畑倉山の忘備録

日々気ままに

クリミアの分離独立

2014年03月10日 | 国際情勢
 米欧やウクライナ新政権は、クリミアの分離を認めていない。米欧は、東チモールがインドネシアから、南スーダンがスーダンから、コソボがセルビアから独立した時には、国内の一つの地域の住民の大半が分離独立を求めていることを「民主主義」と評価し、分離独立を支持・支援している。しかし今回は、クリミアという、すでにウクライナ国内で自治共和国になっている統一性のある地域が分離独立を求めているのに、認めないと言っている。

 米欧が、東チモールの独立を支持したのは、インドネシアというイスラム教徒が多い国を困らせるイスラム敵視策(のちの「テロ戦争」)だった。コソボの独立を支持したのは、セルビアというロシアと親しい国を困らせるためだった。南スーダンの独立を支持したのは、スーダンという反米的なイスラム主義の国を困らせるためだった。いずれも「民主主義」は詭弁で、米国の世界戦略に都合のいい分離独立だったので支持した。

 それらと対照的に今回は、ロシアという米国が敵視する国の傘下に入る分離独立なので、米国は、絶対認めないと言っている。しかも米国はウクライナで、自作自演の狙撃殺害行為を行い、テロを支援する極右ネオナチ勢力を、強い反ロシアであるというだけで支援し、政権転覆を引き起こしている。米国の、民主主義重視の姿勢は、ずるがしこいインチキである。日本や米欧の人々のほとんどが、そのインチキに気づかず、簡単に騙されている。

(田中宇)http://tanakanews.com/140309russia.htm