今年のTHEカラオケバトルのエポックはいくつかある。この番組の中心としてのU-18(18歳以下)から卒業した大物2人のうち、小豆澤英輝(あいき)は4月から明治学院大学(芸術学科)に進学した。彼は元演歌歌手でボイス・トレーナーの母親との二人三脚はお馴染みだが、何と息子の上京に伴い自らも東京でボイス・トレーナーを開業したようだ。レギュラーゲストの野口五郎氏(元1970年代の御三家で歌唱力には定評があった。現在プロデューサーを兼ねる)も絶賛する歌唱指導の的確さは一際抜きん出ている。その期待に応えて小豆澤君も7月の学生選手権で見事カラバト初優勝を飾った。選曲は古内東子の名曲『誰より好きなのに』で、女性の恋愛感情の微妙な心の襞を細部に至るまで表現しきっていた。彼は男性であり、恋愛経験も皆無に近いだろう。しかし、人間の本源的な【純粋感情】に立ち返ることで一般的な経験則をはるかに凌駕する歌唱(言語)表現を引き寄せることは十二分に可能なはずだ。歌唱(言語)が普遍的なものであるためには、このような独自の発声(語)の息吹を聴く者に感じさせることが必要である。それは定式化された歌唱パターンを超えてゆき他者を寄せ付けない一回限りの新たな《型》として現出しなければならない。それはメジャーデビューした後も何ら変わらないに違いない。・・・《続く》
小豆澤英輝 カバー 『誰より好きなのに』(原曲 古内東子)
https://www.youtube.com/67fc8f84-90ed-4a8c-a397-1b47c1bc1854