side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

23METライブビューイング 魔笛 (July23)

2023年07月19日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
先週に続いてMETライブビューイングを観てきた
演目は新演出が高評価の モーツァルト 魔笛
予告編からも演出が斬新すぎて一体どうなっているのか気になっていた作品

オープニングから演出が洒落ていた
ヴィジュアル・アーティスト(B.ヘイバーマン)が黒板に描き・消す洒落た文字の、作品名が舞台に投影される。
新たな登場人物には矢印付きで役名を教えてくれる。
背景幕を変えるのではなく、ヘイバーマンが操る映像を背景として投影する

加えて、効果音アーティスト(R.サリヴァン)が視覚的にも楽しい音を作り出す。

上映中に紹介された 演出家サイモン・マクバーニーのインタビューで、魔笛が上映された1700年代の様式・舞台により近づけようとした、とのこと
かつてはオーケストラが同じ舞台だったことから、オーケストラピットを通常より高めに設定してオケの顔が見えるように

素晴らしかった当時の背景幕の再現は、幕を複数作るのではなく、シンプルな幕に投影することに。だが今風のマッピングではなく、アーティストが描くものを使うアナログ方式で。
舞台袖でアーティンストが描くのでライブ感に溢れる効果を狙ったもの

一方で、登場人物はスマホを持参するし、スマホ画面の写真で主役のパミーナ、タミーノがお互いに恋をしてしまうなど現代的演出
夜の女王は車椅子に乗り、娘を精神的に拘束し続ける”毒親”風で、アメリカにも毒親はいるのか・・・と思ってしまった。
舞台は中央にもう一段あって、時に吊られて斜度を作るのは、最近ではMETのあるあるに感じる
オケの客席側にも通路を作り、舞台の奥行きを出していた。

王子タミーノが魔笛を吹きながらアリアを歌うのが定番演出だが、今回は首席フルートがタミーノから渡されたフルートを吹く。
パパゲーノの鈴もグロッケンシュピールという鍵盤楽器で、やはりMETオケが弾いていた

オペラ界外からのアーティストの採用や衣装、プロジェクションでの場面展開など、これからのオペラ演出の流れを作るかな、、、と期待を持ってしまう。
そして定番オペラだからこそ、新演出を多いに楽しめたとも言えるのかも。

耳馴染みの名曲も多い 魔笛
今回は、特に有名な夜の女王のアリアは素晴らしかった
それも車椅子に座った姿勢(やや中腰ではあったが)での熱唱だった。
映画だったことを忘れ、思わず拍手してしまった。
この場面だけ、リピートしたいくらい。

舞台好きも楽しめる作品で、個人的に今年一番のオススメです。
今週木曜日までの上映(一部は来週木まで)
冷房の効いた映画館で3時間半を過ごすのも、良い避暑になるのでは

魔笛 新演出 ドイツ語 (上演日 2023年6月3日)
演出 サイモン・マクバーニー
パミーナ:エリン・モーリー(ソプラノ)
タミーノ:ローレンス・ブラウンリー(テノール)
パパゲーノ: トーマス・オーリマンス(バリトン)
夜の女王: キャスリン・ルイック (ソプラノ)
指揮: ナタリー・シュトゥッツマン

今シーズンのMETライブビューイングは終了ですが、来シーズンのラインナップが発表されています。
魅力的なプログラムばかりで毎月通ってしまいそう。



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