俺は酔っ払ってぶっ壊してやるのさ 春空 まほろば
70年代の最後の1979年に、大学を卒業(中退。後に通信制に編入)するに当たって、裏学園祭という位置づけで、音楽イベントを開いた。それまでに方々で知り合った超ジャンルのミュージシャンたちを一堂に会して、何か新しいものをという試みであった。結局のところ大失敗だったが、その最大の理由が【統一テーマ】の不在と、当時、ロンドンから東京にも飛び火していた【パンク・ニューウェイブ】の2バンドを含めたからであった。まず、彼らは与えられた演奏時間を守らなかった。2バンド間の対立とメインのメジャー系バンドへの当て付けである。彼らは、前年にメジャーレーベルからオムニバス盤を出してはいたが、依然アンチ・メジャーを旗印としていた。驚くべきことに、1979年の《現在》にあって、彼らは何者かと闘っていたのだ。彼らは、私たち70年安保直後の世代に比べてわずか4、5年ほどしか歳の差はなく、大学でいえば一回り(入学と卒業)しか違わなかったはずなのにである。思えば、私たちは前の世代を踏襲して、資本主義と帝国主義に象徴される非人間性の満ち溢れた大きな世界と闘おうとして、敵を見失っていた。なのに、わずか数年後の彼らは確かに等身大の何かと闘おうとしていた。彼らはいったい何と闘っていたのか?彼らは何者だったのか?空虚という語とは別に【空無】という言葉がある。私たちにとっては、1979年も70年代であり、それに先立つ60年代末のあの巨大な闘いを背にしていたのではなかったのか?答えはノーであった。わずか5年ほどの断絶の後、彼らは私たちとは全く別の《空虚》と対面していたのだ。何ものも引き擦ることなく、本当の《いま・ここ》しかあり得ない【空無】としての《現在》の直中に実在していたのである。・・・《続く》
THE SEX PISTOLS 『ANARCHY IN UK』 1976https://www.youtube.com/watch?v=ICXdQR1VVhw&feature=player_embedded#t=61