side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

24METライブビューイング つばめ (June2024)

2024年06月07日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
今シーズンのMETライブビューイングも残る2作品
プッチーニのつばめを観てきた

オペレッタ風のオペラ、あるいはミュージカルをイメージさせる作品という説明を読み楽しみにしていた。
あらすじも、複雑なところがない。
主人公のマグダは高級娼婦でランバルドに囲われていた。
身分を隠して出掛けたビストロで出会ったルッジェーロと恋に落ち、二人はコートダジュールで幸せな生活を送る。
ルッジェーロの母から二人の結婚を喜ぶ手紙が届くと、マグダは自分の過去はルッジェーロの妻にふさわしくないとランバルドの元に戻っていく。

軽快なちょっとアンニュイな曲調の音楽と歌が流れるように続いていく。
激情的な曲調や場面もなく、淡々と進む感じ

舞台だけでは、マグダが高級娼婦ということがあまり分からず、最後に二人が分かれるところや、ランバルドが何故か現れて元の鞘に収まるところも、そういう時代だったのだろうが、ちょっとわかり辛かった

表情や歌声は好きなマグダ役のエンジェル・ブルーだが、高級娼婦という感じが衣装を含め全くしなかったのが個人的には残念
最近のMETは人種や出身地に拘らない配役が目立つ
時折どうにもしっくりこないところがあるのは仕方ないのか。
また、今回のルッジェーロ役のテテルマンらMETデビューも多く観たシーズンだった。

つばめ(イタリア語 上演日2024年4月20日)
演出: 二コラ・ジョエル
マグダ: エンジェル・ブルー(ソプラノ)
ルッジェーロ: ジョナサン・テテルマン(テノール)
リゼット: エミリー・ポゴレルツ(ソプラノ)
プルニエ: ベグゾッド・ダブロノフ(テノール)
指揮: スペランツァ・スカップッチ

24METライブビューイング ロメオとジュリエット (May2024)

2024年05月12日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
METライブビューイング ロメオとジュリエットを観てきた
ストーリーは誰でもが知っているシェイクスピアの名作
映画版、舞台、バレエでのロメオとジュリエットは見たことがあるが、オペラは初めて

グノー作、フランス語で上演
ストーリーは原作にほぼ忠実だった

舞台設定は18世紀をイメージしているそう。
幕間のインタビューでフェデリコ・フェリーニの代表作「カサノバ」の世界観を参考にしている、と言っていた
比較対象としてF.ゼッフェリの名前を出していた(彼の作品はもう少し前の時代になるのかな。)

本公演では舞台装置に驚くようなものはなかった。
オープニング前に幕があがり、出演者が配置についてから始まる
メインキャストが次々と現れては消えるが、その間最初から舞台にいるキャスト達は動きはなく風景画のようで、メインキャストの存在を浮き上がらせていた。

本作は主人公二人の世界をひたすら見せられる、といっても過言でない。
ジュリエット独唱、ロメオの独唱、二人の二重唱、と甘美な歌声が次々と出される。

ジュリエット役のネイディーン・シエラは33歳、ロメオ役のベンジャマン・ベルナイムは35歳と共にオペラ歌手として円熟期を迎えた二人は相性も良く、METオペラのベストカップルとなりそう。
恋をした初々しさ、若いカップル故の愛への一途さ、を見事に演じていた。
一方で、ジュリエットの芯の強さも独唱に垣間見えた

最後の墓地で仮死状態のジュリエットを亡くなったと勘違いをして服毒をしてしまうロメオ
原作ではロメオが生き途絶えてからジュリエットが覚醒したと思うが、ジュノー作のオペラでは、ロメオが生きている間にジュリエットが目覚め、最後にも二重唱となった

ロメオとジュリエット(フランス語 上演日2024年3月23日)
演出: バートレット・シャー
ジュリエット: N・シエラ(ソプラノ)
ロメオ: B・ベルナイム(テノール)
マキューシオ: ウィル・リバーマン(バリトン)
ティバルト: フレデリック・バレンタイン(テノール)
ローラン神父: アルフレッド・ウォーカー(バリトン) 
ステファーノ: サマンサ・ハンキー (メゾソプラノ)
指揮: ヤニック・ネゼ=セガン

今シーズンのMETライブビューイング作品では黒人歌手のキャスティングが多かったと思う。
本作品でもマキューシオ、ティバルト、神父がそうだった。
また、ロメオの友人、ステファーノの男役にメゾソプラノのサマンサ・ハンキーが登場
多様性の時代を反映したキャスティングなのかもしれないが、慣れないままのシーズンだった

