの間にか
三つ新しい用事が増える…という繰り返しで
へとへとになり帰宅するとまた、
丸目どもは僕を初めて見たように、
玄関先で目を丸くして驚いた顔をするのに
(時に、まったく無表情でただ遠い目をしてる)
更に疲れは増幅されるのだけど、
これも試練の道と最近は
あきらめるようになった。



今年の年の暮れは、どうもいつもと違う。
あと数日で新年なのに、なんかそんな気分がしない。
我が家は、また猫の世界に浸食されていくのか。

2階で物音がする。

寛太が癇癪をおこして、テーブルの上や
本棚の上のペンや小物をかたっぱしから、
叩き落として暴れているのだ。

我が家は人間よりも、猫の数が多いのだから、
仕方がないのかもしれない。

結局、僕の周りには
親しい友人などほとんどいないので、
本を読むか、猫の世話をするしかないのだ。

きっと来年も。


1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-02-05 07:58:36
猫を救い必要最小限の善の施し行いが出来ることは今の時代羨ましいです。
昔、道路がアスファルト化整備する前や畑や小さい水路が町に点在してた時代は、のら猫うんちの問題は何事もなく流され処理され、のら猫達は普通に人間界と生きて居ました。
野良犬は狂犬病の問題で昔は近寄らないようにされて生きてました。

では、今は都市部において人間しか生きるのを許さない環境にしてしまう地域の教育やマスコミや新築の家の人々が増えて、あえて自然界に生きる命を大切にする心を持つことが人間として高貴であるかを試されているかもしれません。
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