*****ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****
今秋映画公開予定の「法廷遊戯」の原作者 五十嵐律人の最新作
冒頭が校則がない鏡沢高校の始業式
制服もないし、法律に違反しなければ自由という鏡沢高校に通う生徒・広哉が主人公。
学園ものかと読み進めると、学校外、住む町に感じる不穏な空気。
かつてのニュータウンの過疎化問題や誹謗中傷を受けた過去の人生から逃げて生活したい人達とか、大きく顕在化していないけど、こういう問題に苦しめられていつ人もいるのだろうな・・・と思う。
そんな中で殺人事件が発生する。
最近の科学の進歩や情報へのアクセスが簡易になり普通に考えれば”No”となるところだが、拭いきれない不安が犯行を走らせたか。
何より、子供に真実を伏せ、(自分は病気と)信じ込ませ誘導する事態に恐ろしさを感じる
主人公がある意味違和感に目覚め、真実に向き合う勇気を持ったのが救いだった。
前2作よりミスエリーが前面にでて、法廷・法律関連が控えめになった印象。
五十嵐さんの扱う題材に自分の知らない、でも確実にあるだろう世界を感じる
2023年4月30日 第1刷発行
カバー写真 Selim Aydin
装幀 征矢武