ジュリエット役のネイディーン・シエラは6月の英国ロイヤルオペラの日本公演に来日出演予定






劇団☆新感線 ゲキxシネ20周年 偽義経冥界歌

2024年05月03日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
劇団☆新感線の作品を劇場版(映画化)したゲキ×シネの20周年を記念して過去作品を週代わりで再上映する企画がスタートした

第1弾が生田斗真主演の「偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)」
最寄りの映画館では上映されず、横浜桜木町のブルク13に出かけた
このほか最寄りでは横浜駅NewmanのT.ジョイ横浜があるが、上映開始時刻でブルク13にした。

2019年の作品で、一部公演は新型コロナウィルスの影響で中止となった作品

奥州藤原三代と義経黄金伝説をモチーフにしたストーリー
源頼朝の弟牛若が奥華(奥州?)にかくまわれていたが、奥華家の嫡男国衡が牛若を殺してしまう。
兄頼朝の怒りを恐れた奥華の当主秀衡は国衡に牛王になりすまし打倒平家の頼朝の軍に参加するように言う。
 
戦地で歌うたいの静歌に出会った国衡は、静歌の歌で黄泉の国からよみがえった父秀衡と出会い、自分が国を去った後に次男が家督をとろうと父を殺してしまったことを知る。
父のかたきをとるべく奥華へと戻るのだが・・・

国衡/偽義経 生田斗真
巫女長黄泉津 りょう
泰衡    中山優馬
静歌    藤原さくら
源頼朝  粟根まこと
牛王    早乙女友貴 
秀衡   橋本さとし
脚本  中島かずき
演出  いのうえひでのり

2019年作品だが、照明演出が素晴らしく、生田斗真のビジュアルが美しい。
後半の偽義経が死亡し蘇った時はパール感ある白メイクに黒系のラインのみなのに、更に美しく感じた。
舞台鑑賞ではアップは見れないから、役者のアップ画像が見れるのもゲキ×シネのいいところ。

劇団☆新感線ではお馴染みの一人となった早乙女友貴の殺陣はこの作品でもさえわたっていた。
切れ味ある身のこなしが殺陣の迫力を演出しているんだなぁ・・・と思いながら見ていました。
生田斗真、早乙女友貴を始めとする殺陣の場面がそこそこ長くて、、、
ところどころ見せ場のポージングをしながらもスピード感を維持した殺陣の振付も天晴としか言いようがない。

ゲキ×シネ20周年興行は火・木に各劇場1回だけ上映される
上映時間はマチマチ
横浜の2館はチケット予約に余裕があったが、東京の新宿は予約開始早々満席になっていました。




劇団☆新感線 ゲキxシネ 天號星

2024年04月12日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
チケット取りが難しい劇団のひとつ劇団☆新感線
昨年上演した「天號星」のゲキ×シネ作品を観てきました。

劇団☆新感線の顔でもある古田新太演じる藤壺屋主人・半兵衛と早乙女太一演じる殺し屋の宵闇銀次
二人が出会った際、」天號星のめぐりあわせか激しい落雷のせいか、半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。  

ここに銀次を追ってきた朝吉(早乙女勇貴)や藤壺屋(実は引導屋)を潰そうとする黒刃組が入り混じり、半兵衛と銀次も再び戻ったり、入れ替わったり、、、

殺し屋銀次ということで、早乙女太一の殺陣の場面がふんだんにあり、その体力には驚いた
TVドラマでは憎たらしい役が多いけど、舞台では注目しています。

藤壺屋の娘いぶき役の山本千尋の殺陣も目を瞠るものがあり、調べてみたら元武術太極拳選手!で納得

藤壺屋が口入れ屋という商売で、今でいうところの職業紹介所・派遣会社、というのも面白い

ライブビューイングとは違って、観客席の声は消されている
私は寂しく思ったが、兄貴は舞台に集中できて良いとのこと

映像クレジットの後に早乙女兄弟が出てきて、今年はゲキxシネ20周年だと案内
20周年プロジェクトで過去からの作品全27作品の上映が企画を紹介
4/30から毎週火・木に上映
懐かしい作品、もう一度見たかった作品がラインナップ
今年の初夏は映画館通いに忙しくなりそうです!


