畑倉山の忘備録

日々気ままに

MOX燃料原発

2019年01月27日 | 核・原発
「日米原子力協定」のもとで日本のどこにどのような原発をどれだけ作るかは事前協議の対象であり米国の了承が必要である。日本独自に決められるのは電気料金ぐらいと言われている。

MOX燃料の原発利用は経年劣化した核弾頭から出る余剰プルトニウムの処分策のひとつである。MOX燃料はウランとプルトニウムを混合した核燃料で、青森県下北半島で建設中の大間原子力発電所は100%MOX燃料を利用する原発である。

1995年8月原子力委員会はそれまで「新型転換炉の実証炉を建設する」としていた大間原発計画を転換し、全炉心でMOX燃料を利用する改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設すると決定した。

このときの原子力委員会決定は「中期的な核燃料リサイクルの中核的担い手である軽水炉によるMOX燃料利用計画を拡げるという政策的な位置付けを持つ」としている。専門バカの核技術者たちには哲学がないから目の前に人参を吊るされるとどんな事でもする。

米国では1990年代初頭に、経年劣化した核弾頭の処分で生じる余剰プルトニウムの管理が問題となり、各界で処分策の検討がなされた。処分策のひとつはMOX燃料として旧来の原発で燃やすことだった。この米国での動きと日本の原子力委員会の決定は無関係ではないだろう。

MOX燃料は1999年以降、東京電力福島第一、柏崎刈羽、中部電力浜岡、関西電力高浜、四国電力伊方、九州電力玄海の各原発に搬入されている。さらに大間原発が稼動すれば世界最大級(138万kW)のMOX燃料原発となる。

農林水産省によると、日本のカロリーベース食料自給率40%のうち22.3%は北海道が担っている。将来、大間原発が運転を開始し仮に福島のような事故が起これば、北海道農業は立ち行かなくなるだろう。

大間原発の建設続行が決定されたのは確か旧民主党政権時代である。MOX燃料は旧来のウラン燃料より値段が高く、事故の場合の危険性もより大きいと言われている。MOX燃料の利用が米国主導で進んでいる。知らぬは日本人ばかりなり。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=14-04-01-23

米国による他国の選挙への干渉

2019年01月27日 | 国際情勢
ウールジー元CIA長官のテレビ発言にあるように、米国による他国の選挙への干渉は現在も絶え間なく続いています。

他国の民主化を支援するという名目で、年間1億7千万ドルを上回る資金が米国の国家予算から全米民主主義基金(NED)に提供され、共和党系の国際共和研究所(IRI)、民主党系の全国民主国際研究所(NDI)などが仲介して関連組織に分配され、他国の野党や反体制運動などの支援に使われています。

スティーブン・キンザーによれば、NEDの理事会には2014年のウクライナ政変で反体制デモを激励したビクトリア・ヌーランド国務次官補や、イラン・コントラ事件にかかわった外交官のエリオット・エイブラムズなどがいます。日本にも無関係な話ではないはずで、警戒が必要です。

このようにいまだに公然と他国への選挙干渉を繰り返す米国が、ロシアによる米国大統領選挙への干渉をヒステリックに非難してもぜんぜん説得力がありません。そもそもロシアがどんな干渉をしようが、米国の民主主義への脅威という点では国内機関のほうがずっとランクが上だとキンザーは指摘しています。(中野真紀子)

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スティーブン・キンザー(Stephen Kinzer) :元ニューヨークタイムズ紙の海外特派員、現在はボストン・グローブ紙で国際問題のコラムを担当。『転覆~ハワイからイラクまで米国によるレジームチェンジの世紀』、『シャーの手下たち~米国による政権転覆と中東のテロの根源』、グアテマラのクーデターについての『苦い果実』など、著書多数。最新作『本当の旗~セオドア・ルーズベルト、マーク・トウェイン、米帝国の誕生』は最近ペーパーバック版が出版に。

http://democracynow.jp/video/20180312-3

プルトニウムの危険性

2019年01月27日 | 核・原発
プルトニウムは、本質的に人工の放射性元素で、天然にはこの惑星ではごく一部の地域でほんのわずかにみいだされるにすぎない。ウランを燃料とするどのようなタイプの原子炉(100万kW級)も、1年におよそ200kgのプルトニウムを生産する。初期には、プル卜ニウムの同位体で最も重要な、半減期2万4000年のプルトニウム239が大量に生産されて大量殺戮の兵器へと組み込まれ、この兵器はその恐るべき性能を1945年に長崎で示した。

また、プルトニウムはよく知られた発がん性の物質であるが、各種のプルトニウム同位体の組合せで成り立ち、民事原子力計画の中でー般的に用いられる原子炉級プルトニウムは、純粋のプルトニウム239よりも8〜10倍も毒性が高い。

たった1g のプルトニウムが、4000万人もの一般公衆の吸入の年摂取限度に相当する毒性をもち、この世で最も毒性の強い元素の一つである。プルトニウムの問題を議論するときは、つねにこのことを念頭に置かねばならない。

(高木仁三郎「プルトニウム軽水炉利用の中止を提言する~プルサーマルに関する評価報告~」『科学』1998年1月号)

プルトニウム物語

2019年01月27日 | 核・原発
プルトニウムは人工の元素です。グレン・シーボーグとその同僚が1941年に94番元素の合成に成功し、92番元素ウラン(ウラニウム、天王星=ウラヌスにちなむ)の二つ先の元素ということで、冥王星にちなんでプルトニウムと名付けました。つまり、地獄の王ないし火の燃え盛る世界の元素というわけです。実際にプルトニウムが地獄を生むような物質であることが後で分かったわけですが、この命名は何という歴史の皮肉だったでしょう。

プルトニウムは容易に核兵器に用いられる材料物質であり、通常の原子炉で製造されるプルトニウム、いわゆる原子炉級プルトニウムの7〜8キログラムもあれば長崎型の原爆が製造できます。

プルトニウムはまた、よく知られた発ガン性の物質で、シーボーグ自身その本(『超ウラン元素』メツエン社、1958年)で、「人類に知られた最も危険な毒物」と表現しています。国際的な基準に基づくこの物質の摂取限度によれば、職業的労働者にとっては1マイクログラム(100万分の1グラム)以上が、健康上問題にしなくてはならない量であり、一般公衆にとっては、ナノグラム(10億分の1グラム)レベルが健康上問題にされなくてはならない物質です。

(高木仁三郎「1997年ライト・ライブリフッド賞受賞スピーチ」1997年12月8日、ストックホルム、スウェーデン議会にて)