24METライブビューイング カルメン (Mar2024)

2024年03月09日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
新演出のカルメン
舞台設定は現代のアメリカという予告編を見て、最初はあまり興味が湧かなかった。
デニムショートパンツにブーツのカルメン?
私はクラシックな舞台設定が好みなので。

いや〜、食べず嫌いにならなくて良かった。
新演出が斬新で、思ったより違和感がない。正直面白い!
さすがMETです。
思えばワルキューレも新演出の舞台装置にビックリさせられたっけ。

現代アメリカのとある産業都市
カルメンは軍事関連品の工場勤務
ドン・ホセは工場前に配置された軍勤務
原作闘牛士のエスカミーリョはロデオのチャンピオンという設定
みんなジーンズ着用

工場に入る際のIDチェックやら、ドン・ホセが投獄されたニュースをスマホでチェックしたり、エスカミーリョ登場にスマホで写真を撮ったり、
クスッと笑ってしまった要素もあり。

第2幕の通常なら酒場の場面が大型トレーラーのコンテナ(荷台)内で、高速道路を疾走中という設定
なんじゃこりゃ!と思ったけど、それなりに説得力があり、しっくりくるのだから不思議

カルメンを演じたアイグル・アクメトチアはカルメンが当たり役と言われるだけあり、その迫力が凄かった
以前見たガランチャのカルメン(リチャード・エア演出)も圧倒される演技でこれぞ神回、右に出るものはいないと思わせたけど、アクメトチアのカルメンも素晴らしすぎる
もう目が釘付けされた感じだった。

田舎娘で一途で健気なドン・ホセの故郷の恋人ミカエラ、ストーリー的に全く目立たなくなってた。
エンジェル・ブルーの歌声は素晴らしく、熱唱だっただけにもったいなかった。

ミカエラだけでなく、ドン・ホセ、エスカミーリョもアクメトチナのカルメンに持って行かれた感が強い
そんな舞台だった

幕間のインタビューで、「ドン・ホセは過去に人を殺したことがある設定」とあった
最後のドン・ホセの鬼気迫るでもなく、バット一振りであっさりカルメンを殺してしまうところは過去に一線を超えた人だから?

カルメン:アイグル・アクメトチナ(メゾソプラノ)
ドン・ホセ:ピョートル・ベチャワ(テノール)
ミカエラ:エンジェル・ブルー(ソプラノ)
エスカミーリョ:カイル・ケテルセン(バスバリトン)
指揮:ダニエレ・ルスティオーニ
演出:キャリー・クラックネル
上演日 24年1月27日

次作の運命の力も新演出で楽しみ




24METライブビューイング ナブッコ (Feb24)

2024年03月02日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
昨年末から上映が始まった23−24シーズンのMETライブビューイング第4作
ヴェルディのナブッコを観てきた
日程が合わなかったが今シーズンの1−3作は現代オペラのMET初演作品が続く興味深いラインナップだった

ナブッコは王道オペラという感じで、舞台セットも壮大かつ派手で劇場エンターテイメントという感じが画面からもヒシヒシ伝わり、久しぶりのライブビューイング作品、堪能しました。
舞台上で大量の火が焚かれる風景も圧巻だった。

ナブッコ、アビガイッレがウクライナ出身だった。
こういう配役もMETらしいというのかな。
そしてアビガイッレ役のモナスティルスカの好演が際立っていた

本作品がヴェルディの出世作だと幕間解説で知る
他作に比べて躍動感、エネルギーに溢れているのはそのためとか。
幕間解説・インタビユーはMETライブビューイングの魅力の一つだと思う。
毎度ながら舞台設定(大道具の移動)の映像も観ていて楽しかった。

ナブッコ イタリア語 (上演日 2024年1月6日)
演出 エライジャ・モシンスキー
ナブッコ:ジョージ・ギャグニッザ(バリトン)
アビガイッレ:リュドミラ・モナスティルスカ(ソプラノ)
フェネーナ: マリア・バラコーワ(メゾソプラノ)
イズマエーレ: ソクジョン・ベク (テノール)
指揮: ダニエレ・カッレガーリ

今シーズンは残り5作
どれも観たいものばかり。






23METライブビューイング 魔笛 (July23)

2023年07月19日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
先週に続いてMETライブビューイングを観てきた
演目は新演出が高評価の モーツァルト 魔笛
予告編からも演出が斬新すぎて一体どうなっているのか気になっていた作品

オープニングから演出が洒落ていた
ヴィジュアル・アーティスト(B.ヘイバーマン)が黒板に描き・消す洒落た文字の、作品名が舞台に投影される。
新たな登場人物には矢印付きで役名を教えてくれる。
背景幕を変えるのではなく、ヘイバーマンが操る映像を背景として投影する

加えて、効果音アーティスト(R.サリヴァン)が視覚的にも楽しい音を作り出す。

上映中に紹介された 演出家サイモン・マクバーニーのインタビューで、魔笛が上映された1700年代の様式・舞台により近づけようとした、とのこと
かつてはオーケストラが同じ舞台だったことから、オーケストラピットを通常より高めに設定してオケの顔が見えるように

素晴らしかった当時の背景幕の再現は、幕を複数作るのではなく、シンプルな幕に投影することに。だが今風のマッピングではなく、アーティストが描くものを使うアナログ方式で。
舞台袖でアーティンストが描くのでライブ感に溢れる効果を狙ったもの

一方で、登場人物はスマホを持参するし、スマホ画面の写真で主役のパミーナ、タミーノがお互いに恋をしてしまうなど現代的演出
夜の女王は車椅子に乗り、娘を精神的に拘束し続ける”毒親”風で、アメリカにも毒親はいるのか・・・と思ってしまった。
舞台は中央にもう一段あって、時に吊られて斜度を作るのは、最近ではMETのあるあるに感じる
オケの客席側にも通路を作り、舞台の奥行きを出していた。

王子タミーノが魔笛を吹きながらアリアを歌うのが定番演出だが、今回は首席フルートがタミーノから渡されたフルートを吹く。
パパゲーノの鈴もグロッケンシュピールという鍵盤楽器で、やはりMETオケが弾いていた

オペラ界外からのアーティストの採用や衣装、プロジェクションでの場面展開など、これからのオペラ演出の流れを作るかな、、、と期待を持ってしまう。
そして定番オペラだからこそ、新演出を多いに楽しめたとも言えるのかも。

耳馴染みの名曲も多い 魔笛
今回は、特に有名な夜の女王のアリアは素晴らしかった
それも車椅子に座った姿勢(やや中腰ではあったが)での熱唱だった。
映画だったことを忘れ、思わず拍手してしまった。
この場面だけ、リピートしたいくらい。

舞台好きも楽しめる作品で、個人的に今年一番のオススメです。
今週木曜日までの上映(一部は来週木まで)
冷房の効いた映画館で3時間半を過ごすのも、良い避暑になるのでは

魔笛 新演出 ドイツ語 (上演日 2023年6月3日)
演出 サイモン・マクバーニー
パミーナ:エリン・モーリー(ソプラノ)
タミーノ:ローレンス・ブラウンリー(テノール)
パパゲーノ: トーマス・オーリマンス(バリトン)
夜の女王: キャスリン・ルイック (ソプラノ)
指揮: ナタリー・シュトゥッツマン

今シーズンのMETライブビューイングは終了ですが、来シーズンのラインナップが発表されています。
魅力的なプログラムばかりで毎月通ってしまいそう。


23METライブビューイング ドン・ジョヴァンニ (July23)

2023年07月08日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
公開日から高評価の呟きが多かったMETライブビューイングのモーツァルト ドン・ジョヴァンニ

新演出というのも興味深い
ベルギー出身・オランダを拠点とする演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェの初MET演出
「ヴァン・ホーヴェ演出なので観たい」と呟いていた人がいたが、2022年の新国立劇場の「ガラスの動物園」で注目を集めていた。
ドン・ジョヴァンニの原題 「罰せられる犯罪者」に焦点をあてている演出だそう。

舞台も印象的で美術担当が言及していたエッシャーを思わせる建物が路地や建物の陰を上手く使って、ドン・ジョヴァンニが悪行を描いていた。

ドン・ジョヴァンニ(イタリア語 上演日2023年5月20日)
演出: イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
ドン・ジョヴァンニ: ペーター・マッティ(バリトン)
レポレッロ: アダム・プラヘトカ(バスバリトン)
ドンナ・アンナ: フェデリカ・ロンバルディ(ソプラノ)
ドンナ・エルヴィーラ: アナ・マリア・マルティネス(ソプラノ)
ツェルリーナ:イン・ファン(ソプラノ)
ドン・オッターヴィオ: ベン・プリス (テノール)
マゼット: アルフレッド・ウォーカー (バスバリトン)
指揮: ナタリー・シュトゥッツマン


ぺータ・マッティは当たり役ドン・ジョヴァンニを実に憎たらしく演じていた。
20年以上演じているそうだが、ハンサムで若さも感じ長身で見栄えがし、2000人以上の女性に手を出したという設定にピッタリ

 ツェルリーナ役のイン・ファンは中国系なのだろうか?
ファルスタッフでは韓国出身のヘラ・ヘサン・パク が抜擢されていた。
日本人がMETで活躍する日を楽しみに待ちたい。

次作の魔笛が今シーズン最後のライブビューイング
この作品も新演出で予告を見ただけでも非常に楽しみ




METライブビューイング ばらの騎士 (May23)

2023年06月04日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
ファルスタッフに続いて METライブビューイング R.シュトラウス作ばらの騎士を観てきました

事前にあらすじ等を調べたら、ハプスブルク家隆盛時のウィーンの宮廷文化の煌びやかな雰囲気も楽しめる、、、ということで、楽しみにしていました。
が、ロバート・カーセン演出は時代を第一次世界大戦直前の1911年頃にしている。
このためか男性陣の衣装も軍服風が多く、部屋の装飾も想像したほど豪華絢爛ではなかったが、壁紙や床材の模様や配色が実にスタイリッシュ
女性陣の衣装は品のある美しさでやはり目に楽しいオペラだった。
動物(犬)も登場
チャンピオン犬で歩く姿も美しい、そして幕間のインタビューで彼ら(犬)も舞台で人に観られるのが楽しいとの紹介には驚き

カーセン演出はMET2017年の作品で、今回はその再演

主役のひとり オクタヴィアン(男性)をメゾソプラノの女性が演じる
女性同士の二重唱、三重唱が美しく、聴き処
モーツァルトのフィガロの結婚を意識した作品とも言われるそうだが、ハチャメチャに楽しいフィガロに対して、「老いて若者の恋愛から身を引く」「落ちぶれても爵位で偉ぶる」「成金が娘の結婚で爵位を得る」など人としての生き様を考えてしまう作品でもあった。

因みにタイトルは、プロポーズに女性の家に行く際に使者が「銀の薔薇」を届ける風習から。
花嫁、特に金持ちだが爵位のない今回の令嬢、ゾフィーにとっては銀の薔薇を受け取ることが憧れかつ家の繁栄を意味するものだった

ばらの騎士(ドイツ語 上演日2023年4月15日)
演出: ロバート・カーセン
元師夫人: リーゼ・ダーヴィドセン(ソプラノ)
オクタヴィアン: サマンサ・ハンキー(メゾ・ソプラノ)
ゾフィー: エリン・モーリー(ソプラノ)
オックス男爵: ギュンター・グロイスベック(バス)
指揮: シモーネ・ヤング



METライブビューイング ファルスタッフ (May23)

2023年05月20日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
1年ぶりの鑑賞になりました。

METライブビューイングは例年どおり昨秋からシーズンが始まっていましたが、なかなか行く機会を作れず、すでに今季の6作目が上映されています。
作品はヴェルディ 「ファルスタッフ(イタリア語上映)」

悲劇オペラ作曲家のヴェルディが最後に作った作品はコメディオペラだった。
シェイクスピア戯曲をベースにしている。

ポップなカラー使いの舞台が楽しさを後押しする。

落ちぶれた老人、ファルスタッフは「騎士」の肩書を自慢にして、酒を飲み、人を顎で使うが、金銭的には底をつきそう。
「騎士」の肩書を餌に、人妻を誘惑しようと企むが、逆にブルジョア家庭のアリーチェとメグ、そして友人のクイックリー夫人に意地悪を仕掛けられるというストーリー

尊大な態度だったファルスタッフを懲らしめるアリーチェ達だけど、意地悪してファルスタッフの惨めな姿を笑い物にする場面はオペラだからこそ上映可能だったかしら・・・と思ってしまった。
ファルスタッフの鈍感さがコメディタッチとなってはいますが。

複数名で歌うアンサンブルが幾度も登場してくる。
幕間で紹介されたインタビューで指揮者ルスティオーニが「精巧な時計のようで歯車がひとつでも合わないとダメ」と言っていた。
見事なアンサンブルにできる要因を出演者は指揮者とリハーサル(練習)と語った。「練習こそオペラ」との表現も印象深かった。 

舞台設定は20世紀半ばのアメリカングラフティのイメージ
金銭的に余裕のある新興ブルジョア(アリーチェやメグ)と衰退気味の元貴族(ファルスタッフや友人クイックリー夫人)の対比もうっすら伺える設定だった。

約3時間の上映時間(休憩1回)
暗転での場面展開中では、舞台上のセットを変更している様子が天井カメラで映し出されていて、とても興味深いし、面白かった。

ファルスタッフ(イタリア語 上演日2023年4月1日)
演出: ロバート・カーセン
ファルスタッフ: ミヒャエル・フォレ
アリーチェ: アイリーン・ペレス
フォード: クリストファー・モルトマン
メグ: ジェニファー・ジョンソン・キャーノ
クイックリー夫人: マリー=ニコル・ルミュー
ナンネッタ: ヘラ・ヘサン・パク
指揮: ダニエレ・ルスティオーニ


今季のライブビューイングは残り4作品